【インタビュー企画 ③】ビーンズの「居場所」でうまれる、子どもたちの変化とは?

学習支援塾ビーンズ講師兼インターンリーダーの長澤です。僕が立ち上げに関わったビーンズの「居場所」についてのインタビューもこれが最後となります!

前回の記事を一言でまとめると、
「ビーンズに居場所ができたことで、生徒たちとビーンズの大人たちがゆるくなって、つながった」という内容でした!

(前々回の記事は、こちらです)

今回の記事では、ビーンズの居場所に参加した子どもたちの変化についてお話していきます!

「ビーンズの居場所」でうまれる、生徒たちの変化とは?

居場所でうまれた子どもたちの自信!

塚﨑:居場所ができての変化を一言でいうと「自信」だと思うな。居場所に参加した中学生・高校生たちが明らかに自信をもつようになったなと感じる。

ビーンズメソッドでは、「無責任から有責任へ」って言ってるんだけど、塾に来た当初「将来の事なんか考えたくないし、今後の人生において、一切の責任を負うような立場になりたくない!」と 、塾の真ん中で高らかに宣言していたような生徒(たち)が、半年後、自分の企画の責任者として企画の参加者にねぎらいの言葉をかけ、「次回も応援してください」なんてことを言ってたりする。

長澤:そうですね。生徒がいっちょまえにチームを率いて、「われわれの企画を実行するにあたり、予算を要求する!」なんて交渉してきたり(しかも見積までつくって)するのをみると、変化量に驚きますよね。その変化がどこから生まれたかというと生徒たちの自信だなと。

機能承認から存在承認

「悩める10代100万人」課題

他にも、ビーンズメソッドでは「機能承認から存在承認」と言ってて、大人が”悩める10代”へ「あなたは存在するだけで素晴らしい人だよ」「可能性があるよ」と言っても、あんまり響かない。

その子どもが存在するだけで素晴らしいというのは100%正論。だけど、「君は存在するだけで素晴らしいんだよ!」って、いきなり大人が言うのは、かなり説教臭さがあるから。

なので思春期の子どもは「そんなわけないよ!」と、つい否定したくなる。

それよりも「自分は他人に何かの機能として役立った」という経験が大切。
それが、自身を認められる根拠になって子どもに自信ができる。

子どもが自身を認められる根拠としては「検定や試験の点数」も、もちろんある。あるんだけど、その子どもが、「(ちょっとしたことでも)他人に役立ったという経験をもつこと」が一番自信の源泉になるなと感じてて。それらをひっくるめて「機能承認」と呼んでいます。

長澤:たしかに。僕も子どもの「機能を承認する」ってすごく大事だと思っています。

ほかのインターンにも「居場所の中でスタッフが生徒と一緒に本当にちょっとしたこと(掃除とか)を一緒にやってみて、その結果・成果物をほめることが大切」と伝えてます。
子どもたちが居場所でつくったちょっとした結果・成果物についてホメるってのを意識していますね。

さらに子どもの結果・成果物についてホメるときは、一人の講師やスタッフがホメるんじゃなくて、複数人がホメたほうがいいし、ホメる内容も少しずつ変えてホメたほうがいいなと思っています。

そのために、子どもたちが居場所で成功したり、楽しめていたことは、小さなことでも「居場所日誌」に書いて、インターンチームで共有しています。

塚﨑:僕も「居場所日誌」を読んでいるんだけど、僕が見えていない生徒たちの居場所での活躍や様子が分かって、単純に面白い!
あと、「この先生やインターンは、生徒に対して、今こんなことを考えているんだな…」ってスタッフみんなの考えを知ることもできて、読むたびに発見があって、いいなぁと。

ビーンズメソッドってなに?って方は…
講談社FRaUさんで、ビーンズメソッドの内容が前後編で詳しく掲載されています。

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生徒たちが"タフ"になった

塚﨑:あとビーンズの生徒あるあるなのが

「自分の進路を考えるとツラくて、塾へ行けない」
「宿題できなくて塾へ行くことが恥ずかしいから、塾へ行けない」
「塾に行くと、どうしても自分と向き合うことになる。だから辛くて塾に行けない」

という現象。僕らは“不登塾”って呼んでいるのですけど、特に夏から受験期のタイミングで塾に来れなくなる生徒が増えていきます。

それが居場所に来る生徒に関しては、“不登塾”が激減しました。

宿題が終わってなかろうが、進路についてシリアスな状況であろうが、タフに塾にやってくるようになった。

長澤:たしかに。まず、前提としてビーンズにきている生徒たちはストレスに弱いですね。パッと見は楽しそうにしてたとしても、進路の話をしたら顔が真っ青になったり、不登塾になったりすることも珍しくありません。
で、問題はなんで居場所に来ている生徒たちはタフになったんだろう?ってところですね。
(参照 外部サイト:プロに聞きたい!不登校や勉強嫌いな中学生・高校生が進路を選ぶタイミングで、親に何ができるの?

塚﨑:居場所にきた生徒がタフになったのはいくつか原因があって、それをひとつずつ話していくと、

まず、人間同士が集まると当然、人間同士の衝突もある、企画がうまくいかないこともある。そういった「居場所」でうまれるストレスとうまく付き合っていく方法を身につけていく経緯が生徒たちをタフにしてきたということ。

次に、不登校で集団で何かをやることに慣れていなかったり、人間の集団でなにかをやることに対して不安や人間関係を築いていくのに苦手意識をもっていたりする中高生の生徒たちが、スタッフのサポートのもとチームを作り、目標を立て、実践していく。

これをビーンズでは『熱い青春』と呼びならわしていますが、要は試合前の部活っぽさがあるわけです。この経験が悩みを抱える生徒たちを変えていったなと。

長澤:話し合う目標は「今度のBBQで買う肉をどうするか。(肉の)量を取るのか、質を取るか。リブかロースか……!」みたいな内容だったりするわけですけれど(笑)

塚﨑:そうそう。この前は「塾でコーヒーを淹れるんだが、誰に飲んでもらうか。全員に振舞おうとすると、どう考えても豆の量が足りない……」とかで真剣に悩んでいたりして(笑)

やることの内容は大人からみたら大したことがなくても、生徒たちが打ち込めれば、それでOK。

こういった何かを自分たちで決めて、そして小さくても「目に見える形で成果を出した」「仲間と一緒になにかを成し遂げた」という経験こそ、ビーンズにくる生徒たちに自信を与えてくれる。このことをビーンズでは「青春経験」といっていて、生徒たちが進路を自律的に考え出したり、ストレスに打ち勝って自分の将来に向けて頑張ったりする……という状態になるための要件としています。

ま、単純に生徒たちが「授業行くのダルいなー」と感じたとき、「居場所」で自分が参加する企画があったり、楽しみにしているイベントがあったりすると、「宿題できなかった。どうしよう」って気持ちはあるままでも、楽しみな気持ちのほうに引き寄せられて「ま、いっか」と塾に来られるようになったという面もあるので、それはそれで全然OKですが(笑)

今の話に関連して、受験生が集まって皆で進路について語り合うのも、ビーンズの当たり前の風景になってきましたね。

長澤: たしかに。もともとマンツーマン授業で進路指導をおこなってきましたが、それだけだとツラくなっちゃう生徒たち、“不登塾”になってしまう場合が多かったですよね。

塚﨑:よく考えたらそりゃそうで。自分の進路のことを考えるのは、大人である僕だって大変。
もし僕が、いきなり「20年の未来をリアルに見据え、社長として来年の計画を、今、立てろ!」と、誰かから詰められたら(もちろん頑張るけど)相当ストレスがかかる。僕だって不登塾になりかねないでしょ(笑)

長澤: たしかに。それはそう。僕も就職活動は爆烈にストレスがかかりましたもんね。

塚﨑:ストレスになる原因について、あえて言葉にすると「自分自身の将来に対しては、責任を自分でとらないといけないと、皆わかっている」から。

もちろん、責任があるから頑張るってことも起こりうるんだけど、ストレスがかかっている状態では、あまりいいアイデアは生まれないし、大人も子どももストレスがかかっている状態で、なにかを考える時間はなるべく持ちたくない。
だから自分の進路について真剣に考えようとするとキツくなっちゃってYoutubeに逃げちゃう。これは大人も子どもも一緒だと思う。

長澤:たしかに。このことは、居場所や『カコミライプレゼン』エンカレを通して、自分の進路については考えるとツラくなる生徒でも、勝手知ったる仲間の進路について考えるってなると、急にシャッキリして、相手の行きたい進路について質問したり、一生懸命、学校名を調べたりします。他人の進路であれば、みんなぽんぽんアイデアを出すし、ベラベラ喋りだすということに、僕らもあらためて気づかされ、今に至っていますね。


(他人の進路のことだと、饒舌になるのは「岡目八目」だから?)

塚﨑:そうそう。将来や進路を考えると「ウッ」と苦しくなる生徒たちでも、「無責任で楽しい」環境ならどんどんアイデアを出すなと。
で、のちにこの現象を『無責任→有責任のスモールステップ』(の中の『他人事→自分事』) と名付けた(笑)

以前はこんなふうに通塾で受験生たちが自分たちの進路を議論をしてたよね。

「進路を考えること」そのものが、お祭感覚で楽しいって環境と時間を生徒に用意するのが大事だと、つくづく思う。

長澤:たしかに。なお、今もオンラインで「進路相談会」という名前で続いています。これからも進路については、「他人事を楽しく考える」ことをモットーに続けていきたいですね。
(ビーンズの受験生たちの様子は、ビーンズの美談ではないリアルな大学受験物語 「勉強のやる気が出ない」編もご覧ください)

「居場所」における子どもたちの変化のまとめ

塚﨑さんへインタビューを通じ、居場所での生徒たちの変化は、こんな感じにまとめられると思いました。

・生徒たちにストレス耐性がついて、自信がついた
・生徒たちに社会性が身についた
・生徒たちが自分の進路について考えるようになった

ほかにも「チームワーク」や「リーダーシップ」など、いろいろあると思いますが、一番は、ビーンズに“居場所”ができたことで、塾内で生徒たちが笑顔でいる時間が増えたということ。僕はこれが一番の生徒たちの変化だと思っています!


ビーンズのインターン活動について

ビーンズでは「居場所」で生徒と一緒に企画をつくっていくインターンを募集しています。
さまざまな背景をもった、悩める10代が安心できる“居場所”をつくり、挑戦に伴走していく、ビーンズのインターン活動
悩める10代が安心できる居場所・彼らにとって社会の入口となる場所を僕らとつくりませんか。

もちろん社会人の方も、プロボノとして参加可能です。本職で培った技術や世界観を生徒たちへ活かしている方もいらっしゃいます。

例えば、生徒たちがバーチャルで投資体験をする「ビーンズ投資部」。この部活を企画してくれたのは、現職のシンクタンクカーです。本職では、まじめな研究をされていますが、投資部では、生徒たちと一緒に楽しく時間を過ごしてくれています。

「バーチャル投資で大金持ちになって、いつか本当のお金持ちになろう!」と、ゆるくて楽しい雰囲気でやっています。生徒たちはそういう雰囲気だからこそ、部活動に熱心に参加しますし、色々と質問するようになります。

生徒との接し方から、企画づくり、生徒の企画の伴走方法まで、先輩メンターがしっかりお伝えしますので、安心です。

居場所についてもっと知りたい!という方は、こちらの記事もご覧ください。

どうやって生徒たちの居場所をつくるのか知りたい!という方は……

そもそもビーンズって何を目指しているチームなの?という方は……

ビーンズのインターン/プロボノについてもっと知りたい!という方は……


後日談……
ビーンズの居場所の取り組みが日本教育新聞さまに取材されました!

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