”悩める10代”を元気にする『ビーンズメソッド』。その基本『ビーンズスタイル』を説明!
本記事は、ビーンズ社外の協力者の皆さま・採用候補者のみなさん・保護者さまに向けて執筆されました。この記事を読めば、ビーンズがどのような思想・スタンスで生徒をサポートしているのかが分かります!
もちろん、ビーンズメソッド50万字の全てを記事としてお伝えすることはできません……ですので、今回は全てのビーンズメソッドに底流する考え方『ビーンズスタイル』を要約して紹介します!
ちょっと難しい&長いですが、”悩める10代”への対応方法に悩まれている方にとっては、何かしらのヒントになるはずです!
もくじ
”悩める10代”を元気にする『ビーンズメソッド』。その基本『ビーンズスタイル』を説明!
とはいえ、なるべく短い時間で『ビーンズメソッド』の内容、雰囲気を知りたい! という方もいらっしゃると思います。
以下のメディアで、ビーンズメソッドが紹介されていますので、ご覧ください!
ビーンズメソッドの内容が端的にまとめられているのが、こちら。講談社FRaUさんで、ビーンズメソッドの内容が前後編で説明いただいています。
教育ジャーナリストおおたとしまささんに、学習支援塾ビーンズを取材していただいた『不登校でも学べるー学校に行きたくないと言えたとき』。この本をきっかけに、ビーンズメソッドを様々なメディアで紹介いただきました。
特に「ガラスの十代のトリセツ/ビーンズメソッドに学ぶ」と題し、後でご説明する『ありのまま欲求』『ドライブ欲求』そして、『4階構造』といった、ビーンズメソッドの基本的な考え方について、おおたさんにお話しいただきました!
YouTubeからアーカイブ視聴がこちらからご覧にいただけますので、ぜひご覧ください。
そしておおたさん、「情熱大陸」「カンブリア宮殿」などの各種メディアで著名な花まる学習会代表/高濱正伸先生のお二方とビーンズ塾長の長澤が、”悩める10代”の現状、そしてビーンズメソッドの特に重要な考え方について講演いたしました。
講演の様子のダイジェスト版が公開されていますので、ご覧ください。
(有料ですが、講演の全編はおおたとしまさ氏 × 長澤 啓氏 × 高濱 正伸「不登校になっても大丈夫 ~自分で学べる子どもになる支援〜」でご覧になれます)
『ビーンズメソッド』の概要
『ビーンズメソッド』の一覧
と、いうことで。あらためて『ビーンズメソッド』について説明します。
ビーンズの生徒とのコミュニケーション・授業はビーンズメソッドというやり方に基づいて行われます。
ビーンズメソッドには、生徒との雑談方法から進路指導・受験指導に至るまで、悩める中高生を元気にしていく心がまえから、具体的な声掛けの内容まで漏れなく体系化されています。
ビーンズメソッドはざっくり整理すると、以下のメソッド群で構成されています。
・ビーンズスタッフが最初に学ぶ基本的な考え方や技法の体系である『ビーンズスタイル』
・生徒との対話技法である『ビーンズダイアローグメソッド』(BDM)
・同世代に苦手意識を持っている生徒たちを無理なくつなげる技法である『ビーンズファシリテーションメソッド』(BFM)
・国語力UPメソッド/キャリアダイアローグメソッド(生徒の自己分析をサポートするビーンズ独自の対話技法です)/科目指導メソッド/面接指導メソッドを合わせたキャリアサポートメソッド(CSM)
※キャリアサポートメソッド(CSM)の一部については、↓のブログで紹介しています。
『ビーンズスタイル』とは
ビーンズメソッドの全てを紹介しようとすると、ここに50万字以上書くことになるので(笑) この記事ではビーンズメソッドのうち、最も基本であり、最も重要な「ビーンズスタイル」について紹介していきたいと思います。
ビーンズスタイルは、ビーンズメソッド全てにおいて応用されている基本的な考え方・技法のノウハウです。
つまり、ビーンズスタイルの概要を知れば、ビーンズメソッドの大体の方向性を知ることができます。
以下で、ビーンズスタイル内で紹介されている概念や技法について、かいつまんで説明していきますね。
『4階構造』とは
追記:ここからお話しする『4階構造』そして、『4つの時期』は、講談社FRaUさんにて端的に紹介されています。
ある段階までは生徒に「正論」を突きつけてはいけない
ビーンズメソッド「四つの時期」
リンク先を読んでから、本文を読むのもおすすめです。
ビーンズでは、自分の力で、「なんだかんだで毎日楽しく生きていける」状態を実現できていることを、「自立」と定義しています。
そして、この「自立」を達成するためには、「4階構造」と呼ばれる環境・条件を先に整える必要があると、ビーンズでは考えています。
4階構造を理解するうえで最も重要なポイントは、「下の階をしっかり組まないと上の階がグラつく」ということです。
つまり……
「家庭が絶対安心の場になっていない=1階がグラついている状態」では、「家庭の外に出て伴走してくれる大人と関わる=2階を組み上げる」はできません。
「青春経験をしっかり味わっていない=3階がグラついている状態」では、「受験に向かってゴリゴリと努力する=4階を組み上げる」はできません。
(出来たとしても、志望校合格後に燃え尽きるリスクが高いです)
我々大人は、(子どもの将来を心配するゆえに・子どもへの愛情ゆえに)すぐに「4階:挑戦と努力」を行って欲しいと焦ってしまいがちです……
しかし、子どもが「挑戦と努力」ができるようになるためには、その子どもにとっての1~3階がしっかりと組みあがっている必要があります。
まずは、1階から4階がどんな段階なのか。そして、それぞれの階で何をすればいいかをお伝えします。
1階 絶対安心の場である家庭
今から申し上げることの中で、一番大切なことは、この1階「絶対安心の場である家庭」を準備することです。
本来家庭は、時に家の外の世界・社会で削られてしまう子どもの気力を回復させるべき場所です。
子どもにとって「家庭が絶対安心の場」にならない限り、子どもは外の世界・社会で削られた気力を回復させる場所がなく「外の世界に飛び出そう」「(失敗するかもしれないけど)チャレンジしよう」という気持ちになれません。
すると、ますます外に出られなくなってしまい、最終的にはビーンズにも来れなくなってしまいます。
「社会が子どもに現実をつきつける時、子どもが保護者に相談出来る関係をつくることが大事」と伝えると、保護者さまの中には「じゃあ、誰が社会の厳しい現実を我が子に突きつけてくれるんですか?」と質問される方もいます。
ビーンズの答えとしては……
親がどんなに頑張って社会の現実を知らせようとしても、思春期の子どものほとんどは聞く耳を持ってくれません。
いえ、実際は聞いてはいるんですが、そのことが行動変容には結び付かないのです。
我々も思春期のころ、親からいかに正論を言われても、行動を改めない・または反発してしまう……(皆さんも、そういう時ありましたよね?)
また、社会の厳しい現実は、わざわざ親が突きつけなくても、社会側が勝手に子どもたちへ突きつけます。
子どもが自分の課題から逃げていたとしても……以下のようなタイミングで社会が子どもへ現実を突き付けるのです。
「受験勉強や進路選びを頑張っている同世代が視界のなかに入って焦る」
「自分の良くないコミュニケーションスタイルのせいで友達が離れてしまう」
そして、実際に社会の現実を突きつけられたときに初めて子どもは行動への覚悟を持ちます。と、同時に恐怖と不安にも襲われます。
あと、ビーンズにくる中高生に限っていえば「自分が頑張らなくてもどうにかなるさ~ ケセラセラ~♪」と信じている人はいません。
一見、将来のことを全く考えている様子が見えなかったとしても、よくよく話を聞いていくと、自分の将来・自分がこの社会の中で受け入れられるのかという不安を抱えている場合がほとんどです。
(詳しくは、「【高校選び・大学選び】ご家庭でできる! 無気力な中学生・高校生に進路を考えてもらうコツ 第一弾」もご覧ください。)
このタイミングで「家庭が絶対安心の場」であれば、子どもは親に相談したり、「最悪失敗したとしても家庭が受け止めてくれるから挑戦しよう!」という気力を奮い立たせることができます。
子どもの行動変容がおきるのは、この「社会から現実を突き付けられた時」かつ「家庭が絶対安心の場で、子どもが失敗を恐れない」状態であるときなのです。
ただ、保護者さまだけで1階を作り上げることは不可能です。
だからこそ、ビーンズは、保護者さまへのサポートに力をいれているのです。
『絶対安心の場である家庭』をイラストで紹介しています。
2階 伴走してくれる大人
さて。「家庭が絶対安心の場」になってくると、いよいよ子どもは外の世界に漕ぎだします。
ただ、我々大人ですら、社会の荒波のあまりの激しさに、時に怯むことがあります。
(本当は素敵な人もたくさんいて、素敵な動きもある中ですが)悲しいニュースに溢れ、否応なしに恐怖と不安を駆り立ててきて、言いたいことも言えないこんな世の中。ポイズン。
1人で社会の荒波に立ち向かうことは、ちょっとしんどい……。
社会への大海原へ漕ぎ出すオールの手が止まってしまうことだってあります。
ですから、外の世界に漕ぎだした子どもを守り、指導する「伴走してくれる大人」が必要なのです。
学校や近所の遊び仲間などの子どもメインの場や関係であったとしても、程度の差こそあれ大人(先生・近所のおばさん/おじさん/お兄さん/お姉さん)の見守りや指導が存在することを思い出してもらうと、イメージがしやすいかもしれません。
ビーンズが、個別指導に力を入れている理由は、この2階部分をしっかりと組み上げることで、3~4階につなげていきたいからです。
『伴走してくれる大人』をイラストで紹介しています。
3階 青春経験
ビーンズでは青春を、「同世代と楽しさや前向きなチャレンジ精神ベースで関わる経験」とおおまかに定義しています。そして、青春には大きく分けて2種類あるとしています。
<「2つの青春」の具体例>
・「ゆるい青春」…放課後、友達とダラダラと過ごす
・「熱い青春」…全国大会への出場を目指して、仲間と一緒に前向きに厳しい練習をこなす
これをビーンズでは「2つの青春」と呼んでいます。
さらに、「ゆるい青春」は、さらに二つに分類されます。
また何がその人にとって「熱い青春」なのかは「熱い青春3条件」によって判別されます。
詳しくは、『学校に染まるな! バカとルールの無限増殖』の書評-「教育の向かうべき方向性」と「青春」の記事をご覧ください!
この青春経験の中で、子どもたちは大人の手を少し離れて、自力で社会と関わっていける自信を得ていきます。
さらに、目一杯楽しむことで、いずれ来る「4階:挑戦と努力」の構築に後悔や後腐れなく取り組むことができます。
※部活で目標へ向けて仲間とゴリゴリ頑張るなどは、3階と4階を同時に組み上げていっているとも捉えられます。
進学校でも一流になると、生徒たちに勉強そっちのけで運動会や文化祭など「仲間と一緒に目標へ向けて楽しみながらゴリゴリ頑張る」経験をさせてあげる校風の学校が多いですよね。それも、ここに理由があるとビーンズでは考えています。
「ゆるい青春」と、「熱い青春」の青春経験をばっちりさせてあげることが、きたるべき4階「挑戦と努力」へ向けてのウォームアップになっているんですね。
ビーンズが「生徒同士のつながり作り」に力をいれている理由は、この3階部分をしっかりと組み上げて、4階につなげたいからというものです。
もちろん「楽しさベースで1人で延々と趣味に没頭する」という経験も青春に含まれます。
しかし、多くの子どもにとって、「同世代と関わる」経験が青春の外せない要素となっているとビーンズでは考えています。
この、「青春経験」と4階「挑戦と努力」の関係について、こちらの記事で詳しく説明しています。
またイラストで『青春経験』を紹介していますので、こちらもご覧ください!
4階 挑戦と努力
1~3階まで組み上げてから、やっと「挑戦と努力」です。
ビーンズでは「挑戦と努力」を「理想の自分と現状の自分の差分を受け止めて、その差分を埋める行為を自分事として真正面から引き受ける経験」と定義しています。
ちょっと言い回しが独特ですよね……
具体的には、
・志望校合格に向けて、自分の偏差値の差分を理解し、努力する
・検定試験の合格に向けて、残り日数と試験範囲を勘案しながら、努力する
・何かしらのコンテストでの入賞を目指し、昨年の入賞者のグレードを目標に頑張る
・自分のコミュニケーションスタイルを見直して、友達作りを頑張る
といった経験を指します。
詳しくは後述しますが、人間は多少なりとも、「自分でリスクを引き受けて成功したい」という『ドライブ欲求』という欲求を持っています。
そして、このドライブ欲求を満たすことも「毎日なんだかんだで楽しく生きていく」という状態を達成するために必須であると考えています。
ですから、ビーンズでは、挑戦期(後述)に入った生徒の挑戦と努力を熱く・本気でサポートするのです。
『挑戦と努力』をイラストで紹介しています。
『4階構造』と『4つの時期』の対応関係
ビーンズは、生徒(塾生)が入塾してからの状況の遷移を『4つの時期』という考え方で整理し、時期ごとで対応方法を変えています。
(『4つの時期』についての詳しい解説はリンク先をご覧ください)
では、4階構造の何階に、『4つの時期』のどの時期が該当するのか、お伝えしていきます!
1階『絶対安心の場である家庭』の構築と強化は、ビーンズに関わり始めた段階である、信頼関係構築期に最も力を入れます。
家庭が生徒にとっての絶対安心の場になればなるほど、生徒とビーンズとの信頼関係構築が早まるからです。
また、1階は2~4階の基礎となる、もっとも重要な部分なので安定期以降も継続して強化していきます。
2階『伴走してくれる大人』の構築と強化は、信頼関係構築期と安定期(前半)に力をいれます。
3階『青春経験』の構築と強化は、安定期(後半)と挑戦期で行います。
なぜ挑戦期にも「青春経験」の構築と強化を行うことがあるのでしょうか。
ビーンズの『BFS』を通じて、仲間と協力して塾内イベントの企画と運営に汗を流す生徒もいます。
そして、同世代で何かを企画し成し遂げること、そのものが挑戦になる生徒もいるからです。
4階「挑戦と努力」の構築と強化は、挑戦期で行います。……これの説明の必要はないですよね(笑)
2つの根源的欲求と2つのストッパー
では、4階構造を完成させるために、ビーンズが用いている根幹的な技法について説明していきたいと思います……!
その根幹技法を説明するためには、まずビーンズの人間観を説明しなければなりません。
「人間観」って言われると、やや、大仰な感じがしますよね……。
実際、ちょっと複雑な話になってしまいますが、読んでもらえれば「ああ、確かに」と思っていただけると思うので、お付き合いください……!
《ビーンズの人間観》
人間は「ありのまま欲求」「ドライブ欲求」という2つの根源的欲求を持つ。
これらを満たし続けることで「4階構造」が完成し「なんだかんだで毎日楽しく生きていける状態」になる。
『ありのまま欲求』のストッパー
「ありのまま欲求」とは、
「ありのままの自分でいたい」「ありのままの自分を丸ごと承認して欲しい」
という欲求です。
しかし、ありのまま欲求を最初からのびのびと満たせる人間はいません。
なぜなら、「ありのままでじゃダメだ」「ありのままの自分では愛されない」というストッパーが心の中で生じるからです。
一部の子どもが学歴や科目勉強などに恐怖と不安ベースでこだわるのは、このストッパーが原因です。
《ポイント:ストイック至上主義について》
ありのまま欲求の代表的なストッパーに『ストイック至上主義』というものがあります。
ビーンズには「自分はストイックにならなければならない」という「タテマエ」から生まれる恐怖と不安のあまり、行動すること・努力することができない生徒がいます。
「ストイックであること」は目的を達成するための手段に過ぎませんが、上記のような生徒は「ストイックであること」自体を目的化し、かつ「楽しいこと=罪」であると認識している場合が多いです。
ビーンズでは、このような生徒の考え方を『ストイック至上主義』と呼びます。
ストイック至上主義の生徒は、ビーンズの授業が楽しければ楽しいほど
「こんなに楽しいことが自分の成長に寄与するわけがない」
「(本来苦しいことをやるべき)塾でこんな楽しい時間を過ごしてはいけない」
とアレルギー反応がおき、最悪“不登塾”になってしまいます。
このストイック至上主義の怖いところは、昨日まで特にストイック至上主義ではなかった生徒が、進路や勉強への焦りからストイック至上主義に短期間で変わってしまうこと、また、ストイック至上主義には誰にでもなる可能性があることです。
ストイック至上主義になっている生徒と楽しさベースの時間を過ごす際は「(ビーンズでの)楽しい時間が、生徒のストイックな姿勢を貫くことに結果的に寄与する」というストーリーをたてて、生徒へしっかりと説明をする必要があります。
『ありのまま欲求』とストッパーをイラストで紹介しています。
『ドライブ欲求』とストッパー
『ドライブ欲求』とは、「自分でリスクとコストを引き受けて、成功したい」という欲求のことです。
成績を上げる際も、友達との付き合いも、ありとあらゆる遊びも、自らは何もリスク・コストを引き受けず、自分で何も決めない……そんな状態だと味気なくつまらないのです。
重要なのは、「自分でリスクとコストを引き受けて」という部分です。
人間が快感を得るためには、利益を獲得する際の「失敗するリスク」「時間的・金銭的・体力的代償」などのコストも同時に求めます。要は「自ら苦労し、頑張った感覚」が欲しいということです。
例えば、日本に住んでいると、ほとんどコストを感じずに得られる水道やネットをはじめとする各種インフラに対して「やったー!高速ネットつながる最高!美味しいキレイな水が水道から出てくる!うれしいー!」と快感や満足感を得たりする人はいないでしょう。
なぜならそこには、「自分でコストを引き受けて、自分で決めて実行するときに感じるドライブ感」がないからです。
※なお、同じネット回線でも「初めての一人暮らしで、自分でネット回線を吟味し、申し込み、契約して快適なネット通信を確保した」となると、上記の「自分でコストを引き受けて、自分で決めて実行するときに感じるドライブ感」を得ることができます。
しかし、ドライブ欲求を満たす際、「リスクとコストが怖い」というストッパーが心の中で働きます。
ビーンズの生徒たちが、いきなり何かに挑戦できない(=自分事には取り組めない)のはこのリスクとコストが怖いというストッパーが原因です。
『ドライブ欲求』とストッパーをイラストで紹介しています。
悩める10代のストッパーを外す、3つのスモールステップ
先に紹介した『ありのまま欲求』と『ドライブ欲求』という根源的な2つの欲求。
これらを満たそうとする際にどうしても生じてしまう『2つのストッパー』。
そして、この『2つのストッパー』を無理なく解除していく技法が、
『同質→異質のスモールステップ』
『タテマエ→ホンネのスモールステップ』
『無責任→有責任のスモールステップ』
という3つのスモールステップです。これらのスモールステップは、ビーンズメソッドのあらゆる分野で応用される根幹技法となります。
本記事では、悩める10代のサポート技法の体系『ビーンズメソッド』の内、最も重要な『ビーンズスタイル』から、この3つのスモールステップについてお話しします。
基本のスモールステップ『同質→異質のスモールステップ』
この同質→異質のスモールステップは、後で紹介する『タテマエ→ホンネのスモールステップ』『無責任→有責任のスモールステップ』の基礎となる考え方です。
例えば、ドライブ欲求・ありのまま欲求のストッパーを解除するときに、いきなり「異質なもの」を突き付けると生徒が傷ついてしまいます。
最初は、生徒と「同質なもの」を意識したコミュニケーションをとります。
「同質なもの」とは、生徒の世界(想像力・知識・価値観など)の範囲内のもののことです。
まずは生徒の世界観の範囲内でコミュニケーションをとり、生徒に安心してもらい、信頼関係を築く。
そして、徐々に異質なもの(生徒の世界観の範囲外のもの)を生徒に与えたり、ネタにして話していきます。
◎「同質なもの」の例
生徒の進路観(偏差値至上主義)を否定しないもの
生徒が想像できる範囲内のもの(生徒自身の趣味の話)
生徒と同じような経験をした同世代との関わり
◎「異質なもの」の例
生徒の進路観にゆらぎを与えるもの(専門学校を卒業して、毎日楽しくバリバリ稼いでいるビーンズの先輩の話)
生徒の想像の範囲外にある話題(講師の海外経験の話)
生徒とバックグラウンドが違う先輩や大人たちとの関わり
『同質→異質のスモールステップ』をイラストで紹介しています。
『タテマエ→ホンネのスモールステップ』
「本当はありのままでいたいけど、ありのままの自分じゃいけない」
「本当は自分がそうなるのは辛いけど、人間とは〇〇であるべきで、〇〇になれるように絶えず努力をするべきだ」
……といった恐怖と不安をベースにしたストッパーのことをビーンズでは「タテマエ」と呼称しています。
《例》ビーンズの生徒たちのあるあるのタテマエの例
・私は勉強が好きなんです(本当は、好きじゃない)
・私は勉強しないといけないんです(本当は、したくない)
・私はいい大学へ進学したい(いい大学に行かないと評価されないという不安ベース)
・私は学校へ行かないといけない(学校に行かないと評価されないという不安ベース)
一方で、「ありのままでいたい」「本当は〇〇したい」というようなタテマエの裏にある思いを「ホンネ」と呼称します(「ホンネ=ありのまま欲求」と捉えてもいいでしょう)。
以下で、タテマエ→ホンネのスモールステップの代表的な技法を紹介します。
『表層ニーズ→深層ニーズ』
表層ニーズとは、
・自分が本当に求めているものが分からないから、とりあえず求めているもの
・本当は求めていないけど、タテマエを守るために、とりあえず求めているもの
のことです。
人間は表層ニーズが満たされない限り、安心してホンネ(深層ニーズ)をさらけだすことができません。
ですから、相手の深層ニーズがいち早く理解できたとしても、まずは表層ニーズをしっかりと満たす必要があります。
ここで、表層ニーズと深層ニーズが食い違っていたものだとしても、まずは表層ニーズを満たすことが重要です。
《実践例》
生徒の表層ニーズ:偏差値の高い大学に行きたい
深層ニーズ:偏差値の高い大学を目指すのはきつい。今は信頼できる人と他愛のない話しをしたい。
上記のような表層ニーズと深層ニーズを持っている生徒に対しては、以下のステップで対応します。
・STEP1 表層ニーズを満たす
生徒の偏差値信仰を崩さずに、偏差値の高い大学への受験への道すじを生徒が現実に傷つかない範囲で伝えて、安心してもらう。
・STEP2 深層ニーズを満たす
表層ニーズを満たして安心してもらったところで、徐々に雑談を増やしていく。
『理由つき承認→存在承認』
ありのまま欲求を満たすためには、当然、ありのままの存在自体に対する「存在承認」が必要です。
しかし、信頼関係が築けていない人間から、「ありのままのあなたが一番だよ」と言われても、「え?」ってなりますよね(笑)
ですから、存在承認ができるようになるために、まずは「理由つき承認」を行っていく必要があります。
そして、理由つき承認をやっていく過程で、会話量を増やしていくなどして信頼関係を築き、徐々に存在承認へともっていきます。
なお、理由つき承認→存在承認は以下の2つに分類されます。
◉機能承認→存在承認のスキル
お手伝いなどを講師と一緒にやっていく過程で、生徒が講師に貢献してくれたこと(機能)を承認しつつ、会話量を増やしていって、存在承認までもっていくスキル。
◉ビフォーアフター承認→存在承認のスキル
過去よりも、現在は事実レベルで前に進んでいることを指摘して、その前進を承認する。そこから、前進できた生徒の存在自体を承認していく。
『共感→ノーロジック承認』
自尊心が低い生徒は、タテマエ(ストッパー)に起因する自己否定が多くなってしまいがちです。
良かれと思って生徒の自己否定に対して反論することは、相手のタテマエを傷つけ、さらに相手の自己否定を深めてしまうことにつながるケースがあります。
さらに、相手のタテマエ(ストッパー)をロジカルに崩そうとすると、論争になってしまい、進展が生まれないどころか、逆に傷つけてしまいます。
まずは、生徒の「自己否定すら否定しない」という姿勢を徹底し、その苦しみにひたすら共感します。その後、論破のしようがないように、ロジックなしで堂々と承認していきます。
『共感→ノーロジック承認』の実践例生徒:私はどうせ何もできないし、どうせ志望校に受からないんです
講師:そうか~。何もできないんやな。オーケー。まあでも大丈夫。
※このとき「そんなことないよ! ~~とかできるじゃん!」とは言わないのがビーンズ流。
「自己否定も否定しない」と呼びならわしています。
誰がなんと言おうと、先生は君のことすごいって思ってるから。
※完全に主観の情報を伝え、生徒が論破のしようがない『ノーロジック承認』を行います!
あと、受験の話だけど、百戦錬磨の先生に任せれば、ぜ~んぶなんとかなるから、安心したまえ(キリッ)。
生徒:え…… あ、はい(笑)
『自己否定を否定しない』『ノーロジック承認』についてイラストで紹介しています。
『無責任→有責任のスモールステップ』
ドライブ欲求を満たすスモールステップが、『無責任→有責任のスモールステップ』です。
「リスク・コストが怖い」というストッパーを無理なく解除していき、ドライブ欲求を満たしてもらうためのスモールステップです。
自分で引き受けないといけないリスク・コストのことを、ビーンズでは「責任」と呼称しています。
そして、責任がない状態を「無責任」、責任がある状態を「有責任」と定義しています。
「リスク・コストも自分で引き受けて成功したい」という欲求がドライブ欲求ですから、どの生徒も最終的には有責任の状態を目指していきます。
しかし、いきなり有責任の状態にもっていこうとすると、「リスク・コストが怖い」というストッパーが発動して、状況改善が止まってしまいます。
ですから、無責任の状態から始めて、徐々に有責任の状態に近づけていきます。
『他人事→自分事』
無責任の状態に近い他人事から始めて、有責任の状態に近い自分事に徐々に近づけていく技法が『他人事→自分事』です。
人間誰しも、自分事にはストレスを感じてしまいます。しかし、他人事ならばある程度ストレスなく取り組めます。
例えば、「自分が10㎏ダイエットしないといけない」という自分事に取り組むのは、誰しもストレスがかかります。
が、「友達が10㎏ダイエットする方法について、アドバイスしてあげる」という他人事ならば取り組みやすいですよね。
そして、他人事としてダイエットのアドバイスであれば、アイデアが溢れてきますし、やいのやいの言うのは誰だって楽しいもの。そうやっているうちに、少しは「自分でもやってみよう」という気になってきます。
野球の観戦をしているうちに自分も野球を始めたくなったり、囲碁のアニメを見ているうちに自分も囲碁を始めていたりする構造を意識的に作っていくのと同じです。
この『他人事→自分事』を進路指導に当てはめると、いきなり「自分の進路について考えよう」と言葉がけするのではなく、「まずは他の人が進路を楽しく考えているのを見よう/場合によってはアドバイスしよう」などと言葉がけすると良いということです。
この「他人事→自分事」という技法は2つのスモールステップで紹介される全ての技法の中で最も使用頻度が高い技法です。
ビーンズでは生徒が特に進路を考える際、まず『他人事』で進路を考える機会を持つことをとても大切にしています。
<他人事で進路を考えていく授業の様子>
『他人事』についてイラストで紹介しています。
『遠い将来→近い将来』
自分事であっても、「遠い将来」であればある程度ストレスなく考えることができますよね。
逆に「近い将来」についての話題は、今すぐ動き出す必要があるので有責任の状態に近くなり、ストレスを感じてしまいます。
「来週の定期テストでどうやって赤点を回避するか」
「来年度の受験でなんとか志望校に受かる方法」
こういった差し迫った将来について考えるのは誰しもつらいもの。
逆に「30年後、どんな仕事についているのが理想か」といった遠い将来の話であれば比較的、アイデアが出やすいですよね。
ビーンズでの進路指導もこの『遠い将来→近い将来』に則って行われます。
例えば中学生への進路指導は、彼らにとって近い将来である高校受験の話から入るのではなく、大学での学問や、もっと雑なサークルなどの話からスタートすることが多いです。
同じように高校生への進路指導は、近い将来の大学受験の話から入るのではなく、大学生スタッフの「レポートのリサーチ」とか「就活の業界調査一緒にやってくれない?」といった話題からスタートすると生徒がストレスなく話をしてくれるようになります。
このように、遠い将来の話題からスタートすることで、将来について考えることへの抵抗感を徐々に薄れさせていき、最終的には無理なく近い将来の話題について取り組めるようにしていきます。
『遠い将来』についてイラストで紹介しています。
『放言→責任ある発言』
「放言」とは、「言ったら言いっぱなしな、無責任な発言」のことです。もちろん、「責任ある発言」(もしくは責任ある思考)ができるようにならないと、ドライブ欲求を満たすことはできません。
しかし、いきなり有責任の状態にもっていこうとすると、
「ちゃんとした発言をしないと……」
「ちゃんとした発言をするためには、ちゃんと考えないと……」
「ちゃんと考えるためには、データが必要だから調べないと……」
「ちゃんとした発言をしないと恥をかいてしまう……」
こうなってしまい、どんどん発言へのハードルが高くなってしまいます。
大人だってそうですよね。
新入社員のときに「来年の仕事の目標を考え、プレゼンしろ」と言われたら怖くなってしまいます。
でも、飲み会で無責任に「来年は、〇〇やるぞぉ~! がんばるじぇ~」というのは気持ちいい。
ですから、子ども(生徒)が放言できる環境と時間を整えることがまずは重要です。
将来についての話題を話す場合を考えましょう。
「youtuberになりたい!」
「ゲーム配信で食っていく!」
「高校卒業したらアメリカに行く!」
といった、子どもの大人側からすると「ええぇ…… ちょっと野心すぎやしないか、そのプラン」といった内容を聞く際、大人側がその実現可能性を深く考えずに、子どもが無責任にベラベラ喋れる環境と時間を整えることが重要なのです。
もしここで、このような放言に対して、我々大人が
「どうやって夢を実現するの?」
「まず、なにからスタートするの?」
「いつから始めるの?」
といった、責任ある発言をいきなり求めてしまうのはNG。
子どもは「ウッ……(つらい)」となってしまい、将来について発言すること自体に抵抗感を持ってしまい、大人の前で将来について話してくれなくなるばかりか、「将来の事を考えることはツラく恐ろしいことだ」という考えを強く持ってしまうキッカケともなってしまいます。
同じように、保護者さまが我が子の将来を心配するあまり、
「本気でその仕事に就きたいと思っているの?」とか
「そんな無謀なこというんじゃなくて足元を見なさい」などとおっしゃってしまうことがあります。
これも子どもへ責任ある発言を求めている状態ですので、避けた方が良いでしょう。
そういう話は、時期がきたら(挑戦期になったら)ビーンズ側から差し込んでいきます。
ですので、ご家庭では子どもが大言壮語を、無責任に、思い切りできる環境を整えていただいたほうがよいのです。
『放言』についてイラストで紹介しています。
ビーンズが、理論と型化された方法論を大事にする理由
ビーンズは、真心と日々の実践に加えて、理論と型化された方法論も大事にしています。
こういうと「なぜ、ビーンズは理論と型化された方法論を大事にしているのですか?」と、よく質問されます。
そして、この質問の背景には、
「10代の状況は千差万別なのだから、理論や型化された方法論(以下、方法論)を重視するのは良くないのでは?」
といった価値観がベースにあることが多いように感じます……
「なぜ、ビーンズは理論と型化された方法論を大事にしているのか」について、4点に分けて説明します。
まず1点目です。
「10代の状況が千差万別であること」には全く異論ありません。
それでも、「悩める10代」を生んでしまう構造・「悩める10代」の悩みの内容※は、最大公約数的に定義することが可能だと考えています。
※
詳しくは……世田谷区議 原田竜馬 「世田谷区から解決したい、子ども・若者の生きづらさ」の記事で紹介しているデータもご参考ください。
そして定義づけられた「悩める10代」を生み出す構造と、悩みの内容にアプローチする理論と方法論は一定の効果を持ち、むしろ「10代の状況が千差万別」であるからこそ、理論と方法論の必要性が増すはずと考えます。
なぜなら、学習支援塾ビーンズのメンバーが、基準となる理論と方法論をあらかじめ内面化していることで、ゼロベースでサポートの方針を考える必要がなくなり、目の前の「千差万別な10代の状況」に迅速に対応することができるからです。
悩める10代には大人の善意に基づいた「常識」や「真心」が通じない場合がある
次に2点目です。
ビーンズにやって来る「悩める10代」たちは大人の何気ない一言・振る舞いで、深く傷つき、ビーンズに来なくなってしまうこともあるからです。
例えば、「不登校でも大丈夫! 好きなことをやっていこう!」といった明るいメッセージですら傷ついてしまう生徒もいます。
かと思えば、「悩みをなんでも相談してごらん。優しく寄り添うよ。」的な大人の優しい振る舞い・姿勢に深く傷ついてしまう(※)生徒もいます。
※
なぜ傷ついてしまうのかについては「ビーンズメソッド」で理論をもとに説明しています
大人の善意に基づいた「常識」や「真心」が通じない場合が存在し、かつ一度の傷つきで、その生徒が不登塾となってしまう場合が存在し、しかもビーンズ以外の教育プレイヤーや支援者だと代替が効かない(他の教育プレイヤーや支援者だとミスマッチになる)場合があります。
ですから、「悩める10代」たちの傷つきをできるだけ減らすための理論と方法論が必要なのです。
かつ、サポートする側全員がその知識を内面化している必要もあると考えています。
悩める10代のサポ―ト方法に完全解はないが、正解に近いものを実践する必要がある
3点目です。
ビーンズは、理論と方法論をたくさん準備しているからといって、
「この理論や方法論が絶対的な正解として実践せよ!」
「この理論や方法論は永遠に変わらない!」
などと思っていません。
そもそも、10代(というか、人間全て)の精神的なサポート方法や成長への伴走方法に完全な「正解」なんてないと考えています。
なぜなら「悩める10代」の悩みが生まれてくる背景には、その時々の社会構造と個々人の生育歴が相互影響しています。
そのため、テクノロジーの発展などにより社会構造が変化すれば、人々の悩みの原因もサポート方法も変化していくものだと考えているからです。
一方、サポートの現場では、今、現在の知見・経験から「正解」に近いだろうと思えるもの(便宜上「正解に近いもの」と表現します)を仮置きし、それを実践しなければいけません。
「人間の対応に正解はないなら、サポートはしたくないです」
「自分は完璧な正解しか知りたくないし、実践したくないです」
という考えは、悩める10代が増え続けている現場では通用しません。
確かに理論と方法論も完璧な正解ではなく、仮置きのものであるかもしれません。
しかし、現状では「これが正解に近いだろう」と思える内容をサポートする側が共有し、実践していく姿勢が求められます。
学習支援塾ビーンズの理論と方法論は、目の前の悩める10代一人一人、瞬間、瞬間の「正解に近い」サポートにより近づくための思考の基準点として用意しているのです。
サポートの失敗とタイムラグを減らしたい
すると……
「目の前の人間に対してパターンで認識し、パターンで対応することが心理的に嫌だ」
「目の前の人間に対して瞬間瞬間、必死で想像力を働かせることが人間的な関わりなのではないか?」
「思考の基準点としての理論と方法論があることで、それに囚われ、かえって目の前の子どもに対する想像力が働かなくなるのではないか? 」
という想いを持たれる方もいらっしゃると思います。
確かに思考の基準点としての理論と方法論は、「想像の制約」にもなり得ます。
私達の思考の足かせになる可能性は否定できません。
しかし、思考の基準点がないまま、デリケートな悩める10代一人一人の心の機微を瞬時に推測し、機転を利かし当意即妙な受け答えをする…… というのを続けるのは現実的ではありません。
ビーンズの悩める10代をサポートする理論と方法論は、過去の成功例と失敗例から編み出されています。
もし、悩める10代の一人一人の状況に、一から自分で解釈し、サポート方法を考えて、サポートしようとすると……
まず、悩める10代には、大人の善意に基づいた「常識」や「真心」が通じない場合があるので、失敗の可能性が高くなります。
仮に、悩める10代の一人一人、その時々の状況に対して解釈に時間をかければ失敗の可能性を低くすることができるとしても(そんなことはないのですが)、今度はサポート実施までにタイムラグがうまれてしまいます。
これでは悩める10代たちからの信頼は得ることはできません。
過去の成功例と失敗例から編み出されたサポートの理論と方法論を「正解に近いもの」として用意することで、大学生インターンを含むサポートする側が、スピーディーに目の前の生徒の状況を把握し、サポートを実践できます。
サポートの正解はどこにあるのか?
悩める10代をサポートする理論と方法論について「正解に近いもの」とは、どこに存在するのでしょうか。
ビーンズでは、「正解に近いもの」は
【真心】目の前の相手や社会への素朴で本能的な真心(良心)
【実践】現場での絶え間ない実践
【理論】常に検証される理論と型化された方法論
の3つの間に、形を常に変えながらふわふわと存在していると考えています。
真心と実践の限界
先にお伝えした通り、悩める10代には大人の善意に基づいた「常識」や「真心」が通じない事がしばしばあります。
真心と実践だけだと、サポートする大人側の一人一人の個人的人生経験に依存した「その人の視野(常識)」(個人の価値観・経験・勘)でサポート内容が左右されてしまいます。
ですから、サポートする側の真心と実践だけで、悩める10代をサポートしようとすると、サポートの効果が出ない、または逆に悩める10代を傷つけてしまうリスクが増えてしまうのです。
理論と方法論を文字化するメリット
「個人の価値観・経験・勘のみを重視しすぎると、偏った考えで、悩める10代に接してしまうおそれがあるなら、理論と方法論だって、作り手の経験や価値観から生まれているのだから、偏りがあるのではないか?」
と疑問に思う方もいらっしゃると思います。
まず、理論と方法論を全て文字化しているところが、個人の価値観・経験・勘によるサポートとの大きな違いだと思っています。
学習支援塾ビーンズの現場で生まれた知見や経験を全て文字化するのは、一人ではできません。
構成を作る人、文章を書く人、校正・校閲をして、現場からのフィードバックを経て添削するまで、たくさんの人が関わっています。
つまり、学習支援塾ビーンズの理論と方法論は、学習支援塾ビーンズのサポートの現場に参加する多くの人の価値観・(これまでのサポートの現場で培われた)経験・勘を取り込んで編み出されているのです。
また、理論と方法論を全て文字化することで、よりよいサポート方法にするための改善点を絞り込むことができます。
まず、理論や方法論は不完全さを前提としています。
ビーンズの理論や方法論は、現在の社会情勢に影響を受けた悩める10代たちの悩みをサポートするように最適化されています。
言い換えれば時が経ち、社会情勢が変われば、10代の悩みの背景や悩みの質は変わっていきますし、そうなれば理論や方法論の一部は変わらざるを得ません。(理論の一部は、時代の変化にも耐えられる普遍性もあると信じていますが)
時代が変わっていく中で、今あるビーンズの理論と方法論ではサポートしきれない子ども達の悩みが出てきた場合、それを現場のメンバーたちが声をあげ、その声をチームで分析し、集合知として理論と方法論を修正していきます。
そしてこれは今までのビーンズメソッド(理論と方法論)50万字が作られていった過程そのものであります。
サポートの現場にいるメンバー一人一人のサポートの現場で培われた経験・勘という暗黙知を、形式知(理論と方法論)としてチーム内で共有し、状況が変れば現場の声と暗黙知を分析・統合して新たな理論と方法論をつくりあげる……。
この「ナレッジマネジメント サイクル」がビーンズメソッドを作り上げてきましたし、今なおメソッドの内容が更新され続けている理由でもあります。
もしも、この時、サポートの理念や方法論が口承文化や個人の価値観・経験・勘だとすると、いざ改善しようにもどこから手を付けていいのか分からず、とても大変ですよね……。
もちろん、サポートする人全員(ビーンズならメンバー全員)が一堂に会して、サポート方法について喧々諤々の議論をする…という手もあります。
しかし、ビーンズの現場では現実的ではありません。
ビーンズでは「悩める10代とその隣で泣いている保護者さま」の事件が毎日(毎時間)おきます。
そのたびに、サポート方法について論じる……そのような時間はありません。
そもそも生徒・保護者さまのサポートに日々ほとんどの時間を使っているので、サポート方法を(サポートする人全員が一堂に会して)論じるための時間はどうあってもとれないのです。
ですから、ビーンズは悩める10代へのサポート理論と方法論を文章化し、それを生徒・保護者サポートを洗練させるための「ビーンズのメンバーが悩める10代へのサポートをどうすればいいかを考えるための思考の基準点」としました。
文章化された「思考の基準点」があることで……
・(メンバー全員が集まらなくても)多くの人間が
・(ネットさえ繋がっていれば)いつでもどこでも、時間をかけて
・資料が完成した後も、継続して
サポートの現場の声を反映して、理論・方法論を更新・添削し、新たなサポート方法を生み出すことができるようになったのです。
また、過去のサポートの現場での失敗事例を類型化し、資料化することで
「こういう大人側の思い込みが、生徒にとって悪影響なのか」
「この言葉がけは一般的にはよいものとされているけど、こういう場合は控えたほうがいいのか」
といった、大人の善意に基づいた「常識」や「真心」が通じない場面を理解することができるようになるので、サポートする側の安心感が増し、大学生インターンが自信をもって生徒をサポートできるようになります。
またその結果、生徒が「もうビーンズには行かない」といった事態(不登塾)を減らすことができたのは、見逃せない変化だと思います。
理論と方法論を文字化するメリットのまとめ
ここまで理論と方法論を文字化することのメリットについて、お話ししてきました。
あらためて、「理論と方法論を全て文字化し、マニュアル化すること」のメリットについて以下にまとめます。
・サポート方法を決める意思決定までの時間を節約できる
・サポート方法について論点があれば、それを整理することができる
・サポート方法についてのメンバー同士の意見の衝突を事前に解消できる
・サポート方法の属人化を防ぐことができる
・サポート方法についてのメンバー一人一人が持つコツ(暗黙知)を蓄積できる
・サポート方法のコツや方針を更新することができる
以上が、
・悩める10代の現状を理解し、状況改善へつなげる理論
・悩める10代の様々な状況に対応するサポートの型・方法論
をビーンズが文字化し、構築している理由です。
『ビーンズメソッド』に興味をもってくれた方へ
いかがでしたでしょうか……!? めちゃくちゃ長かったですよね……!
ただ、これでも、最初にも説明しましたが、今回紹介したのは『ビーンズメソッド』の中の、ごく一部の『ビーンズスタイル』の、さらに要約版なんです……(笑)
つまり、『ビーンズメソッド』全体になると、この記事の100億倍の情報量になるのでGoogleのサーバーが圧迫され、Youtubeが見れなくなるともいわれているので(嘘です)このへんにしておきます。
すでにご紹介しましたが、講談社FRaUさんで、ビーンズメソッドの内容が前後編で掲載されています。
『10代の心をフリーズさせるもの…不登校専門塾が教える「大人がやってはいけない」こと』
『生きる重荷を軽くしたい…不登校専門塾が提案する“子どもを幸せにするための法則”』
ながーいビーンズメソッドの内容が端的にまとめられているので、おすすめです!
さて、最後に……この記事を読んでくださった皆さまへお願いがあります。
ビーンズメソッドに興味を持っていただいた保護者さまへ
お子さまをビーンズに通わせていらっしゃる保護者さまへ
保護者さまが「絶対安心の場である家庭」を作り上げることができるように、これからも全力でサポートしてまいります!
お困りごとがございましたら、引き続きチャットでお知らせくださいね。
ビーンズへ入塾を検討されている保護者さまへ
ここまで読んでいただけたということは、ビーンズとの(お子さまと、そして保護さまとの)相性が高い可能性があります。
ビーンズの授業内容について、もっと知りたい!という方は、ぜひ「教室の雰囲気」をご覧になってみてください。
ビーンズの将来の仲間たちへ
ビーンズではビーンズメソッドを学ぶ「インターン」を募集しています!
たくさんのマニュアルを読み、テストを受けることになりますが、インターンを修了するころには、自信をもって”悩める10代”たちの伴走ができるようになること請け合いです!
なお、インターン課程修了後は、「長期インターン」(有償)として、子どもたちと長期的に伴走していく道もあります。
そもそもビーンズって何を目指しているチームなの?という方は……
ビーンズのインターン/プロボノ活動についてもっと知りたい!という方は……
協力者・メディアの皆さまへ
ビーンズの方針にご共感いただけたら、ぜひ、ご一緒できる新たなつながりやきっかけをいただけると嬉しいです!!
今、ビーンズは取材を積極的にお受けしていきます。
不登校に限らず、進路を考えると不安になって何も手がつかない中学生・高校生を元気にしていくことには実績と自信があります。
また、そんなお子さまを持つ保護者さまへのアドバイスもぜひお任せください!
取材の実績など
メディア掲載などの事例はこちら。
講演会/出張授業の様子
応援していただいる方々
メディアに限らず、今までビーンズを応援していただいた皆さまの紹介記事です。
お、面白そう!と思ってくれた方は、こちらからご連絡ください。
図々しくてすみません……!! 日本中の中高生を元気にするとなると、やらねばならないことが多すぎて、どうしてもたくさんお願いしたいことがあるんです…… この御恩は100万人の中高生を元気にできた暁に必ず返します!