【ビーンズ流】チャレンジスクール 作文のコツ 自宅でできるポイントまとめ
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【ビーンズ流】チャレンジスクール 作文のコツ 自宅でできるポイントまとめ
チャレンジスクールの受験では、「志願申告書・作文・面接」の総合点で合否が決まります。
そのうち近年、配点が上がっているのが「作文」です。
本記事では、ビーンズの塾長・長澤がビーンズで指導している作文対策のコツのうち、ご家庭でもできるポイントに絞って紹介していきますので、ぜひ参考にして頂ければと思います。
長澤啓(Nagasawa Kei)
学年ビリから二浪し東京大学へ入学。ビーンズの活動が楽しすぎ、留年。経済学部経営学科卒。
ビーンズが積み上げてきたノウハウを「ビーンズメソッド」として文字化し、より洗練するのがメインのお仕事。さらに、親との衝突が絶えなかった自身の経験を活かし、保護者とのコミュニケーションにも注力。保護者さまと月100件以上やりとりをしながら、ビーンズ流の保護者さまサポートを拡充中。最近は塾長として、講師の採用育成プランの策定・総務(経理)・経営企画までマルチにこなす。趣味はビールを飲みながら出汁巻き卵をつくること。
■インタビュー/詳しい自己紹介
・学校の勉強についていけなかった僕が東大に合格するまでと親と対立した日々について
作文指導のタイミング
チャレンジスクール受験生の多くは、作文に不安を抱えています。そのため、早く作文の練習をしたがる傾向にあります。
しかし、「作文に書くネタ考えること」と「文章を書くこと」を同時にすすめるのは、子どもたちにとって非常に難しいことなのです。
まして、チャレンジスクールの作文の問題内容は、大人から見ても難しい内容です。
ですからビーンズでは、チャレンジスクールの作文対策は一番最後に取り組むものとしています。
順番としては「志願申告書の執筆⇒面接でどんな質疑応答をするかの台本作り⇒最後に作文対策」という流れで指導しています。
この順番である理由は「志願申告書」と「面接台本」で考えた内容は、どちらも共通して、作文対策に使えるためです。
また、ビーンズでは、チャレンジスクールは作文考査で"子どもが以下三つの事柄について評価している"と考えています。
①自分の将来を主体的に考えることができているか
②自分の考えを構成だてて伝えられるか
③難しく・新奇性の高い課題に対して あきらめずに集中力を持続させられるかどうか
子どもが「①自分の将来を主体的に考える」ための補助線・助走として、(以下STEP1と2の)志願申告書を先に書き、そして面接内容を考えておくことが効果的だと考えています。
以下のSTEPを踏むことで効率よく作文対策を含めたチャレンジスクール対策を進めることができます。
・STEP1:志願申告書執筆をおこなう
・STEP2:志願申告書作成の過程で棚卸しした自分の経験や考えを基にして、面接台本を作成する
・STEP3:志願申告書と面接準備で明らかになった「自分の考え」を軸にして、作文課題の答えを導き出す(作文練習をする)
作文練習の最初はチャレンジスクール各校の過去問チェック!学校ごとの出題傾向をつかもう!
では、STEP3の作文練習では何から始めるといいのでしょうか。
答えはズバリ「最初はチャレンジスクール各校の過去問チェックから」です!
作文はチャレンジスクール各校ごとにそれぞれ独自の設問が出題されており、学校ごとの出題傾向は明確にあります。
(毎年同じ設問ではないものの)内容が似通った問題が毎年出題されています。
内容の傾向としては、社会の現象・出来事・ニュース・偉人の言葉・文章などを解釈させた上で、「自分はどんな未来に向けて、どのように高校生活を送りたいのか?」と自分の意見を書かせるものが多いです。
実際に過去問を見てましょう。
作文検査 過去問
「Kites rise highest against the wind - not with it.
(たこが一番高く上がるのは、風に向かっている時である。風に流されている時ではない。)
英国元首相 ウィンストン・チャーチル」ということばについて、
・このことばがどのような内容を表現しているのかをあなたなりに考えて説明したうえで、
・あなたの経験や今後の展望に触れながら、このことばから考えたことを600字程度で述べなさい。
引用:東京都立世田谷泉高等学校 平成29年度過去問
厚生労働省が実施している「新規学卒者の就職離職状況調査」によると、三年以内離職率は年度によって多少の差はありますが、大卒者は約三割、高卒者は約四割です。
約三割の大卒者と約四割の高卒者が三年以内に離職してしまうのはなぜなのか、あなたの考えを述べなさい。
また、このことを踏まえて、社会に出る前に高校生活で身に付けておくべきものは何だと考えますか。
そして、それを身に付けるためにどのような高校生活を送りたいと思いますか。
引用:東京都立大江戸高等学校 平成29年度過去問
同じチャレンジスクールといっても、学校ごとに作文の問題の特徴が違うことがお分かりいただけたでしょうか。
学校ごとに問題の特徴が違うので、自分が受けるチャレンジスクールの作文の過去問は複数年度分チェックしておき、その傾向を事前に掴んでおくことが大事です。
この方針は、子どもが作文を書くのにアレルギーがある際も同じです!
最初はとにかく、複数年の過去問の問題文(お題)読むことのみに専念しましょう。
志望校の理念や特徴を調べて、作文に織り込む!
チャレンジスクール各校には、それぞれ理念や特徴があります。
作文執筆時は、各校の理念や特徴についてうまく織り交ぜながら作文を書きあげることができると、良い評価に繋がります。
下記の項目は、そのまま志願申告書作成・面接対策にも繋がりますので、早めに調べておきましょう。
抑えておきたい受験校の情報
・教育目標
・期待する生徒像
・学校や生徒の特徴、特色
(チャレンジスクール各校で違いがあります)
・科目の内容
・専門科目の詳細
・制服の有無、特徴
・校則
・部活動の種類
・修学旅行の内容
・卒業した生徒の進路の特徴 など
【参考 チャレンジスクール一覧】
・東京都立 六本木高等学校 (港区 六本木駅 麻布十番駅)
・東京都立 大江戸高等学校 (江東区・東陽町駅/住吉駅など)
・東京都立 桐ヶ丘高等学校 (北区・JR埼京線 北赤羽駅 )
・東京都立 小台橋高等学校(足立区・JR田端駅 よりバス)
・東京都立 世田谷泉高等学校 (世田谷区・京王線 千歳烏山駅)
・東京都立 稔ヶ丘高等学校 (中野区・西武新宿線 下井草駅)
・東京都立 八王子拓真高等学校 チャレンジ枠 (八王子市・西八王子駅)
ビーンズ流 チャレンジスクール作文練習法
作文練習の基本は「書き出す前に、全体の構成を考えること」
チャレンジスクール作文練習の際、ビーンズで大事にしているのは「先に全体の構成を考えて、それから原稿用紙に書き出していくこと」です。
チャレンジスクール側が作文考査で評価しているのは、
①自分の将来を主体的に考えることができているか
②自分の考えを構成だてて伝えられるか
でしたよね。
この内、②自分の考えを構成だてて伝えられるか を達成するための「構成力」を伸ばす必要があります。
「構成力」を伸ばすために以下の手順で練習します。
STEP1:作文構成メモを先に作る
⇒作文を書く前に、構成づくりから実施します。
書きたい内容の構成を先にまとめてから、清書に移ることでスムーズに作文作成ができるようになります。
また作文の構成には「逆境・努力・成功・未来」の要素を入れて組み立てます。そうすることで、文章に"説得力"を持たせることができます。
STEP2:作文構成メモをチェック
⇒原稿用紙に書き始める前に作文構成メモをチェックします。
「本当にこの構成でストーリーが書けるのか」
「構成に矛盾や無理がないか」
をチェックします。
STEP3:作文構成に沿って、原稿用紙に時間内に書ききる
⇒50分以内に必ず規定文字(501文字以上600字以内/六本木高校は201~250字以内×2問)を書き上げるよう何度も練習します。
一番大切なのは文字数…作文考査は「ストレス耐性チェック」
最後のSTEP3について補足します。
繰り返しますが、チャレンジスクールの作文考査は中学生に対してかなり難しい内容の問題、そして600字という文字数を50分という短い制限時間に書き上げる作文試験です。
同じことを高校生や、大学生、大人にやらせてみても、かなり苦戦する人が多いと思います。
このような難易度の高い作文考査でチャレンジスクール側は受験生の何を評価しようとしているのでしょうか。
チャレンジスクール側も「一般的な中学生の作文力が高いわけがなく、(しかも大江戸高校のような)難問を50分でまともに書けるわけはない」と分かっていると思います。
それでも難問を短い時間でまとまった文字数を書かせる… このことからチャレンジスクール側の意図が透けて見えてきます。
つまり、チャレンジスクール側が作文考査で一番の評価しているポイントは受験生が難しい・見たこともない新奇性の高い内容の課題に対して、 あきらめずに50分という時間、集中力を持続させられるかどうかとではないかということです。
なぜか。
チャレンジスクールは総合学科でかつ単位制です。
生徒が学ぶのは科目勉強だけではありません。
PC技能、アート、デザイン、ビジネス、職業体験といった中学まで身近でなかった新奇性の高い内容の単位を自分で選び、学び・体験して単位取得を目指します。
ですから、受験生が新奇性の高い物事に対して
「新しいものだけど、とりあえずやってみるか」
「よく分かんないけど、やりきろう!」
と思えるか…
つまり、新奇性へのストレス耐性や許容度をもっているかをチャレンジスクール側は作文考査で測っているのだろうと推測しています。
言い換えると、チャレンジスクール側は受験生が新奇なものに出くわしたときのストレス耐性が、どの程度あるかどうかを測定するために、受験生に"敢えて大人でも苦労するような難問"を"まとまった文字数"で"短時間"で書くよう挑戦させていると考えられないでしょうか…
これが、「構成も大切だけど一番大切なのは文字数」の理由です。
ここ、すごく大切なポイントなので、ぜひ覚えておいてくださいね。
作文の構成を作る題材は「自分の将来の夢を書くこと」から
では、作文の構成を作る練習は、何を題材にして始めればいいのでしょうか?
もちろん、いきなり過去問のお題を読んで作文を練習する!のが王道です。
もう一つおすすめは「自分の将来の夢を書くこと」です。
理由を説明しますね。
作文も面接も志願申告書も「自分の将来について熱意を持ってアピールできる」ことが大切です。自分がどういう将来を目指していて、高校はどのように頑張ろうと思っているのか、自分で文章を書き、他人へ伝えられるようにすることが面接も含めたチャレンジスクール対策の底上げにつながっていくからです。
とはいえ、いきなり「自分の将来の夢」を文章で書き進めることができる子どもはごくごく少数です。
ですので、最初は箇条書きレベルで将来・高校生活で何をやりたいかを書き進めていくことをおすすめしています。
ちゃんとした文章でなく、箇条書きレベルでも、どんどん書き溜めていくと、いざ文章を書く時や面接台本を作るときのネタに困らなくなります。
ご家庭で練習する場合は、保護者さまがお子さまの意見を口述筆記(パソコンで打ち出していく)していくのもおすすめです!
自分の将来について考えられない場合…「他人事」で「遠い将来」を「放言」させる
作文の構成を作る練習は過去問か「自分の将来の夢を書くこと」とお伝えしてきました。しかし、「自分の将来について考えられない」…という子どももいます。
むしろ「自分の将来を考えるのが大変・つらい」という子どものほうが多数派だと思います。
では、こういった子どもの場合、どうすればいいのでしょうか。
構成を作る練習はチャレンジスクールの作文過去問でもできますが、先述のとおり作文も面接も志願申告書も「自分の将来について熱意を持ってアピールできる」ことが大切でしたよね。ですから、遅かれ早かれ、子どもには「自分の将来の夢」について考え、言語化することに慣れてもらう必要があります。
「自分の将来について考えられない」子どもが「自分の将来の夢」について考え、言語化するのに慣れていくスモールステップは『「他人事」で「遠い将来」を「放言」させる』です。
自分の将来を考えるとつらくなってしまう子どもでも「他人事」や自分にとって「遠い将来」を、無責任に「放言」する分には緊張せずアイデアが出てくるようになります。
実際、ビーンズでは、子どもがビーンズの仲間(他人事)の遠い将来を考えて、放言する授業をやっていますが、いつも大盛り上がりです。
(上の写真のように)「どうすればビーンズの経営がうまくいくか」なんていう、子どもたちにとって超絶「他人事」のネタを出すと、(自分の将来を考えることには抵抗感を持っている子どもたちでも)真剣にビーンズの経営について考え、大放言してくれます(笑)
将来を考える際は「他人ごと」で「遠い将来」を「放言」させる」。
これはビーンズの進路指導の基本となる考えです。
詳しくは以下もご覧ください。
「他人事」「遠い将来」を考えることについて、ご家庭でできるコツをお伝えしています。
そもそも、なぜ子どもたちが自分の将来を考えることが大変なのかについては、こちらの記事で説明しています。
チャレンジスクール受験は、子どもが"自分の将来のことを考えられない状態"だと、かなりハードな試験です。
そのため、ビーンズの指導方針では、心のケア・自尊心の回復・不登校の悩みに折り合いをつけ、子ども本人がこれから自分の将来を前向きに考えられる状態にすることを優先しています。
「心のケア~自尊心の回復」について詳しくは、以下のチャレンジスクール全般の対策記事をご覧ください。
作文の細かいテクニック
チャレンジスクールの受験に関わらず、当塾が作文問題全般で指導している、細かいテクニックをご紹介します。
一人称は「私」で統一する
⇒「ぼく」「僕」「わたし」などを混用しないようにします。
語尾・文末を統一すること
⇒「~です。」、「~ます。」なのか、「~だ。」、「~である。」なのかを書き出す前に決めておきます。
ていねいな字で書くこと
⇒綺麗な文字でなくてもOK。ですが可読性はちゃんとある字で書くように。殴り書きはダメです。
分からない漢字・不確かな熟語は簡単な言い回しに言い換える/ひらがなで表現する
・漢字や言い回しをきちんとしようとし過ぎない
・漢字のちょっとした書き間違えは気にしない
・漢字は分からないときは、ひらがなで書く
⇒特に注意するのはちょっと難しい熟語や故事成語を使いたがる子どもです。大人が(辞書片手に)チェックします。
そして、子どもが「あれ、これ合ってるっけな…」と、ちょっとでも悩むようなら、簡単な言い回し・ひらがなで表現できないかを考えさせるクセをつけさせましょう。
文字数をとにかく埋めること
・「文字数を埋めればいい」精神を持たせる
・「なぜ、文字数を埋めればいいのか」理由を子どもへ説明する
⇒原稿用紙はとにかく9割まで埋める! 絶対に途中であきらめないこと!
書き終わったら読み直す
⇒最後の読み直しをやらない受験生はたくさんいます。
読み直せば、必ず見つけられる大きなミス・単純なミスに気づかず減点に繋がるケースも少なくありません。
特に読み直して、簡単な誤字脱字を見つけたら直しましょう。
一方で「修正すると間に合わないかも…」という場合、修正せずそのまま放置するのが正しい選択です。
なぜか。
何より大事なのは、文字数だからです。
どんなに気に食わない内容でも残り時間に不安がある場合は消さずに放置!これを徹底しましょう。
まとめ
ここまで、お疲れさまでした…今までの話をまとめましたので、ご覧ください!
・作文練習の時期は、志願申告書執筆と面接台本作成の後
・作文練習の最初は、学校ごとの出題傾向をつかむこと。また志望校の理念や特徴を調べて、作文に織り込めるようにする
・作文練習は基本は、本文を書き出す前に、全体の構成を考えること
・構成も大切だが、「一番大切なのは文字数」。これを理解して練習する
・作文の構成を作る題材として(過去問以外だと)自分の将来を考えることがおすすめ
・自分の将来を考えるのが苦手な子どもには「他人事」の「遠い将来」を「放言」させるところからスタート
さて。ここまで再三お伝えした通りチャレンジスクールの作文検査は大人がやっても苦労する内容・難易度です。
一般的な中学三年生の構成力や文章力で、一朝一夕ですぐに解けるようになる問題ではありません。
なるべく早めの準備・対策をするようにしましょう!