ビーンズが都立チャレンジスクールの受験対策を夏からスタートしてほしい理由
こんにちは! 「チャレンジスクール受験の対策に力をいれている塾」ビーンズの塾長・長澤です。
長澤啓(Nagasawa Kei)
学年ビリから二浪し東京大学へ入学。ビーンズの活動が楽しすぎ、留年。経済学部経営学科卒。
ビーンズが積み上げてきたノウハウを「ビーンズメソッド」として文字化し、より洗練するのがメインのお仕事。さらに、親との衝突が絶えなかった自身の経験を活かし、保護者とのコミュニケーションにも注力。保護者さまと月100件以上やりとりをしながら、ビーンズ流の保護者さまサポートを拡充中。最近は塾長として、講師の採用育成プランの策定・総務(経理)・経営企画までマルチにこなす。趣味はビールを飲みながら出汁巻き卵をつくること。
■インタビュー/詳しい自己紹介
学校の勉強についていけなかった僕が東大に合格するまでと親と対立した日々について
チャレンジスクールへの進学を希望されている場合、「早めの対策が大切!」。
これが、本記事でお伝えしたいことです。
具体的には、夏(8~9月)までには準備をスタートすると、充分な対策を講じることができます。
どうして早めの準備が必要なのか。
それは不登校になった中学生の子どもにとって、チャレンジスクールの受験内容はとても大変だからです。
詳しく説明していきますね。
もくじ
ビーンズが都立チャレンジスクールの受験対策を夏からスタートしてほしい理由
チャレンジスクールの概要
チャレンジスクールの特徴は下記の通りです。
チャレンジスクールとは
⇒高校中途退学者・中学不登校者のために開校された東京都の学校。
⇒具体的には、桐ヶ丘高校、世田谷泉高校、大江戸高校、六本木高校、稔ヶ丘高校 など
チャレンジスクールの受験内容
⇒志願申告書・作文・面接の3点
⇒学力検査、出身校の調査書の提出などが不要
※詳しくはこちら
チャレンジスクール受験は、試験項目だけを見ると、「学力テストがないから勉強しなくても進学できそう」と思えます。
しかしビーンズでは「お子さんの状況によっては、普通の学力試験に向けた勉強よりハードルが高い場合がある」とお伝えしています。
なぜかといえば、チャレンジスクール受験で実施される「志願申告書・作文・面接」の3つの試験は、決して簡単なレベルのものではないからです。
きちんと準備しない対応できません。
(とくに不登校・勉強嫌いなどの理由により、心がマイナス状態のままでいる中学生にとっては、ある意味で酷な試験となっています。)
百聞は一見に如かず。
まずは、チャレンジスクールの受験で実際に出題される内容について、順番に見ていって欲しいと思います。
【難しさ その1】
そもそも最初の志願申告書を埋めることが難しい!
チャレンジスクールの受験では、その出願をする際(受験を申し込む際)、願書と一緒に、"志願申告書"を提出する必要があります。
志願申告書は、いわば就職におけるエントリーシートのような書式となっており、以下の設問項目について、すべて埋めて提出しなくてはいけません。
志願申告書
<記入項目>
1.入学を希望する理由
2.将来の夢・希望
3.高校入学後、科目授業の学習面で頑張りたいこと
4.高校入学後、科目授業以外で頑張りたいこと(部活・生徒会・ボランティアなど)
5.自己PR(入学を希望するにあたって特にPRしたいこと)
志願申告書の電子データはこちら(拡大して見れます。)
志願申告書は、その記入時点において「自分の将来に関する考え」をきちんと具体的に書くことが求められます。
この時、当たり前ですが、「みんなが高校に行くから」とか「高校に行かないとマズイ気がするから」というような、曖昧かつ消極的な理由を記述しても点数には繋がりません。
つまり、不登校になっている生徒がチャレンジスクールを受験する場合、最低限、その出願をする時までには、すでに自分の将来について前向きに考えている状態になっていないといけないのです。
(そうでなければ、そもそも最初の入り口である志願申告書を作成することができないのです。)
次に、作文検査の内容を見ていきます。
【難しさ その2】
作文検査の難易度はさらにハイレベル!
志願申告書も大変なものでしたが、作文検査は、さらに難しいです。
まずは実際の過去問を見て欲しいと思います。(各チャレンジスクール校の過去問はインターネット公開されていますので、公式ホームページから実際に確認することができます。)
本記事では、東京都立世田谷泉高等学校と東京都立大江戸高等学校の過去問から、それぞれ一題ピックアップしてみます。
作文検査 過去問
「Kites rise highest against the wind - not with it.
(たこが一番高く上がるのは、風に向かっている時である。風に流されている時ではない。)
英国元首相 ウィンストン・チャーチル」ということばについて、
・このことばがどのような内容を表現しているのかをあなたなりに考えて説明したうえで、
・あなたの経験や今後の展望に触れながら、このことばから考えたことを600字程度で述べなさい。
(※引用:東京都立世田谷泉高等学校 平成29年度過去問)
厚生労働省が実施している「新規学卒者の就職離職状況調査」によると、三年以内離職率は年度によって多少の差はありますが、大卒者は約三割、高卒者は約四割です。約三割の大卒者と約四割の高卒者が三年以内に離職してしまうのはなぜなのか、あなたの考えを述べなさい。また、このことを踏まえて、社会に出る前に高校生活で身に付けておくべきものは何だと考えますか。そして、それを身に付けるためにどのような高校生活を送りたいと思いますか。
(※引用:東京都立大江戸高等学校 平成29年度過去問)
いかがでしょうか。
問題を実際に見てみて、「これならカンタンだ。受験日にぶっつけ本番しても、(うちの子は)すぐにできそう」と思う方は、かなり少ないかと思います。
チャレンジスクールの作文検査では、かなり高いレベルでの国語能力を求められるのです。
作文検査で求められる力
・国語の読解力
・提示されたテーマから自分の考えや感想を持つ想像力や思考力
・自分の考えを相手にちゃんと説明する論理力や構成力
・文章を制限文字数以内にまとめる語彙力や要約力 など
こういった"考える力"を試す自由度の高い問題は、通常の一般的な高校入試ではほぼ出題されません。
難関私立の国語だったり、推薦入試の作文などで、ようやく見かけるものです。
ちょっと独特の試験スタイルとなるため、通常の義務教育をする中学校の環境下において、このレベルの指導まで実施できているところは、あまりないです。(そもそもカリキュラムの範囲ではないためです。)
つまり、チャレンジスクールの作文検査というのは、かなり語彙力や作文力がある子どもでも難しさを感じるレベルの問題です。これを不登校になって勉強できない状態が続いている生徒にいきなり解かせようとしても、かなりハードルの高い問題なのです。
もともと「読書や作文が好き!」という中学生でなければ、問題を見た後、何を書けば良いのか分からなくなり筆が止まってしまうことがほとんどです。
そして、最後に待ち構えている試験が面接です。
【難しさ その3】
自分の将来について、最後は面接官から細かく詰められる!
記述問題が終わった後は、さらに面接官と対面して、以下のような細かい質疑応答に答える必要があります。
面接検査で聞かれること
・高校での学習目標は何ですか?
・高校生活に向けて何をしていますか?
・人間関係をうまくやっていくためには、何が一番大切ですか?
(そのために自分が努力していることは何ですか?)
・基礎学力が必要なのはなぜですか?
・なぜ、この夢を目指すのですか?
(※ビーンズカリキュラムより抜粋。上記は生徒が実際に質問された内容の一部。)
志願申告書・作文検査だけに限らず、この面接においても、ほとんどの質問が「これから君はどうしたいのか」という"未来に向けた内容"について、繰り返し聞かれます。
この時、大事なのは、自分の将来について説明する言葉を持っていることです。
面接官に対して、自分の夢や、高校での抱負を稚拙でもいいので、話せること。
これが大切なのです。
結論「チャレンジスクール受験は難しい」
⇒だから早めの準備が大事!
これまで紹介してきましたように、チャレンジスクール受験の内容は、難しいです。
入試では、生徒の「意欲・主体性・読解力・文章力・プレゼン力」などの力が求められます。
これらは高校中退や中学を不登校になり、消極的な思考から抜け出せないままの子どもたちにとって、かなりハードルの高いスキルです。
(面接のコツや作文の書き方を教えれば、すぐにできるようなものではないのです)
だからこそ早めの準備が必要と、ビーンズでは伝えています。
繰り返しになりますが、4月入学の場合、遅くても夏。
夏くらいから、志願申告書を作成するためのネタだし、心がまえに取り組んでいたいのです。
そもそも中学生の多くは作文・面接が苦手!
不登校であるかないかに限らず、作文や面接が苦手な中学生は少なくありません。
たとえば、読書感想文が苦手な中学生はたくさんいますし、人前で話すこと自体が嫌いな中学生も少なくありません。
また、自分自身で苦手なことを分かっているからこそ、国語の長文問題は捨てて他の科目で点数を取っていこうと作戦を立てる中学生もいれば、面接が絶対に嫌だから学力試験だけの受験でOKな高校を受けようと考える中学生もいます。
そんな中、チャレンジスクールでは、通常の高校に比べて、作文および面接の比重が非常に大きく、その難易度も高いものばかりです。
当塾の経験上、不登校・勉強嫌いな中学生の中で、作文・面接が最初から得意な中学生はいません。また、そもそも不登校かどうかは関係なしに、中学生全体が苦手としています。
そのため、状況改善+試験対策までするには、夏までにはスタートしていることが大変なことが大切です。
どうか早めに動き出して頂ければと思います。
チャレンジスクール受験の第一歩は自尊心の回復!
不登校になって深く落ち込んでしまっている中学生にとって、
「自分のやりたいことは何?」
「高校でこれから頑張りたいことは何?」
「どうしてうちの高校じゃないとダメなの?」
と突きつけられることは、それだけでも相当なストレスです。
こういったマイナスの状態から、「自分の将来について考えることができる」というプラスの状態まで状況改善するには、心のケアからスタートして、生徒に自尊心の回復をしてもらわないと難しいと、ビーンズでは考えています。
これらの状況改善には、どうしても時間が必要ですので、どうか早めの準備・対策をするようにして頂ければと、ビーンズでは伝えています。
チャレンジスクールに求める生徒像は「意欲のある子」
チャレンジスクールは高校中途退学者・中学不登校者のために開校されたところです。
しかし、不登校当事者なら誰でも受け入れしているわけではありません。
「不登校になっても、いざとなったらチャレンジスクールが受け入れてくれるから大丈夫」みたいな考えは誤りです。
これまでの出題内容を見ても分かりますが、
チャレンジスクールの求めている生徒像は、「中学までの義務教育では不登校になったりしてうまくいかなかったけど、これからの高校生活に前向きな目標を持っていて、自分のやりたいことに向かって頑張りたいと思っている意欲的な学生」なのです。
ビーンズが取り組むチャレンジスクール対策!
最後に、ビーンズのチャレンジスクール対策を紹介したいと思います。
まず、当塾の掲げる『学び治しの授業』は、そのままチャレンジスクール対策にあてはまります。
生徒の気持ちを整えて、自尊心を回復してもらい、それから前向きな考え方ができるようになっていったら、自分のやりたいことなどを考えていきます。
これと同時に、各種ワークを通して、思考力・想像力などを培ってもらいながら、具体的なコツ・テクニックなどを含む、チャレンジスクール対策にも適宜取り組んでいきます。
※ビーンズの指導するチャレンジスクール詳細はこちら
オススメの入塾時期は「遅くても夏」
当塾のこれまでの経験上、不登校・勉強嫌いなどで落ち込んでいる子どもに対し、チャレンジスクール対策をして受験できるポジティブな状態まで指導するには、最低でも3ヶ月以上の期間が必要です。
そのため、「チャレンジスクールの準備は遅くても夏(8~9月)にはスタートしてください」とお願いしています。
【注意】チャレンジスクールは100%合格ではありません!
当塾へ相談に来られる保護者様から、たまに「チャレンジスクールは100%合格できるところなんですよね? 受ければ大丈夫ですよね?」といった話を伺います。
確かに、夏に実施されるチャレンジスクールの補欠入試において「倍率が1倍未満=受験すれば合格できる」ということはあります。
(しかし、補欠入試は枠自体も数名~十数名のみで多くはありません)
また春の入試では、例年、倍率は1.3~2倍とみていただきたいです。
チャレンジスクールは受験すれば必ず合格するというものではないのです。
まとめ
「チャレンジスクール=不登校になった生徒がいざという時に駆け込む進学先・受験先」といったイメージを持たれている方も少なくありません。
しかし、それは違います。
チャレンジスクール受験は、いきなり駆け込んで必ず合格できる、といったものではありません。
志願申告書・作文・面接といった、難しいハードルをクリアする必要があり、これらの対策にしっかり準備が必要なのです。
秋冬になってから慌てて対策をスタートとしようとしても生徒の状況次第ではかなり難しいことが多く、遅くても夏(8~9月)にはスタートしないと厳しい状況になってしまいます。
ビーンズへのご相談はお気軽に
昨年度(20年度)は、5名のビーンズ生がチャレンジスクール受験に挑戦し、見事全員合格することができました! チャレンジスクールの対策でお悩みの場合は是非ビーンズにお越しくださいね!