【合格体験記】 不登校に悩む高校生が自分の目標を見つけ、都立チャレンジスクールへ編入するまで
もくじ
Kくんのチャレンジスクールに合格するまでの「学び治し」
本記事は、高校生Kくん(仮名イニシャル)がビーンズでチャレンジスクール編入を目指した体験記となります。
チャレンジスクールとは
チャレンジスクールとは、小・中学校での不登校や、高校での中途退学などによって、これまで能力や適性を十分に生かしきれなかった生徒が、新たに自分の目標を見つけて、将来の自分に向かってチャレンジするための学びを得られる、三部制の定時制単位制総合学科高校のことです。
チャレンジスクールの詳細は、こちらの記事でまとめております。
Kくんが入塾当初に抱えていた悩み
保護者様は「在籍高校からチャレンジスクールへの編入」を応援していましたが、一方で実際のKくんの気持ちは揺れていました。
「高校を不登校になった自分は、普通ではないのではないか」
(ビーンズに通う子どもたちの多くが抱えている「普通」の概念についてはこちらをご覧ください)
「自分は大学進学を目指しているのに、進学校を辞めてしまっていいのか」
このような悩みを抱えている中、Kくんは自信を失い、高校生になって頑張りたいこと・将来の夢などを考えることができず、高校編入へ向かって動き出すことができない状態でした。
Kくんは言葉では、「チャレンジスクールへ行こうと思う」と言っているものの、いざ頑張ろうとすると、ついゲームに逃げてしまう日々が続いていました。
「チャレンジスクールに行きたい気持ち」と、「どうしても頑張りきれない自分の気持ち」の間で、ずっと揺れていました。
そうこうするうちに、受験日が迫ってきて焦ってきている。そんな状態からのスタートでした。
学習支援塾ビーンズが提供した授業
入塾初期~進路の決定
Kくんは入塾当初、まずは「生徒の自信(自尊心)の回復」と「生徒と講師の信頼関係の構築」を目標として、授業を進めていきました。すっかり落ち込んでしまっている心をケアして、前向きな気持ちになってもらうためです。
Kくんが少しずつ自信を回復していったところで、今度は進路について一緒に考えていきました。
もともとKくんは、「チャレンジスクールへ入学したら進学校ではないため、大学進学が難しくなる」と考えていました。
Kくんも「そもそも高校卒業資格をとらないと大学進学はできない」ことは分かっていました。
また、高校受験の経験から、「クラスメイトの偏差値がどうであろうが受験勉強は基本的には一人でやるもの」ということも分かっていました。
それでも、どうしても偏差値という評価軸から逃れられずにいたのです。
そこで、進路の話をしていく際は、高校のことだけでなく、先に大学や将来のことを想像してもらうようにしました。
講師と話をしていく中でKくんは
「現時点で、大学へ行くモチベーションは、自分の学歴のこだわりだけである」こと
「現時点で、大学入学後にやりたいことは特にない」こと
「大学入学後にやりたいことがないまま、大学受験勉強することの自信はない」こと
「チャレンジスクールに進学することで、自分がやりたいことを見つけられるかもしれない」こと
「チャレンジスクールなら自分の時間を確保しやすいため、結果的に大学受験に向けて勉強時間を多くとることができる」こと
「高校入学後に自分が勉強をしっかり続けられ、自分のペースで高校卒業できる環境として、チャレンジスクールという選択肢は合理的である」こと
これらのことを講師と一緒に明らかにしていくことで、Kくんは「チャレンジスクール」への編入について納得し、対策を進めていくようになりました。
受験~合格
受験当日、Kくんは自分の意見をしっかり言えるか心配だったようです。しかし、それまでの授業の中で、Kくんは、しっかり自分の高校生活・将来のことを考えており、その内容をワークシートに書いて、自分の言葉にしていたので、当日は苦労なく受け答えできたようです。
いざ受験が終わってみると、Kくんは、「作文も面接もあっという間に終わったという感じだった」と感想を述べてくれました。また、面接に関しては「もっと緊張するかと思ったけど、そこまで緊張しなかった」とのことで、しっかり練習の成果を発揮できたようです。そして、見事にチャレンジスクールに合格することができました。
▼この受験期間について、保護者さまからも感想をいただきました。
担当講師の感想
Kくんは受験までの日数が少ない状況での入塾でしたので、他の生徒よりも授業のペースを早めにせざるを得ませんでした。しかし、「学び治し」は丁寧にやらないと意味がないので、そのバランスが難しいところでした。
初期の頃は欠席も目立っていましたが、授業を重ねていくうちに、Kくん自身が現状を変えていきたいという意志を持ってくれ、だんだんと調子も整い、きちんと授業や課題に向き合ってくれるようになるなど、変化を見せてくれたことが一番うれしかったです。
チャレンジスクール合格において大切なこと
自尊心を回復し、将来を前向きに考えられる状態を目指す!
チャレンジスクールの受験では科目試験はありませんが、その代わりに志願申告書、作文試験、面接試験で合否が決まります。
こういった独特の試験内容になっているのは、チャレンジスクールが「高校卒業後の進路・将来まで考えて、高校生活を真剣に送っていこうとする」生徒たちを求めているからです。
チャレンジスクールに合格するためには、自分のやりたいこと・将来のことなどを考える「主体性」と、自分が考えていることをきちんと相手に伝えるための「コミュニケーション力」が必要となります。
しっかり準備をしておかないと、いざ面接の日になって、「なぜ不登校だったのか? なぜ勉強が嫌いだったのか? これからどういうことをやりたいと思っているのか?」などの質問を受けた時、答えることが難しくなってしまいます。
そのため、ビーンズでは「主体性」と「コミュニケーション力」を育むために、大きく3つのテーマに沿って対策を進めていきます。
それは、
・自尊心の回復
・将来の進路を考えるための職業観育成
・志願申告書・面接・作文の対策(自己PRをしっかり準備)
です。
ビーンズでは以下のようなワークを実施することで、チャレンジスクール受験に備えていきます。
チャレンジスクール向けのワーク
ビーンズの詳しい授業内容は、下記の記事でまとめていますので、ご覧ください。
チャレンジスクールの対策で重要なことは、作文や面接対策の土台として、まず「子どもの自尊心の回復」を行うことです。
なぜなら面接でも作文でも課されるのは、
「過去の挫折をどう乗り越えるか」
「高校で頑張ることはなにか」
「自分の将来と、その将来へむけて今から何をがんばるか」
といった「自尊心があってはじめて答えることができる」問いだからです。
自尊心をなくしている状態で上記のような問いを考えること自体、非常に難しいことはご理解いただけると思います。
生徒の自尊心を回復させるためには、生徒に今までの挫折や不登校の経験などを「失敗=悪いこと」と捉えさせず、「失敗=成長の糧・経験」と捉える(認知を変える)ことが大切になってきます。
そうすることで、生徒は今までの人生を「(過去の)逆境⇒(今・これからの)努力⇒(未来の)成功」というストーリーとして捉えなおすことができ、自分の将来について無理なく考えられるようになります。
その結果として、生徒たちは「どんな高校生活・将来を送りたいか」を問うチャレンジスクールの志願報告書、面接試験に対応できるようになるのです。
しかし、子どもたちの悩みの深刻度によっては、このような考え方をしてもらうようになるまでには、とても時間がかかります。
ビーンズで「チャレンジスクール対策はお早めに」と申し上げているのはこれが、理由です。
「チャレンジスクール」の準備に時間がかかることについては、こちらのブログでも詳細に書いています。
チャレンジスクールを受験するなら、早めの準備が大事!
塾の中には「チャレンジスクールなら倍率が低いところもあるから受験間際になって準備を始めても大丈夫」と宣伝するような塾もありますが、決してそんなことはありません。
今まで説明してきましたように、面接・作文の試験のためには、たくさん準備をしないといけないことがあります。また、入学できたとしても、そもそも子どもが悩みを抱えたままであれば、今度は高校生活や大学受験の時、同じような状況になってしまいます。高校入学だけで問題の根本的な解決とはならないのです。
お子さまの将来を考えるのであれば、しっかりと子どもたちが悩みと向き合い、自分の進路について希望を持ち、自分の進路を自分で決めていく「主体性」を身につけてもらうことが大切です。
そういった意味でも「チャレンジスクールの受験対策ってどうすればいいの?」とお悩みの保護者様には、ぜひ早めの準備をスタートして欲しいと思います。
学習支援塾ビーンズでは、チャレンジスクール対策も含めた、総合的な「学び治しの授業」を実施しております。ぜひご相談ください!