受験不戦敗・不登塾…人見知りの僕が、それでも"人と関わる社会福祉"の道を選んだワケ

今回は、高校時代に「居場所」の大切さを知り、社会福祉大学(社事大)へと進学した先輩、hinaさんの物語をご紹介します。
大学受験を控える皆さんにとって、進路選択やモチベーション維持のヒントになるかもしれません。
もくじ
受験不戦敗・不登塾…人見知りの僕が、それでも"人と関わる社会福祉"の道を選んだワケ
中学での経験が進路を考えるキッカケに
―― 大学受験といえば進路決め。hinaはどうやって進路を決めたんだっけ?
hina:中学3年生の頃、別室登校していた時期があって。ほぼ毎日別室登校していました。
そのときの先生が優しく寄り添ってくれたことが、私が福祉にすすむきっかけになったかもしれません。
「自分の話を聞いてくれたことが嬉しかった」その経験から、
「地域の人の居場所を作りたい」
「孤独を感じている若者が安心して過ごせる場所を作りたい」
という思いが芽生えたんです。
――当時は大変だった経験も、進路を考えるキッカケになるよね。
高校での青春経験
――高校生活はどんな感じ?
hina:高校1年生の時は、学校中心の生活を送っていました。
初めての文化祭では陸上部の先輩と縁日風の出し物の企画・準備を担当しました。
――縁日風?
ダーツや射的です。
仲間と一から企画を立ち上げ、作り上げていく過程は良い思い出になりました。
――まさに青春だねぇ…。 その間ビーンズはどうしてたの?
そんな感じで高校生活をエンジョイしてましたので(チャレンジスクール対策してた)ビーンズではたまにしか授業しませんでした(笑)
――うんうん、「ゆるやか旅立ち」してたんだねぇー
学外活動とオープンキャンパス…進路決定までの道のり
hina:高校2年生になると、学校外での活動も始めました。
理由は、総合型選抜の対策として、自分の「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」を得るためだったんですけど、
そもそも自分の進路を考える手がかりが欲しかった…
学校の勉強だけでは得られない、肌感覚を伴った学びや経験を得たい…
そういう面も強かったです。
――学外活動を始めるキッカケってなんだったの?
hina: 最初に挑戦したのは、「こども食堂」でのボランティアでした。
――こども食堂では、どんなことをしたんですか?
hina: 配膳やお皿洗いが主な役割でした。
まわりのスタッフの人が優しくて、とても楽しかったです。
なんというか
「仲間と一緒に働くのって、いいな」
「みんなで子どもたちをサポートするのっていいな」
っていう感覚を得られました。
この感覚は、机の上での勉強だけでは決して得られないものだと思います。
そして、この時の経験が、私の進路を大きく左右することになりました。
――インターンも行ったんだよね?
hina: はい。特別養護老人ホームでのインターンシップに参加しました。
――それは何かキッカケあるの?
hina:社会福祉大学(社事大)のオープンキャンパスで、「コミュニティカフェ」という存在を知ったんですね。
そこで、

「こういう場所があるんだ!」
「人と人とが関わる仕掛けをつくるってすごい!」
と、感銘を受けたんです。
もともと両親の仕事の関係で福祉に(多少は)関心があったことに加え、中学の別室登校の経験もあり「人と関わる…福祉かな?」とは思っていたんですね。
――老人ホームでのインターンはどうだった?
インターンシップでは、利用者さんとのコミュニケーションが本当に楽しくて。

「自分は人と関わることにモチベートされる人間なんだな」
と、強く実感しました。
――逆に苦労はなかったの?
hina:もちろんありました。
両親の仕事だからといって私自身に介護や福祉の知識があるわけではありません。
私は都立チャレンジスクールという総合学科の高校に在籍していました。
なので、ありがたいことに「社会福祉基礎」という授業があったので履修したのですが…
知識ゼロの状態から介護福祉をきちんと学ぼうとすると、覚えることがとても多くて…
――それは大変…
人見知りだった!
hina:あと…もう一つ大きな逆境がありまして。
(上の話と大矛盾!って思われるかもですが)
私、自他共に認める生粋の人見知りで…。
人と関わるのが得意ではないんです。
――人見知りだった!!!!
hina:(笑)でも、ここで諦めたら「福祉」という道は無理になる。だから、やるだけやろうと。
幸い、高校の前期の授業に「実践会話学」という単位があって。
ここでスピーチやグループディスカッションにたくさん挑戦したんです。
せっかく単位制の総合学科(チャレンジスクール)なんだから、この環境を利用しない手はないと。
そこで「人と話すこと」に慣れたし、鍛えられましたね。
――自分の弱点と向き合って、正面突破したって、すごいよ
ボランティアセンターへのインタビュー
――ここまでイケイケじゃないですかー!次は?
hina: 次に、世田谷区のボランティアセンターでインタビューしました。
――なんで、ボランティアセンターへ?
hina: 元々、ボランティアの人手不足が気になっていたからです。
ボランティアセンターが、ボランティアをしたい人とボランティアを必要としている人を繋ぐ役割を担っていることを知り、
「ボランティアセンターの活動をより多くの人に知ってもらえれば、ボランティアをしたい人が増えるのではないか」
と考えました。
――インタビューはどうだった?
hina: とーーーっても緊張しました。
特に、直接インタビューをする時は、緊張しすぎて待ち時間に震えるくらいでした(笑)
――知らない大人相手でしょ? 緊張するよねぇ…
hina: でも、ボランティアセンターの方から現場の様子を丁寧にお話しいただいて… 少しずつ緊張もとけていきました。
最後はボランティアに対する私の思いも伝えることができて… とても貴重な経験になりました。
区議への政策提言
hina: ボランティアセンターへのインタビューが終わったあと、インタビューの結果をもとに、自分の考えを資料にまとめました。

そして、世田谷区議の原田竜馬さんに「ボランティアセンターへの予算を増やすべき」と提言しました。
――高校生が区議に政策提言! 人見知りにはハードル高くないですか?
hina: はい、とても緊張しました。
区議の原田さんは私の話を熱心に聞いてくださり、それゆえに想定しないご指摘や質問がたくさん飛んできて…。そのたびにドキッとしていました(笑)
それでも、なんとか自分の言葉で伝えようと頑張りました。
後日、区議の方からお誘いがあって勉強会にも参加しました。
ここでも様々な参加者と意見交換ができました。
自分が興味を持っている話題だったこともあり、積極的に話すことができました。
学校外の活動を通して得たもの
hina: これらの学校外の活動を通して、私は多くのことを学びました。
特に、
を実感しました。
これらの経験は、私にとってかけがえのないものとなりました。
受験対策と志望校決め
受験対策のスタート
―― 受験対策は、いつ頃から始めたんですか?
hina: 具体的な時期は覚えていませんが、高校2年生の後半から少しずつ始めたと思います。
私の受験対策は、総合型選抜を見据えたガクチカづくりからスタートしました。
まずは、福祉にまつわるアンケート調査を実施しました。
2年生の後半からは、アンケート調査とボランティアの経験をもとに、レポートを書く練習を始めました。
総合型選抜では、高校の成績だけでなく、自分の興味関心や探求学習の成果をアピールする必要があると聞いていたので、早めに準備を始めました。
志望校決定のきっかけ「オープンキャンパス」
hina: 志望校を決めるきっかけは、れおん先生との授業でした。
「来週までに、少しでも気になった大学をピックアップしておいて!」
という宿題が出されたことがきっかけで、社会事業大学(社事大)やその他の福祉系の大学をピックアップしました。
―― 社事大に興味を持ったのはどうして?
hina: 社事大の地域福祉が印象的だったからです。
あと、ビーンズの授業で、

「社事大のオープンキャンパス、行ってみようか!」
とノリで決まったことも理由の一つです(笑)
―― オープンキャンパスはどうでした?
hina: 実は1回目はそこまで気持ちに刺さりませんでした(笑)
でも、2回目の時に、
「この学校で福祉を学びたい!」
という気持ちが強まりました。
これが、社事大を志望校に決めた決め手になりました。
―― オープンキャンパスで、どんなことが印象に残ってる?
hina: 大学の雰囲気や、実際に学んでいる学生さんの様子を見ることができたのが、
とても参考になりました。
先生や学生さんと話す中で、「自分もここで学びたい!」という気持ちが強くなりました。
進路決定を振り返って
hina: 今振り返ると、高校2年生の時から少しずつ準備を始めて、
本当によかったと思っています。
受験不戦敗から不登塾…!
―― ここまで推薦系入試のお手本のようなスケジュールを歩むhina氏ですが、いよいよ本番ですね…
hina: はい。ここから一気にグダります(笑)
―― 今だから聞くけど、一番しんどかったのっていつ?
hina:受験で一番しんどかったのは、受験直前でしたね。
刻一刻と近づく受験のプレッシャーに押しつぶされそうでした。
―― ハイペースの面接対策でも、hinaは笑顔だったんだけどねぇ…
hina:塾では頑張って笑顔になるんです。けど、 迫りくる受験のプレッシャーがとにかくきつかったです。
そして、自分が理想とする自分と、頑張れない自分の差分を見るのがつらくなってきました。
さらに、併願校と本命の大学の出願時期が被り、その準備のプレッシャーも重なりました。
そして…
―― あ・・・
hina:併願校の受験に行かなかったんです。
―― きた!!受験不戦敗!!!!
hina:併願校をうけなかったことで、さらに社事大受験へのプレッシャーが高まりました。
ついにはビーンズの授業も不登塾になってしまいました。
本当に最悪の状態でした。
親にもたくさん心配かけたと思います。
逆境を乗り越えて
―― それでも、受験に向き合えた理由ってなに?
hina: 次の受験、つまり社事大が第一志望だったので、

「次受けなきゃマジでやばい」
「社事大を受けないと、自分の人生、不戦敗を続けるんじゃないか...!」
という焦りで、死にそうでした。
受験前日は、
「明日受験に行くか、一生不戦敗を続けるか」
という究極の選択に震えていました。
―― ワイも大学受験のとき似た感じだったから、その気持ちわかるわ…
hina: で、受験当日。
めちゃくちゃ緊張していましたが、なぜか「落ち込んでいる」わけではありませんでした。
ただ、自分が受験に向けてやってきたボランティア、インターン、インタビュー、政策提言の様子をぼんやり思い出していました。
最初は受験対策・ガクチカのために実際の現場を出て。
そこで色々な機会を得て、自分の人生の方向性、進路を決めることができました。
そして最終的には「ああ、この受験があってよかった」とポジティブに捉えられました。
そして、試験会場に向かったのです。
合格発表の日
―― 合格発表の日は何してた?
hina: 合格発表の日は、最後の高校文化祭でした(笑)
思い切り高校生活のフィナーレを楽しむ中だったので、合格当日は、なかなか合格の実感がわかなかったような気がします。
でも、その後、入学手続きの書類を書いている中で、合格した実感が湧いてきました。
イメージは、「うきうき、わくわく、きらきら」です(笑)
受験を通して得たもの。そして、未来への展望

受験を終えて
―― 今、受験直前の辛かった時期を振り返って、どんな感じ?
hina: 第一志望に合格できたので、受験直前のしんどかった時期も、自分の変化のために必要な時間だったと思えるようになりました。
―― 受験を通して、「こんな力がついた!」「ここが変わったな」という実感ってある?
hina: 自分の気持ちをマイナスからプラスに持っていく力がついたと思います。
併願校の受験では、前日のマイナスな気持ちを当日でプラスに持っていくことができませんでした。
でも、社事大受験の時は、プラスまではいかなくとも、受験会場に行って「結果はどうであれ、勝負しよう」というところまで、自分の気持ちを持っていくことができました。
この変化は大きいなと思っています。
大学生活でやりたいこと/学びたいこと

―― 大学生活の課外活動でやりたいことってなに?
hina: 正直、あんまりイメージは湧かないですけど…大学では高校の頃より自分の幅を広げていきたいと思っています!だから、いろんなバイトをして、世界を広げたいです。
また、今までやったことないようなボランティアもやりたいです。特に「子どもの居場所系のボランティア」に挑戦したいと思っています。
―― 大学で学びたいことは何ですか?
hina: 「地域福祉」です。一言でいうと、「地域の若者の居場所を作りたい!」です。
孤独を感じている若者が安心して過ごせる居場所を作りたいと思っています!
―― キーワードは「若者」なんですね!
hina: はい。自分が寄り添ってもらった時の記憶、学外活動の現場で得た感覚。
…そして、これから大学で学ぶ内容が交わる焦点はそこだと思っています。
過去の自分へ

―― 過去の受験を始める前の自分にメッセージを贈るとしたら?
hina: 「ボランティアやインターンといった学校外の活動は、自分の進路を考えるのにめちゃくちゃ役に立つから、もっとやろう。」です。
今思えば、もっとたくさんの種類のボランティア経験をしておけば、進路をもっとリアリティをもって決められたと思います。
進路を決めるときには、現場に出て、肌で感じて初めて湧き上がる「これやりたい」「これ興味ある!」という感覚がとっても大事だなと思いました。
他にもビーンズのセンパイ達のストーリーをご覧になりたい方はこちら!
