エンカレ授業の紹介「英語で国際交流!~ ヤンさんに学ぶドイツの文化! ~」

本記事では、生徒たちの価値観を広げるためのエンカレ授業の様子を紹介します。

題して、「英語で国際交流!~ ヤンさんに学ぶドイツ文化! ~」です!

特別講師には、留学経験を持ち、英語で日常業務をおこなう社会人スタッフ・石川講師と、ドイツ出身のヤンさんをお招きしました。

授業の目的

今回の授業の目的は、生徒たちに英語の楽しさを知ってもらうことと、価値観を広げてもらうことでした。

日本で暮らす外国人の方と近い距離で楽しく英語のコミュニケーションをしてもらうことで、他国の文化への興味や、世界の多様性などを体験してもらう授業となっています。

自分が持っているドイツのイメージを考えてみよう!

授業当日、いきなり外国の方と顔合わせすると、生徒たちが緊張して、うまくコミュニケーションできない可能性もあります。そのため、特別講師のヤンさんがいらっしゃる前に、生徒たちには事前に話し合ってもらって、授業に向けての準備をしてもらいました。

準備1.ドイツのイメージってなんだろう

まず、生徒たちには、ドイツの世界遺産やドイツの街並みなどを動画を見てもらい、生徒たち一人ひとりが抱いているドイツのイメージについて、メモしてもらいました。

たとえば一人の男子生徒の場合、「ドイツといえばベンツと戦車」というイメージを持っていたようです。(このイメージが、授業の後でどう変わるか楽しみです。)

準備2.知っているドイツ語を書き出す

次に、生徒たちの知っているドイツ語について書き出していってもらいました。

このワークにより、生徒たちは大好きな漫画やアニメの知識もあって、じつは意外と多くのドイツ語を知っていたことが判明しました。

・皇帝:Kaiser カイザー
・戦車:Panzer パンツァー
・女神:Walkure ワルキューレ
など

ドイツ語の言葉は、いずれも響きがかっこいいものばかりですので、子どもたちに大人気のようです。

準備3.ヤンさんへの質問を考える

ドイツに対する予備知識が備わってきたところで、のちほどヤンさんへどんな質問をしたいのか、その内容も事前に考えておいてもらいました。(質問を準備する際は、ビーンズの講師が英訳のサポートをしました。)

こうして、もろもろの準備が終わったところで、いよいよヤンさんに登場してもらいます!

ヤンさんに学ぶドイツの文化!

ヨーロッパの地図を書こう!

ヤンさんの授業では、まず生徒たちにヨーロッパ大陸の地図を書いてもらうワークからスタートしました。

「イギリスはわかる。海があって・・・あれ、その対岸ってどこだ?」

「スペインとフランスって目印はどこだっけ?ドイツはどこの国の横だっけ??」

次第に不思議な形になっていくヨーロッパ大陸。

やはり、何も見ずに書いていくのは、なかなか難しかったようです。

疑問符を浮かべる生徒たちに、ヤンさんがちょっとずつアドバイスを出していきます。

「イタリアはどんな形だっけ?」

「あ、長靴だ!」

「もう一つヒントを教えると、イタリアはドイツの南にあるんだよ」

このようにヒントを出していくと、生徒たちはドイツの位置を定めて、だんだんとヨーロッパらしい地図を完成させていきました。

最後、答え合わせでは、インターネットで地図を見ながら各国の位置を確認していきました。

「あ、この国はここにあったのか!」

「北欧の存在を忘れてた。」

など、反省する生徒たち。

ドイツの位置をヤンさんが指さしながら、「ボクの故郷はここだよー」と教えると、生徒たちは「フランスに近い!」「近くに川があるね!」など、盛り上がってくれました。

ヤンさんへ「センパイ・インタビュー」

地図のワークが終わった後は、生徒たちが、ヤンさんへ色んなことを質問していきました。

生徒たちのどんな質問にも、真摯に快く答えてくれる、ヤンさん。事前に準備していた質問に加えて、話していくうちに新しい質問も増えていき、センパイインタビューは、とても盛り上がりました。

ヤンさんに聞いたこと!

Q.ドイツ人はみんな英語を話せるの?
⇒全員ではないよ。英語を喋らない人もいるよ。

Q.ヤンさんは何の仕事をやっているの?なぜ日本に住んでいるの?
⇒ドイツの大学で研究をしているよ。今は日本の会社でリサーチをしているよ。

Q.どんな車に乗っているの?
⇒日本車に乗っているよ。日本車は性能が高く、割安なんだ。僕は日本車が大好きだよ。でも、お金を稼げるようになったら、かっこいいドイツ車にも乗りたいな!

Q.歯ブラシの固さは?固い?柔らかい?
⇒ふつうだよ(笑いながら。)

ヤンさんが自分の進路を真剣に考えたエピソード

インタビューをしながら話を聞いていくと、じつはヤンさんも元々は英語を話すことができず、覚えるようになったきっかけは英語留学だったと教えてくれました。

本記事では詳細を省略しますが、高校時代に大変なことがあり、自分自身の進路について真剣に向き合った際、自分の可能性や価値観を大きく成長させたいと考えて、思いきって英語留学を決意されたそうです。

留学先のイギリスでは自分が抱えている問題から一旦離れることができて、物事について客観的に考える時間を作れたといいます。

ヤンさんが自分の人生にきちんと向き合った貴重な話をしてくださって、生徒たちもみんな自分のことのように真剣に聞き入ってくれました。

ドイツについて学ぶ!

質問の時間が終わった後は、ヤンさんから、ドイツについて、さらに詳しい情報を教えてもらいました。

ヤンさんに教わったこと

・ドイツの美しい建造物について
生徒たちは、伝統的な建物がキレイに残っているドイツの街並みを見てうっとり。それら伝統的な建物の多くは一旦戦争などで破壊されたものを、修復して使っていることにも驚いていました。

・ドイツの自然について
生徒たちの多くはドイツに対して「鉄と自動車の工業国」というイメージを持っていました。
しかし、ヤンさんから「ドイツでは街と街の間には今でもうっそうとした森林があるよ」と教えられ、
ドイツのきれいな山や川の写真を紹介された生徒たちは「ドイツの自然ってアニメの中みたいにキレイ!」と驚いていました。

・ドイツの今の流行
今、ドイツではトルコ料理が流行っているそうです。(ドイツとトルコは歴史的に関係が深いとのこと。)他にも、ドイツの伝統食品、白ウインナー、ハム、ザワークラフトなどなど美味しそうな写真をみて、たまらない表情を浮かべる生徒たち・・・

・ドイツのお祭りについて
真面目なイメージのドイツ人たちが「オクトーバーフェスト」ではハメを外します。何万人もの人々が一斉にビールを飲んで酔っぱらっている様子をみて、生徒の一人は「まじめそうなドイツ人も酔っぱらうんですね!」と、びっくりしていました。

・発音の練習
せっかくなのでヤンさんと一緒にウインナー、カツレツなどの発音を一緒に練習。(ちなみにあの有名な「シャウエッセン」は ドイツ語では見て・食べるっていう意味だそうですよ。)

ドイツの教育は人生の進路について考える時期が早い!

ヤンさんは、ドイツの文化や日常だけでなく、ドイツの教育の仕組みについても教えてくれました。

その時、生徒たちが一番驚いたのは、ドイツの教育では「人生の進路について考える時期が早い」ということでした。

ドイツでは、日本でいうところの小学校4年生の段階で、上級学校へ行きます。そして、その時点で、熟練工を目指す学校へ行くか、大学へ通って研究を目指す学校へ行くか、大きな選択を迫られるのです。

日本では大学に入ってから将来の進路を考える学生も目立ちますが、ドイツでは10歳という幼い時点で、自分の進路について真剣に向き合って考えないといけないことがほとんどなのです。

そのようなドイツ独特の教育・進学の仕組みを知ると、生徒たちはとても驚き、また、否定的な意見も目立ちました。

「4年生で進路を決めるのは早すぎる」

「ドイツの子どもたち、かわいそう」

しかし、そこへ講師が一つ、問いかけました。

「確かに10歳で自分の進路を考えるのは早すぎるように感じるかもしれない。だけど、社会に出た時、一緒に働いたり競争することになったら、進路を早くから考えていた人と遅くに考えていた人では、どちらがより活躍できると思う? 10歳で自分の進路を決めて、10歳の時から技術や専門知識を深めている人。それに対して、大学に入ってからノンビリ進路を探した人は、どうしても技術や知識面で遅れてしまう。結局、大人になってから困ることになってしまうのはどっちかな?」

生徒たちは、それぞれに思うところがあるように真剣な表情になって、考え込んでいました。

ドイツの働き方はホワイト!

教育の話題が終わった後は、ドイツの仕事・働き方について教わっていきました。

ドイツでは基本的に労働時間が短く、残業も基本的にはなく、さらに休日が多いそうです。

そんなホワイトな話題を耳にすると、生徒たちは興味津々になって、一つ質問をしました。

「え。それじゃあ、ドイツでは過労死とかってないんですか?」

ヤンさんはキョトンとした表情で首を傾げていました。

「え?どうして死んじゃうの? 」

講師が日本で会社員が過労死する理由を説明すると、今度はヤンさんが驚いたように言いました。

「そんなの冗談でしょ? 働きすぎで死ぬなんてありえない」

お互い、まさにカルチャーショック、という場面でした。

この瞬間、子どもたちは日独の文化の違いに触れたのだと思います。

休日、転職の考え方、残業、勤務時間。

そのすべてが、日本の考え方とは違うのです。

生徒たちは、「過労死も残業もないなんて、ドイツはなんて素敵な国なんだ!」と、この日一番の盛り上がり、大騒ぎでした。フランスやイタリアではイメージ先行で労働時間が短いことを予想していた生徒も、「まさかドイツもそうだったなんて!」と、驚いていました。

生徒の様子

授業の前には「ドイツといえばベンツと戦車」という単調なイメージしか持っていなかった生徒たちですが、ヤンさんとのコミュニケーションを通して、その価値観を大幅に広げてくれたように思います。

美しい山河と石造りの街並み。

それから、教育・働き方に関するドイツと日本の違い。

生徒たちは新たなドイツのイメージを抱いてくれて、授業の終わりには「ドイツ語を勉強してドイツに移住したい!」と発言してくれる生徒も出てくるなど、大成功に終わったエンカレ授業となりました。

塾長・塚﨑のメッセージ

今回の授業を通して、私があらためて思ったことは「子どもたちには国際交流の時間がもっと必要」ということでした。

日本とも関わりの深いヨーロッパの主要国・ドイツですが、生徒たちは最初、そんなドイツがどんな国なのか、そもそもどこにあるのかさえ、よく知りませんでした。

どうして、そういったことになるかというと、普通に学校生活を送っているだけでは、他国の情報に触れる機会がなく、他国へ興味関心を持つきっかけがないからです。

子どもたちは「自分の好きなこと」、「興味が湧いたこと」については、すぐに覚えて身につけていきます。

ですので、子どもたちに英語教育や異文化理解をスタートしてもらうには、いきなり英語の教材を読み解かせたり、英会話教育をするではなく、今回のように社会で活躍している外国人の方と濃密な交流の時間を過ごし、相手の国や文化について「面白い!」「知りたい!」と感じてもらうことが重要なのです。

そういう時間があってこそ、子どもたちは「相手のことをもっと知りたい」、「自分とは違う背景をもった人とも仲良くなりたい」と、自ら主体的に相手とコミュニケーションをしようと考えるようになっていきます。

これは単に子どもたちが自らすすんで英語を勉強していくというだけでなく、さまざまな科目(例えば地理や、他国の歴史など)にまたがる生徒たちの興味関心の動機にもなります。

これからもビーンズでは、できるだけ生徒たちに色んな経験をしてもらって主体的な学びを行う動機を身に付けていってもらおうと思っています。

▼こちらは講師陣で記念撮影した一枚です。ヤンさん、本当にありがとうございました!

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