中学で不登校。定期テスト・受験対策へどう立ち向かっていけばいいか。親の心構え
中学で学校に行くことが難しくなった場合、必ず悩むことが「テスト」です。
学校の定期テストを受けないと内申にならず、また、模試を受けられないと受験も不安だし、このままだと進学できないのでは……と心配になってしまいます。
もくじ
テストの前にまずは勉強嫌いの改善から
中学で不登校になった子(とくに長引いている子)にとって、「学校のテストを受ける」ということは、それ自体が負担の大きいことです。
その上で「点数も取ること」を課せられると、これはさらに大変なことです。
こういう状況の時、「テストのことはさておいて、それよりも先に、お子さまの勉強に対する抵抗感(アレルギー)を取り除いてあげることが大事」と、ビーンズでは伝えています。
狙っていく科目を絞る
勉強への抵抗感が薄れてきたら、次の目標は「学校の定期テスト or 模試を受けること」です。
この時、ポイントは「狙っていく科目を絞ること」です。
一つでも興味を持った科目、得意な科目、チャレンジしていけそうな科目が見つかったら、その科目を起点にして、テストに向けて準備を進めます。
たとえば、国語と英語を狙っていく、としたら、他の科目は戦略的に諦めます。
保護者さまにも、他の科目までの勉強は望まず、お子さまに「この科目だけでいい。他の科目はやらなくていい」と思い切ってアドバイスしてもらうように伝えています。
これにより、お子さまは、
・テスト(模試)を受けることで、その経験を積める(空気に慣れる)
・たとえ一科目であっても、勉強してテストを受ける流れを経験できる
という経験値を積むことができます。
そうして着実に状況改善を進めていって、テストにも慣れていくことが大事です。
テストで失敗しても親は慌てないことが大事
テストを受けていく中で、必ず何かしらの失敗は発生します。
ですので、保護者さまには「失敗は織り込み済みのもの」として、お子さまに余裕をもった態度で接して頂ければと思います。
スケジュールがうまく進まないで焦って勉強がストップ
⇒家ではリラックスさせる
テストや模試を受けようと思っていたのに当日に休んでしまった
⇒テストや模試を受ける気になっただけでも成長、と考える
テスト当日、会場で体調を崩して試験にうまく取り組めなかった
⇒会場に行けただけでも成長、と考える(学校の教室が会場なら、なおさら成長。不登校の子にとって、久しぶりに学校へ行くことは、とても大変なこと)
▼こちらの記事も参考に
あくまで受験がゴールであれば、それまでは練習と考えていきましょう。(すべてを完璧にこなそうと思い過ぎないことが大事です。)
また、テストが終わった後には、結果の通知があります。
ここでもお子さまが沈み込んでしまう可能性が高いです。
大事なのは、お子さまが沈み込んでしまったとしても、保護者は"泰然自若"に、かつ"受容的"に接してほしいのです。
こういった時に大事なことは、保護者さまが「すべてを完璧にやろうとするのではなく、最終的に子どもが受験(進学)ができれば良いや」くらいに気持ちをラクにして考えること<です。 極端な話ですが… もし、お子さまがテストを欠席しても… テストの内容がすごく悪くて内申が悪くなっても… 中学は卒業できます。 また進学先の高校も探せば色んな選択肢があります。
通単位制・定時制・総合学科の都立チャレンジスクールや、
信制高校で通学型…
また、
全日制高校だから〇〇できる…
通信制高校だから〇〇できない…
という、くくりもかなり薄らいできました。
ビーンズの実際の生徒の様子をご覧になってください。
テストが終わった後のスケジュールを仕込んでおく
お子さまが「テスト/模試を受ける」と決めた時は、そのテスト/模試が終わった後、必ずイベントを予定しておくことが大事です。
前章で"テストが終わった後、子どもが沈み込む"…とお伝えしましたが、
テスト前に子どもに「へこむかもしれないよ」と伝えていたとしても、
逆に「へこんじゃダメだよ。元気にいこう!」と伝えていたとしても、
多くの場合、子どもたちは沈み込みます。
(ここで全く沈み込まないなら、そのお子さんの状態はかなりいいです!)
この、"テストが終わった後、子どもが沈み込む"が長期間になると、今度は保護者さまが焦ってしまいます。("泰然自若"ではなくなってしまいます)
焦った保護者さまの言動は、子どもたちのエネルギーをさらにダウンさせてしまい、悪循環にハマってしまいます。
では、"テストが終わった後、子どもが沈み込む"の対策はなんでしょうか。
それは、テストが終わった後のスケジュールを仕込んでおく、ことです。
なにか勉強している科目があれば、それを淡々と続けるスケジュールを立てておくのがよいです。
また勉強に限らず、習い事でも、子どもの趣味でも良いです。
これにより、テストが終わった後の燃えつきによるダラけや、テストの結果が返ってきた後、精神的に沈み込む時間を減らすことができます。
(試験結果の良し悪しに関わらず、「自分はもう次の行動をしているから大丈夫」というタフさに繋がります。)
子どもがテストを受けると決めた時は、保護者さまが事前に「勉強・習い事・趣味」など、次のスケジュールも併せて組んでおくようにしましょう。
受験中に進路がブレた時のアドバイス
受験をしていく中で、お子さまの進路がブレることは、受験あるあるです。
(これは不登校に関係なく、受験生なら誰しも起きえることです。)
この問題に対しては、特効薬のようなものはないのですが、そうならないためにも、事前に高校の情報を収集しておくことが大事です。
また、その際のポイントを下記にまとめます。
高校の情報を集める時に大事なこと
・パンフレットやホームページの出来映えだけで決めないこと
・学校の先生が信頼できて、その学校の情報を持っていれば、話を聞く
⇒もしOB先輩がいれば、話す場をセッティングしてもらう
・実際に見学へ行く
⇒できれば、先輩の声を聴く(説明会や文化祭などがあれば行って、声をかけてみる)
学校や塾で勉強できるようになったら自宅ではリラックスさせる
お子さまは、学校や塾などで疲れると、自宅では自然と休むものです。
しかし、保護者さまの中には、テストが近かったり、模試などの成績が悪かったりすると、お子さまへの心配・焦りの気持ちから
「私が若い頃はもっと全力でやったもんだ!」
「あんたがちゃんとやってないから成績が悪い!」
「だらけてばかりいないで、もっと勉強しなさい!」
といったように、叱ってしまうケースが少なくありません。
確かに、保護者さまの視点からすると、学校や塾での様子を見ることは少なく、また、家では休んでいる姿ばかりを見ることになります。
また、進路のことなどもあって、不安になってしまう気持ちはよく分かります。
しかし、学校や塾で、少しずつ勉強も進められて、"自分事"を引き受け、テストも受けられるようになっている時、
唯一の休み場所である自宅でさえもプレッシャーをかけられてしまうと、お子さまは休める場所をなくしてしまいます。
こういう時は、原点を振り返ってみてください。
お子さまは、学校や塾にも行けず、勉強もまったく手につかず、テストを受けることさえ困難だった状態があったはずです。
それが、学校や塾に通い、勉強を進められるようになりました。
子どもにしたら「もしかしたら悪い点かも」「努力しても点数に反映されないかも」「点数が悪いと周りや親から見放されるかも…」といったリスクとコストを引き受けて、"自分事"の粋であるテストまで受けられるようになりました。
(少なくともこの記事をご覧になっている保護者さまの)お子さまは、着実に状況改善を進めている最中なのです。
このタイミングで保護者さまが「もっと勉強しなさい! 全然足りない!」といったように煽ってしまうと、
お子さまは
「やっぱり自分は出遅れている・頑張れない。だから価値がないんだ」
「親からもつらくあたられる…自分には味方がいないんだ」
というように、また塞ぎ込んでしまう危険性があります。
保護者さまのご心配・お気持ちはすごく分かります。
しかし、きちんと状況改善の進み、外でチャレンジをしてきた子どもには、
自宅ではしっかり休ませてあげることが大切です。
注意として、しっかり休ませる=リラックスさせることです。
無制限にゲーム・スマホをさせることではありません。
ゲームやスマホは依存性が高く注意が必要です。下記の記事も併せてお読み頂ければと思います。
試験日当日のテクニック
テストや受験の当日になると、これまでに準備してきた知識・学力(面接であれば、伝達の力)での勝負となります。
ですので、絶対に成功する!というようなテクニックはありません。
ですが、当日に少しでも気持ちをラクにして試験に臨むために必要なテクニックはあります。
・試験会場になる場所(高校)には、なるべく多く通って、環境に慣れさせておく
・当日は時間に十分な余裕を持たせて行動させる
・心配な方は、早めの時間に、学校の近くまで車で送ったり、タクシーで行かせる など
こちらの記事もご参考になってください。
また、試験当日の空気に慣れておくためにも、検定試験や模試をたくさん受けておくことも大事です。
まとめ
お子さまが不登校になってからのテスト対策、受験対策では、とにかく保護者さまのどっしりとした構え方が重要となります。
内申・成績・進路・受験で不安な気持ちはお子さま自身も一緒のことです。大人である保護者さまは決して感情的にならず、そんな彼らの先手を打って、「どうすれば我が子は着実に成長をしていけるか」という視点で、淡々と準備していきましょう。
当塾ビーンズの指導法を詳しく知りたい方は以下の記事も参考に!