ご家庭でできる 小学生・中学生・高校生「悩める10代」に勉強のやる気を出してもらう方法

※本記事は以前公開されていたものを加筆し再公開しています。

ご家庭でできる 小学生・中学生・高校生「悩める10代」に勉強のやる気を出してもらう方法

本記事では「子どもが勉強にやる気を見せない」というお悩みを持つ保護者さまへ向けて、小学校高学年~高校生の「悩める10代」たちが少しでも勉強に興味を持ってもらえるよう、「ご家庭で保護者さまからできる子どもへの働きかけ」について、塾長の長澤がアドバイスさせて頂きます。

長澤啓(Nagasawa kei)
学年ビリから二浪し東京大学へ​入学。ビーンズの活動が楽しすぎ、留年。経済学部経営学科卒。
副代表として、講師の採用育成プランの策定・外部協力者との渉外・経営企画までマルチにこなしながら、日々「ビーンズメソッド」を洗練させている。
さらに、親との衝突が絶えなかった自身の経験を活かし、保護者さまと月100件以上やりとりを実施。趣味はビールを飲みながら出汁巻き卵をつくること。

■インタビュー/詳しい自己紹介
学校の勉強についていけなかった僕が東大に合格するまでと親と対立した日々について
勉強へのやる気が出ない中学生を変えるために親ができることを学習支援のプロに聞きました
プロに聞きたい!不登校や勉強嫌いな中学生・高校生が進路を選ぶタイミングで、親に何ができるの?

結論は、「子どもの"好き"の同心円状で取り組める勉強から始めていく」です。以下、学年ごとのアプローチ方法について紹介します。

小学生へのアプローチ方法

大事なことは「受容体験」と「社会体験」

小学生では、ムリに勉強をやらせることよりも、「受容体験」と「社会体験」を得ることのほうが大事だとビーンズでは考えています。

受容体験
色んな取り組みに参加する中で、出会う人たちに受け入れられる経験を持つこと(ご家庭の中でも、家族に受け入れられていること)
塾や習い事でも、「真剣にやって、結果を出す!」よりも「楽しくやって、同世代の仲間に受け入れられ、大人からホメられること」が大切
結果はあくまで副産物。

社会体験
充分に受容体験を積んだ後は、いつもの仲間たちから離れ、新しく出会う同世代、目上の先輩や目下の後輩、大人など、色んな人たちと出会い、そこで繋がりをつくって、色んな取り組みに参加することも効果的。ただし大人が子どもが人間関係で傷つかないよう配慮したほうがよい。

保護者のサポートのもと、子どもが同世代・先輩・後輩・そして大人から受容され、時に新しい人に出会い、またそこで人間関係を築く経験をすることで、子どもたちは(人の集まり・群れである)社会への興味・関心が高まります。

もし、「同世代・先輩・後輩・そして大人から受容され、時に新しい人に出会い、またそこで人間関係を築く経験」を経ないまま、大きくなっていくと…

・自分の進路を考える動機を見つけられなくなります。

・それゆえ勉強にも「そもそも勉強する意味って何?」とポジティブな意味を見つけられなくなってしまいます。

このように後々に響くネガティブな因子が生まれてしまいます。
小学生までは「受容体験」と「社会体験」をキーワードに、どんどん子どもを遊ばせていただきたいなと強く思います。

外で遊びたい子はのびのび遊ばせておく

小学生時代の外遊びはとても大事です。

なぜなら、コミュニケーションや人間関係の形成する力を育てるのに欠かせないからです。

この時にできれば、友達と一緒に何かを成し遂げると、さらに良い経験となります。
(一緒に取り組むことは、遊びでも習い事でもなんでもOKです)

注意点

ご家庭における、小学生の教育で気をつけて欲しいことは、以下の二点です。

ネットやゲーム依存
ネット、ゲーム以外の興味・関心がなくなってしまう危険性がある。
もし、その状態で中学以降に不登校などでつまずくと状況改善がとても大変になる。

中学受験の強制
・無理矢理やらせないことが大事

・小学生の子は、自分自身の進路を決められるほど社会の情報量や意思決定力を持っていないため、先生や保護者さまの言いなりになることが多く、偏差値主義になりやすいため。
(偏差値主義になると、中学以降、成績に伸び悩むと「自分はこんな点数も取れないからダメなやつなんだ……」と、挫折するケースが多い。)

・もし、ご家庭の中で「絶対に合格しなさい!」などピリピリすると、お子さまは心の休まる場所をなくして、つまずきやすくなる。

中学生へのアプローチ方法

中学生で勉強嫌いになる原因は"同級生や大人たちからシビアな評価"

中学になると、「中間テスト・期末テスト・内申」などが実施されます。
確かに小学生にもテストや受験はありましたが、中学からは、同級生や大人たちからシビアな評価をされる環境になります。

それまで、あまり勉強に親しまず、学力や勉強をフワッと認識していた(それでもそこそこ幸せに生きていた)子どもたちが、学校からの「評定/内申」という評価軸で序列づけられる環境に否応なく巻き込まれることになります。

そのため、中学生で勉強嫌いになる子は、

学校でのシビアな評価
学校で同級生や大人からのシビアな評価に晒されるので、勉強を怖いものだと認識してしまう。

もともと好きだった科目も嫌いになる
もともと英語は好きだったのに、定期テストで数値化されて、その結果でイヤになってしまう。

自分自身のポテンシャルを過小評価する
悪い点数(親や自分が期待していない点数)が続くと、自分で自分を見限ってしまう。

など、「点数」「偏差値」「評定」など数字が悩みのタネとなるケースが多いです。

勉強は「点数」でなくて「新しい知識を学ぶこと」

数字で成績が示されると、多くの学生は「良い点数を取らないと嬉しくない」というように考えるようになります。

しかし、本来の勉強で大事なことは、「定期テストの点数」ではなくて、「新しい知識を学ぶこと」です。

そして、「勉強を好きになる」ということは、「新しい知識を学ぶことが好きになるかどうか」です。

もともと勉強が好きな学生というのは、知識に貪欲な性格の子が多いです。

小さい頃から、本だったり、テレビだったり、展示だったり、色んな所から自分の気になる情報を集めて、「自分の知らない新しい知識を学ぶ」ということをやっています。

これがどうして自然にできるかといえば、「新しい知識を学ぶことが楽しいから」です。

もし、学校の勉強が嫌いになり、これが悪化して、新しいことを学ぶこと自体が嫌いになってしまうと、その後の人生にも大きい悪影響を与えてしまいます。

ですので、子どもたちの心の中にある

学ぶこと=学校の勉強ができないとダメ(良い点数が取れないとダメ)」ではなく

学ぶこと=新しい知識を増やすこと(恐がることではない)

という認識を変えていくサポートが大切です。

保護者さまも、テストの点数だけで褒めたり叱ったりするのではなく、「これまでに分からなかったことができるようになっている」など、「過程における成長」を見て、評価するように意識して頂ければと思います。
(点数だけ・成果だけの評価を続けると、良い点数が取れない子はずっとヤル気を損なってしまいます。)

「子どもの"好き"からの同心円状」で勉強好きを育てる

お子さまが勉強嫌いになっている時は、まずはお子さまの好きな分野から話を広げていって、それからどのように勉強を進めていくか考えることが大事です。

ビーンズでは、これを「子どもの好きから同心円状に取り組んでいく」と呼んでいます。

たとえば、勉強嫌いで、サバイバルゲームが好きな子どもがいた時は、以下のような流れで指導していきます。

例)サバイバルゲームが好きな生徒の場合

生徒はサバイバルゲームが大好き

軍事の話や銃器の作られた国名には興味を自然と持つ

彼らの興味に強く関連する歴史や地理などの話をする

場合によっては、博物館や展示会など課外活動に行ってもらう宿題を出す

生徒の意欲・関心が十分に強まってきて、また、生徒が自分自身の知識が足りないところを自覚したタイミングで、趣味に強く関連する検定試験を紹介する

世界の歴史や地理の知識を増やしたい⇒語彙力検定の受験
自分の好きなことを説明するための語彙力を増やしたい⇒漢字検定の受験

生徒には、自分の一番好きなことをテーマにしながら「勉強する姿勢、努力を継続すること、試験までのスケジュール・段取り力の練習、試験本番のシミュレーション」などを学んでもらう

生徒は、合格したら成功体験を得て、不合格であっても勉強を続けた経験を得る。(どちらにしても成長)

この時のポイントは「いきなり学校のテストや問題集に直結した内容をやらせない」ということです。生徒たちの好きなことから同心円状に話題を広げていって、彼らの意欲・好奇心を削がないようにしながら、勉強への姿勢を身につけていってもらうことが最優先だからです。

また、このような流れで検定試験に合格すると、一つの自信と達成感を得て、「次はこれを受けてみたい!」など、さらに意欲を示してくれるようになりますのでオススメです。

テストのために勉強を慌てて強制することは逆効果

定期テストが近づいてきたタイミングなどで、慌てて子どもに「今すぐやりなさい!」などと叱責して、勉強させようとする方針はオススメしません。

理由は前述の通りで、「点数主義」の考え方で勉強を続けると、「よっぽど良い点数が取れるまでは、子どもに自信が身につかず勉強を好きにもなれない」というジレンマに陥るからです。

それよりも、着実に状況改善を進められる方針、「新しい知識を学ぶことに楽しみを覚えていく」という姿勢を身に着けることの方が大事だとビーンズではお伝えさせて頂いてます。

高校生へのアプローチ方法

基本的には中学生と同じ

高校生は、次の進路が大学生(人によっては社会人)ということもあり、中学生以上に、点数・成績がシビアになります。

ただ、勉強自体を好きになってもらう方法は、先ほどの中学生と同じように自分の好きな分野から同心円状に勉強へ取り組んでいって、「新しい知識を学ぶことに楽しみを覚えてもらうこと」です。

高校生は「〇〇が好き」という感情から自己分析、勉強の動機を固める

一点、中学生と異なる点として、高校生の勉強嫌いは「将来」への影響の度合いが高くなります。

例えば、いざ大学受験をしようと思うと、大学や学部はたくさんあるし、また、そもそも受験をしない他の道などもあったりして、進路が多すぎて、子どもが選べない状態にもなりやすいです。

こういう状況の時は「勉強を好きになってもらうこと」の前に、まずは子どもの“〇〇が好き”という感情から棚卸しして、自分の進路を選び、勉強することの動機を固める「自己分析」が重要となります。

自己分析「好きから逆算する」
・子どもの今好きなことに紐づくような職業について親子で調べてみる
・可能であれば、実際、職業についている人に出会ってみる
・さらに可能であれば、職場も見学する
・いきなり大学、学部を選ばせるのではなくて、先に社会の情報を知ることが大事
・目先の進路のために急いで進路を決めるのではなくて、将来、こういう(楽しい)環境があるから、この進路を選ぶ、という気持ちを持ってもらうことが大事。

目標が定まらないことには、いくら「勉強をしなさい!」といわれても、やる気は起こりません。
また、勉強にアレルギーを示している子どもに対し、親がどうこう言うだけでやる気が出るものではありません。
まずは、自己分析をおこない、次に進路に関する情報集めをおこなって、それから勉強に取り組んでいくように保護者さまからもサポートしていただきたいです。

ご家庭できる具体的なサポート方法としては……
子どもの好きをストーリーにしていく」や、
子どもの好きを言語化していくサポート」をご覧ください。

ご家庭でお子さまの自己分析をサポートする際の注意事項としては、こちらの記事にまとめています。ぜひご覧ください。

まとめ

学年ごとに要点をまとめます。

小学生
・のびのびと遊ばせることを優先する
・競争や結果を出すよりも、同世代、先輩・後輩、大人から受容される経験が重要
・たまに新しい人間関係を築く経験もできるとよい
⇒ただし、ゲームやスマホ依存はさせないよう注意する

中学生
・点数だけを見て褒めたり叱ったりせず、「分からないことができるようになったかどうか」で評価してあげることが大事
・本人の好きなことから、好きな本、検定試験などを通していって、徐々に勉強への興味・楽しさを覚えていってもらうことが大事

高校生
・基本は中学生と同じ
・進路に悩んでいたら、まず"自分の好き"を軸にした自己分析。次に進路の情報集めをして、方向性を見定める

いずれもポイントは、「子どもの"好き"という感情を勉強をリンクさせること」です。
保護者の皆様においては、「勉強=点数だけ」という価値観を子どもたちへ与えないように特に気をつけて頂ければと思います!

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