不登校や勉強嫌いの中学生・高校生が自主的に勉強するまでのステップ

本記事では、不登校・勉強嫌いの中学生・高校生が勉強の遅れを取り戻すために「自主的な勉強方法を身につける」必要性と、子どもが「自主的な勉強方法を身につける方法について話をさせて頂きます。

不登校や勉強嫌いの中学生・高校生が自主的に勉強するまでのステップ

自身も勉強嫌いだった学習支援塾ビーンズ塾長 長澤がお話しします。

長澤啓(Nagasawa kei)
学年ビリから二浪し東京大学へ​入学。ビーンズの活動が楽しすぎ、留年。経済学部経営学科卒。
副代表として、講師の採用育成プランの策定・外部協力者との渉外・経営企画までマルチにこなしながら、日々「ビーンズメソッド」を洗練させている。
さらに、親との衝突が絶えなかった自身の経験を活かし、保護者さまと月100件以上やりとりを実施。趣味はビールを飲みながら出汁巻き卵をつくること。

■インタビュー/詳しい自己紹介
学校の勉強についていけなかった僕が東大に合格するまでと親と対立した日々について
勉強へのやる気が出ない中学生を変えるために親ができることを学習支援のプロに聞きました
プロに聞きたい!不登校や勉強嫌いな中学生・高校生が進路を選ぶタイミングで、親に何ができるの?

「とにかく宿題をやらせる」は逆効果

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代表(塚﨑)が大学受験対策の家庭教師をやっていた頃、多くの保護者さまから、「ウチの子は全然勉強をしない。だから宿題をジャンジャン出してください!」という、ご要望を受けることが多かったといいます。

しかし、「子どもが全然勉強しないから、宿題を増やせばいい(子どもが勉強するだろう)」は誤っています。

それまで勉強に対してネガティブな姿勢を見せていた子どもに対して、「むやみに宿題をジャンジャン出すだけ」では、彼らのストレスを増やすだけです。

そして余計に勉強嫌いになって成績が下がってしまう可能性が高いからです。

最悪の場合、子どもたちが授業を受けることを拒否してしまう場合も珍しくありません。

なぜ宿題をジャンジャン出す」だけでは彼らは勉強しないのか。ここから説明していきますね。

「恐怖と不安」をモチベーションに勉強できるのは小学生まで

確かに、大人が叱りつけて勉強させれば、一時的に勉強は進むでしょう。

または、大人が

「勉強しないと将来、悲惨なことになる」

「勉強しないと将来、進路を選べないよ」

「勉強しないと受験に合格しないよ」

と、勉強しないことで将来どんなリスクがあるかを説明して、勉強するように説得する。
子どもによっては、その説得に応じて(将来へのリスクを感じて)勉強をする……

これ、ビーンズでは、「恐怖と不安」で駆り立てる と言っています。

ただし、私のみるところ恐怖と不安で子どもを勉強へ駆り立てられるのも、小学校高学年までが限界だと感じます。

言い換えると、思春期になった子どもへ無理に勉強をさせようとするとデメリットが大きすぎるのです。

まず、勉強しないことを怒鳴りつけたりして「恐怖」をモチベーションに勉強させようとする方法ですが……

思春期に入った子どもの場合、親子の言い争いから、ひどい場合は家庭内暴力もあり得ます。

そこまで元気のない子どもの場合、自室への引きこもりといったことも珍しくありません。
これをビーンズでは「リビングからの退却」と言っていますが、この状態となると他の様々な問題に繋がってきます。

次に、将来への「不安」を伝えて(煽って)勉強するように説得という方法ですが……

自分の意見を持っている・自分の意見を強めに言える中学生・高校生なら……

あ、そんな大人の煽りに従うくらいなら、勉強から撤退します。

となるし、

周りに合わせたい気持ちが強く、「ふつうにならきゃ」というタテマエ強めの中学生・高校生の場合だと

周りとおなじようにふつうに勉強しなきゃ、でも……できない……

となります。

その結果、進路を考える中学3年生や、高校3年生の時点で「勉強は怖い。勉強とはネガティブなものだ!」と強く認識し、
学ぶこと自体にアレルギーをもってしまっては元も子もありません。

保護者さまの多くは「勉強」という言葉は、おそらく国数英理社のテストの点数に直結する「ザ・科目勉強」という意味で使ってらっしゃると思います。

先に、申し上げておきたいのですが、テストの点数に直結する「ザ・科目勉強」が嫌いな生徒は多いですが、「広い意味での勉強」が嫌いな中学生・高校生はいません。

この”「広い意味での勉強」が嫌いな中学生・高校生はいません。”については、記事「勉強の楽しさを知らないから、勉強しないだけだと思います」をご覧ください。

もし、子どもが、この記事でいうところの「広い意味の勉強」も嫌いになってしまったら……。

勉強すること、学ぶこと自体は大人になっても続きます。

スマホの操作のコツも、観葉植物の育て方も、車の運転免許も、学ぶことで習得したり、資格を得たりできますよね。

そんな時、

「子どものころ、勉強で親からずっと怒られていたな」

「子どものころ、勉強ですごく怖い思いをしたな」

と思いだしてしまって、学ぶことにアレルギー感が出たらどうでしょう??

すごくもったいないですよね。

ビーンズ流、自主的な勉強への王道ルート「成績UPに必要な4階構造」

学習支援塾ビーンズ 「成績UPに必要な4階構造」

子どもが、学ぶことへのアレルギーを発症せず、自主的に勉強へ取り組むためもステップをビーンズでは「成績UPに必要な4階構造」と表現しています。

まず、勉強に取り組み成績を上げるには、「嫌々、やらされている」という姿勢では成果は望めません。※
※「思春期以前の子どもなら短期的には頑張れることもある」「デメリットが多すぎる」というのは先述の通りです。

子どもが「自主的に勉強に取り組むこと」によって、ようやく成績アップが望めるのです。

前提、そして1~4階をここから詳しく説明していきます。

前提:「ザ・科目勉強」の本質

まず、前提としてのお話が、テストの点数を上げるための「ザ・科目勉強」の本質は「無味乾燥に見える情報をひたすら反復して記憶しようとする作業」です。

仮に、難しい数学の問題や小論文、英作文といった発想力や創造性が要求される問題であっても、まず解き方の型やコツをひたすら反復して体に染み込ませた状態でないと、解くことはできません。

これは、この記事をご覧になっている保護者の皆さんもご存知の通りだと思います。

本当は、無味乾燥に見える情報やコツを覚えることや、暗記作業そのものにも面白さは潜んでいます。
でも、それを理解できるようになるまでには、かなりの修練が必要とされます。

つまり、テストの点数を上げるための「ザ・科目勉強」とは、(特に最初は)無意味にみえる反復作業に耐える根気・粘りが必要な作業なのです。

そんな勉強に対する根気や粘りを持ってもらうためには、まず、「自主的に勉強に取り組む」という意識・心構えを持ってもらうところからスタートする必要があります。

1階「自立に必要な4階構造」を組み上げる

子どもに「自主的に勉強に取り組む」という意識・心構えを持ってもらうためには、まず「自立に必要な4階構造」を組み上げることがスタートです。

え??」と思われた方、ごめんなさい。

「成績UPに必要な4階構造」の1階部分には、「自立に必要な4階構造」という別の4階構造が存在しているのです。

学習支援塾ビーンズ 『4階構造』

つまり「成績UPに必要な4階構造」を完成させるには……
「自立に必要な4階構造」という別の4階構造を先に完成させることが前提として必要
……ということです。

ややこしくてすみません……!

講談社FRaUさんにて『4階構造』(と『4つの時期』)を端的に紹介いただきました。
ある段階までは生徒に「正論」を突きつけてはいけない

ビーンズメソッド「四つの時期」

自立に必要な4階構造」を組み上げるうえで、特に大切なのは……
1階の「絶対安心の場である家庭」を構築することです。

子どもにとって「絶対安心の場である家庭」をつくるには、会話量を増やすことからスタートです。

……とはいえ思春期の子どもと会話量を増やすのは、一筋縄ではいきません。
そのコツについて「中学生・高校生のお子さんが不登校・引きこもりになったら……【まずは親子の会話量を増やそう】」にて説明しています。

2階の伴走してくれる大人」ですが、これは家庭の外の大人の事です。
子どもが尊敬できて、「この大人は自分を守ってくれる」と信頼できる大人と、塾や習い事で出会うことです。

ポイントは、以下の動画で話しています。

3階の青春経験」と勉強の関係については、こちら「科目勉強と「青春経験」の関係 /青春経験の作り方」の記事をご覧になってください。

そして……ようやく4階の「挑戦と努力」にたどり着きます。
ここまできて、子どもたちは進路を具体的に選ぶことや、その進路に向けて(勉強を含めた)努力を続けることができるのです。

2階:ある程度の国語力

ここで何を申し上げたいかというと、成績アップのためには、国語から勉強しましょうということです。

まず「 国語力」とは何かを説明しますね。

ビーンズが考える国語力の定義は「 語彙力と要約力」です。

ある程度の国語力(「語彙力と要約力」)があることで、

「3階:ある程度の自己分析と明るい将来像」を想像して表現することができ、
「4階:正しい勉強法の実践と圧倒的な自習量」を行うことができます。

逆に語彙力がないのに、自己分析も、正しい勉強方法の実践も、自習もできるわけがないのです。

※語彙力の大切さを1分でまとめました!

まず、国語力がないと「3階:ある程度の自己分析と明るい将来像」が組み上がらない理由について説明します。

自己分析とは言葉化できていない自分の深い思いをひたすら言葉化していく作業です。

また、その過程で、自分の内面や今まで経験、そこで得た感情をどんどん言葉にしていく必要があります。

これには、相当な語彙力が必要です。

そして、自分の記憶やエピソード、感情を要約する力も必要です。

さらに、今や全大学受験の半分となった(大学によっては入学者の過半数を超える)公募推薦・総合型選抜といった「推薦入試」で大切なのは、エントリーシートを書き上げること。
エントリーシートを書き上げるには自己分析です。
自己分析には、国語力が必要です。

次に、国語力がないと「4階:正しい勉強法の実践と圧倒的な自習量」が組み上がらない理由について説明します。

成績UPで最終的に物をいうのは、「圧倒的な自習量」です。

大学の一般受験に代表される科目勉強での受験を選択する場合、テキストの膨大な内容を時間内で理解する必要があります。

そのために必要なのは、やはり国語力です。

さらに進学塾や予備校の授業では膨大な情報量が与えられます。これを理解し要点化していく必要があります。

膨大な情報量がハイスピードで伝えられる授業についていくためにも、国語力が必要になってきます。

このように

●推薦入試・一般受験に関わらず……

●また、自己分析・エントリーシートの作成から、全ての科目勉強に至るまで……

全てのベース、基盤は国語力です。

ですから、ビーンズでは国語力を上げるため、まず最初にやる勉強として国語(現代文)をお勧めしているのです。

国語力の大切さについては、不登校・勉強嫌いの中学生・高校生が最初に伸ばすべきは、「国語力」!の記事でも説明しておりますので、ぜひご覧ください。

3階:ある程度の自己分析と明るい将来像

子どもたちの多くは、「なぜ自分が勉強をしているか」「何のための勉強なのか」といった、勉強の目的について理解していません。

「親が言うから」
「みんなやっているから」
「将来困ることになる(みたいだ)から」

こういったイメージを持っている子どもの多くは「勉強はやらされて、嫌々やるもの」という感覚を持っています。
すると、ヤル気は起きず、一向に知識は身につかず、結果、成績が伸び悩んでしまうのです。

よって、ここまできた子どもたちは「勉強する目的」を考える必要があります。

「勉強する目的」を考えるには、「ある程度の自己分析と、勉強した先の明るい将来像」が必要なのです。

科目勉強は骨が折れる作業だからこそ、勉強をした先に明るい将来があるという納得感がなければモチベーションは生まれません。

そもそもゴールも見えないのに、勉強だけ毎日がんばれというのは難しい話です。

大人で例えると、その仕事が何につながるのかもわからずに、ただひたすらに集中力を必要とする作業を延々とやり続けろ!と上司から毎日言われているようなものです。
(……大人でもめげてしまいますよね。)

ですから「自己分析をして、自分の将来のことを考え、明るい将来像を持ってもらう」ことが必要なのです。
自己分析をしたうえで、

「どういう高校(大学)に行きたいか」
「将来やりたいこと」
「将来のために学びたいこと」

などをポジティブに考える必要があります。

3階の前提「子どもは"暗いニュース"ばかり摂取している」

しかし、思春期・10代の子ども達にとって進路をポジティブに考えるのはかなり至難です。

というのも、思春期・10代の子ども達はSNS/ネットで暗いニュースばかりを摂取するからです。

そもそも、社会に暗いニュースが溢れているんですよね……。
明るいニュースより、暗いニュースのほうが圧倒的に情報量として多い。

個人が破滅していく・社会が劣化していく様子を丁寧に追いかけて、テレビやネットは今日も大盛り上がりです。

例えば(視聴率がとれるバラエティ以外)で時間をかけて特集されている番組のネタ、ネットでトレンド入りするネタといえば

不倫・スキャンダル・いき過ぎたいたずらがネットで拡散して炎上していく様子・果ては暗殺……などですよね。

そして、SNSのツィートは、妬み、悪口、憎しみに満ちているものの方がview数伸びるし、シェアされている気がしませんか?

そして、個人が破滅していく様子を、ここまで豊富に紹介してますから、

政治経済の話題が好きな子どもにも、YouTuberが好きな生徒にも、それぞれの子どもの、それぞれの嗜好に応じて暗~いニュースがたくさん用意されているのです。

<ネット上に跋扈する暗ーい世界観の例>

・出身大学(校)から勝ち負けに二分される。

・負けたら社会からトコトン食い物にされる。

・勝つためには、朝から晩までブラックに頑張らないといけない。

・勝ち組になれば、ホワイトな大企業に入り、高給で余裕のある生活が送れる。

・が、勝ち組になっても自分の好きなことはできない。会社の指示に従うのみ。主体性は求められない。

このように、暗いニュース漬けになっている思春期・10代の子ども達。

彼らが進路をポジティブに考えるには、上記の暗いニュースに動じないような自尊心のベースを作る必要があります。

それが「自立に必要な4階構造」であり、特に1階の「絶対安心の場である家庭」を構築することなのです。

一言でいえば「全世界が自分に牙をむいても、家族や友達は絶対に私を守ってくれる」という感覚をもつこと。
これが思春期の10代にとっての自尊心のベースになります。

3階のコツ2「親が誘導・強制しない」

本章から「3階:ある程度の自己分析と明るい将来像」を構築する際、ご家庭でできるサポート方法について詳しく説明します。

子どもが「3階:ある程度の自己分析と明るい将来像」をつくる際の

親のサポートにおいて、注意点があります。

それは「親が誘導して子どもに進路を強制しないようにする」です。

当たり前ですが、保護者さまの方が大人です。
社会について圧倒的な知識量があります。

ですので、子どもの将来について心配な保護者さまほど、つい……

「大企業入るなら大学進学した方が有利」

「〇〇になりたければ、×××しなさい」

と、子どもが将来像を考えている際に、”正しい知識”をアドバイスしてあげたくなります。

正しい知識だからいいじゃないか

……と思われるのも無理ないのですが、あまりに度が過ぎると、子どもたちはいつまでも受け身でしか自分の将来を考えません。
結果、勉強を主体的にやることがなくなってしまいます。

3階のコツ3「子どもの話を一旦全部聞く」

前章で「親が誘導して子どもに進路を強制しないようにする」と言いました。
すると……

「子どもが将来像を考えるとき、放任しろというのか?」

「子どもが夢みたいな将来像を描いていたらどうするの?」

「夢を持ってもいいけど、その夢をかなえるためには現実的な方法やルートを教えてあげなきゃ」

と思われた保護者さまもいらっしゃると思います。

ここが難しいところです。

先にも伝えた通り、子どもたちは社会の情報を持っていません。

情報自体はふんだんに持っているのですが、極端に偏っていたり、思い込みがあったり、大事なところが抜けていたり……

”正しい知識”はほとんどもっていないのです。

ですから、大人が”正しい知識”を教えたくなるわけですが、二つポイントがあると考えています。

子どもがどんなに極端だったり、思い込みのある自己分析や将来像を言ってきても、一旦全部聞く

正論・アドバイスは「伴走する大人」経由で伝えてもらう

です。

子どもの自己分析や、子どもが考える将来像は、極端に偏っていたり、思い込みがあるのがゆえに、大人が聞いていると途中で遮ってしまいたくなります。

そして親の方が”正しい知識”を持っていて、(かつ仕事や家事に追われているので)子どもとの会話にかけられる時間に制限があります……。

すると、親が時間内で”正しい知識”を伝えようと、喋りすぎてしまうのです。

そして気付けば、

「大企業入るなら大学進学した方が有利」
「〇〇になりたければ、×××しないといけない」

という内容を滔々と語ってしまい、一方の子どもは能面のような顔をして黙っている…あるあるの事態です。

子どもたちは社会の知識・語彙も大人に比べると少ないですし、語っている時点では自分の気持ちが言葉になっていない場合もあります。

「しゃべりながら自分の考えをまとめている」状態です。

ですから、話の中身があっちこっちに飛びます。

大人としては忙しい時間を割いて話を聞いて、かつサポートの効用を出したいので、ついアドバイスに熱が入り、”正しい知識”を子どもの話をさえぎって伝えてしまいたくなるのです。

そんなとき「一旦全部聞く」を意識して欲しいのです。

3階のコツ4「正論は"伴走する大人"経由で伝えてもらう」

次に、「正論は"伴走する大人"経由で伝えてもらう」です。

一旦全部聞く」を頑張るとしても、極端に偏っていたり、思い込みのある子どもの自己分析像・将来像については、どこかで正論・アドバイスは伝えないといけません。

それは、ぜひ保護者さま以外の「伴走する大人」…つまり習い事の先生や、塾の先生から伝えてもらうようにして欲しいのです

思春期・10代の子ども達は保護者さまからの正論・アドバイスは聞きません。

またそもそもですが(この話の前提である)親に自分の自己分析や将来像を語るかどうかすら運の要素があります。

どんなに1階の「絶対安心の場である家庭」を築いていたとしても、子どもの性格によっては「親には絶対にそういう話はしない」と決めている子どももいます。

特に思春期の男子はやっかいです。

親には自分の進路や将来像のことは絶対話さない。そういうことは自分で決めるのだ。」

というダンディズム(やせ我慢)を持っている一方で、

親には自分の進路や将来像のことを常に見守り、かつ100%完璧に認めてほしい。(正論やアドバイスはいらない)」

という矛盾した気持ちを持っている場合が多いのです。

めんどくさいですね。

ですから、思春期以降の子どもの自己分析や将来像を考える際のサポートは、親がタッチできない・タッチしないほうがいいことも珍しくありません。

その場合は「伴走する大人」にサポートを依頼するのがよいと思います。

なお、ビーンズの授業では、以下のような自己分析や将来像を考えるサポートを行っています。

4階:正しい勉強法の実践と圧倒的な自習量

「成績UPに必要な4階構造」が組み上がった後の生徒の様子

最後が「正しい勉強法の実践」、そして「圧倒的な自習量」です。
ここまできて、ようやく多くの保護者さまの期待する塾っぽい内容になりました。

「子どもは勉強方法を知らないだけです。正しい勉強法を教えてください」

「勉強の楽しさを知れば、子どもは勉強すると思います」

「自習をさせてくれれば、成績は伸びます」

こういった内容を訴える保護者さまは多いのですが、ビーンズメソッド的には「その前に必要な条件が子どもに揃っているだろうか?」と考えます。

もし、ここまで揃っているのなら、あとはもうやるだけです。

「正しい勉強法の実践」「圧倒的な自習量」については、各種参考書や受験専門塾の領域ですし、すでにたくさんの素晴らしい方法論があるので、基本は割愛します。

しかし、長い期間不登校だったり勉強嫌いの期間が長かったりした子どもの場合は、「成績UPに必要な4階構造」を組み上げても、自動的に勉強するとはならない場合があります。
そのとき、どういう対応・サポートをすればいいかを紹介していきます。

4階のコツ1「勉強に興味をもってもらう」

よくある言説として

「子どもに勉強する目的を伝えれば、勉強は自分のためにするものだと理解し、自主的に勉強を頑張るようになる」

「勉強する習慣づけをすれば、子どもは勉強をするものだ」

というものがあります。

内容は正しいと思います。

確かに小学生低学年までは、親が「勉強の目的」を丁寧に伝え、「勉強の習慣づけ」をおこなうことで、子どもは勉強するようになるでしょう。

ただし、これらの内容がはまるには条件があるとビーンズでは考えます。
それは……

・子どもが思春期以前であること
・子どもがすでに勉強嫌いになっていないこと
・子どもと親の関係が良好であること(会話量が充分にある)

という条件です。

これら条件がそろっているのであれば、確かに正しい内容なのです。

裏を返せば、子どもが思春期以降で既に勉強嫌いになっている場合、それでは不十分であると、ビーンズでは考えています。

既に申し上げてきた通り、『成績UPに必要な4階構造』を組み上げることが必要ですし、勉強をスムーズにスタートするためにはさらに「勉強に関して少しでも興味を持ってもらう」というところも大事になってきます。

なぜ興味を持ってもらうことが大事かというと、人間の脳は、「自分の好きなこと・興味のあること」については、自然と覚えようとするものだからです。

たとえば、いくら勉強嫌いの子どもだとしても、大好きなアニメやゲーム、テレビ番組やカード、芸能人グループの名前や歴史なんかは、ものすごく暗記していることってありますよね。
大人からすると、複雑なゲームのルールや、何百匹というモンスターやキャラクターなど、すぐには覚えられそうにはありません。

しかし、子どもたちはそんな膨大な知識をすんなりと暗記してしまいます。(むしろ勉強嫌いの子どもほど、詳しかったりします。)
子どもたちは「自分たちが好奇心を持ったものはすぐに覚えられる」のです。

勉強嫌いだからといって、決して「勉強ができない・暗記力がない」というわけではない場合がほとんどです。

言い換えると、「ほとんどの子どもたちは勉強するための潜在能力を十分に持っている」のです。

虫や星が好きで理科が得意な子ども
歴史が好きで日本史が得意な子ども
本を読むのが好きで国語が得意な子ども

……そういう子どもはクラスに一人は必ずといってよいほどいますよね。

もし子どもが勉強に興味を持ち、そのことを好きになっていったら、その成長はめざましいものです。
なにしろ自主的に取り組んでいくのですから、テストの点数も自然と良くなりますし、そうなると自信もついて、さらにヤル気が出ていって……プラスの循環になっていきます。

「好き」から「得意」になっていくということは、とても自然なことなのです。

では、どのように子どもの「好き」という気持ちと勉強とをつなげるのかについて話していきます。

もし、子どもが勉強にまったく興味がない状態であれば、まずは子どもに興味を持ってもらえるような勉強に関係する雑談・エピソードを話してあげます。

このとき大人が「この知識や単語、概念は必要だから伝えよう」と伝えてしまうと、子どもが引いてしまいます。

ビーンズで大事にしているのが「同質→異質のスモールステップ」と、「子どもの"好き"からの同心円状」という考え方です。

以下の例のように子どもの「今知っているモノ・今好きなモノ」から、同心円状に少しずつ彼らが興味が持てる世界を広げていくのです。

【子どもの"好き"からの同心円状に語彙力をアップする授業の例】
(生徒の好きなものが戦車の場合)

生徒が自分の好きなことについてベラベラとしゃべることができるように「信頼関係構築」を行います。

生徒が好きな戦車の話をする

戦車の直接的につながる内容を話す
・戦車に積んでいる大砲はどんなだ?
・戦車のメーカーはどこだ?

戦車に軸を置きながら興味の輪を広げていく
・こんなに強い戦車を作れた理由ってなんだ?
・戦車は戦争の推移にどう影響したのか?
・戦車を作っていたメーカーはどうなったのか?

引き続き戦車を軸に置きながら、話題をさらに広げる
・戦車を作っていたメーカーが、現在作っている車ってなに?
・戦車が必要になった戦争の背景
・戦車をつくった国の位置ってどこだ?

4階のコツ2「締切意識をもってもらう」

圧倒的な自習量を確保しようとする際のコツを一つが子どもに「締切」の感覚を持ってもらうことです。

「締切」がないと、モチベーションを維持しにくくなり、日々の勉強(自習)において集中力が下がってしまいます。

2年先の受験を目的に勉強を頑張ろう!」といっても、子どもたちには未来のことすぎて実感をもちづらく、ヤル気を持続させることは難しいです。

そもそも人間の意志というのは、単調な復習や暗記を好んでひたすら続けられるほど、強くはないものだからです。

そんな時、どうすればいいかというと、「最終目標である受験」の前に、いくつかの「小さな目標」を作るのです。そうすることで、持続的に集中力を発揮していくことができるようになります。

そして大きな目標(受験など)の前に、小さな目標(締切があるもの)を細かく設定する経験が子どもたちに「締切と努力のバランス感覚」を授けてくれます。

思春期前のお子さんや、親子関係が良好であれば「次の学校のテストまで頑張ったら、前から行きたかった場所に皆で行こう!」などの約束※をしてみるのもよいでしょう。
すると、子どもは目先の締切に向かって努力をすることができます。

※このとき、テストの点数よりも、毎日の積み重ね勉強への姿勢を文章にしておき、それを達成できたら、としておくのがおすすめです。
例えば、「毎日〇時間勉強する」などです。

また、約束の内容はゲームやスマホを買い与える約束をしたり、高価なものを買う約束をしたりするのはNGです。

その理由は二つありまして、

●子どもに「勉強=高価なものをもらってようやっとやるもの・それほどツラいもの」という想いを与えてしまうこと
●子どもにゲームやスマホを安易に買ってしまうと、その後の勉強がはかどらなくなるから

ですから、モノではなく「友達と遊びに行くためのお小遣い」「家族との外食」など”経験”を与えるのがよいと思います。

とはいえ、思春期に入った10代だとそういうのも気恥しいですよね…。
そういった場合は無理せず、塾の先生など家庭の外の大人に「小さな目標」と「ご褒美」の設定を頼むのも一案です。

ビーンズの科目勉強に関する考え方 まとめ

お読みいただきありがとうございます。

「塾で宿題をジャンジャン出してもらえれば……」
「塾でビシバシ指導してもらえれば……」

と、つい思ってしまうのも、お子さまの将来を想うゆえのオヤゴコロですよね。

とはいえ、この記事を読んでいただいた保護者さまは「恐怖と不安」をモチベーションに我が子を勉強へ駆り立てることのデメリットもご理解いただいたと思います。

もちろん、ビーンズが提案する「成績UPに必要な4階構造」を組み上げるのも大変です。
保護者さまに、かなりご協力いただく部分があります。

もちろん、今回お話したことは理想値です。
紹介したコツを全部やれなくても大丈夫です。

「あ、親の意見で誘導しちゃった…」
「あ、子どもの話、遮っちゃった…」

と、気づくだけでも、大丈夫です。
落ち込む必要はありません。

まずは理想値として「確かにこうなればいいよなぁ」くらいに思ってもらえれば幸いです。

さらに「ビーンズの考え方」について知りたい!という方は、『ビーンズメソッド』(の概要)についてご覧ください。


「情熱大陸」「カンブリア宮殿」などの各種メディアで著名な花まる学習会代表 高濱正伸先生、教育ジャーナリストおおたとしまささん
このお二方とビーンズ塾長の長澤が、”悩める10代”の現状、そしてビーンズメソッドの考え方について講演しました。

おおたさんには「ガラスの十代のトリセツ/ビーンズメソッドに学ぶ」と題し、ビーンズメソッドの基本的な考え方についてお話しいただいています。
そして、ビーンズを取材していただいた『不登校でも学べるー学校に行きたくないと言えたとき』(集英社新書)。
講談社FRaUさんでは、ビーンズメソッドの内容を端的にまとめていただいています。こちらもぜひご覧ください。

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