ビーンズの美談ではないリアルな受験物語 「覚醒」「挑戦」「就活」編

ビーンズの美談ではないリアルな受験物語 「覚醒」「挑戦」「就活」編

前回の記事では、不登校経験のあるしおんが、受験・浪人を経て「大学受験全滅の危機」を語ってくれました。

みんな、受験生なのに勉強に本腰を入れられないどころか、

模試を受けられない
ビーンズにすら来ない……

この状態、本当にビーンズに来る生徒のあるあるなのです。
今回の記事では、そんなしおんがどのようにして覚悟を決め、進路を決めたのかについてお話しします。

ビーンズの美談ではないリアルな受験物語 「挑戦」「合格」編

ナビゲーターは前回に引き続き、塾長の長澤が務めます!

長澤 啓(Nagasawa Kei)
学年ビリから二浪し東京大学へ​入学。ビーンズの活動が楽しすぎ、留年。経済学部経営学科卒。
ビーンズが積み上げてきたノウハウを「ビーンズメソッド」として文字化し、より洗練するのがメインのお仕事。さらに、親との衝突が絶えなかった自身の経験を活かし、保護者とのコミュニケーションにも注力。保護者さまと月100件以上やりとりをしながら、ビーンズ流の保護者さまサポートを拡充中。最近は副代表として、講師の採用育成プランの策定・総務(経理)・経営企画までマルチにこなす。趣味はビールを飲みながら出汁巻き卵をつくること。

■インタビュー/詳しい自己紹介
学校の勉強についていけなかった僕が東大に合格するまでと親と対立した日々について

勉強へのやる気が出ない中学生を変えるために親ができることを学習支援のプロに聞きました

プロに聞きたい!不登校や勉強嫌いな中学生・高校生が進路を選ぶタイミングで、親に何ができるの?

土壇場で、自分と向き合い決めた進路は?


長澤:受験が終わって、合否が分かった後泣いて、ビーンズに電話をかけてきたよね。全部落ちましたと。ビーンズとしては、「ついに、俺らが本領を発揮するときが来た」と。
それから、じゃあビーンズに来て話そうと。そこでも泣いて、そこから結構シリアスな話をしたような気がする。どんな話をしたか覚えてる?

しおん自己分析……というか自分の過去を振り返ることをめちゃくちゃやった記憶がありますね。

長澤:それがビーンズの自己分析なんだけどな(笑) 「マイヒストリーヒアリング」っていうの。
今でも覚えてるんだけど、そのときネギのエピソードが出たよね。

しおん:幼稚園の時って大体スーパーとか行くと、お菓子コーナーとか行きがちじゃないですか。
私はそんなことよりも、鮮魚コーナーと野菜コーナーしか興味がなかった。
ネギの丸齧りをしたり(笑)魚の品質をチェックしたりする子どもでした。

長澤:どちらかともなく「いや、そんな子どもってユニークじゃない?」って出てきたんだよね。
そこでやっと「進路は専門学校かも」って話になったんだよね。

しおん:そうですね。結局食べることが好きなんだな〜ってことに辿りついて。

(ビーンズの自己分析の一端を紹介した記事です)

長澤:そのタイミングでは、大学受験をやめて専門学校という選択肢をとることについて拒否反応はなかった?

しおん:なくはなかった、という感じでしたね。ただ、ちょうどその時に、私の父親がスキーで骨折しちゃったんですよ。そこで、家族に負担をかけないためにも、さすがに今年で決めなきゃいけない、もう決断するしかない! と。それなら、自分の好きな道を突き進もう! と思いました。

長澤:そうだよね!これまでは何もやってなくても怒らなかったし、とにかく次回しおんが来てくれたらいいや!ということでやってたけど、ガンガン正論をぶつけていったよね。
ビーンズでいう 「挑戦期」に入って。確かに、恐怖と不安もあっただろうけど、やりたいことベースで調理の専門学校にして…でももう時間がなかったじゃん。どんな風に過ごしてたの?

「挑戦期」についての説明はコチラの記事をご覧ください

しおん:時間的に2週間くらいでしたもんね。

長澤:そう!2週間だった!2週間で、今まで2年間くらい突きつけてこなかった正論をぐわーって突きつけたもんね。で、2週間、何をしてたんですか?

しおん:とりあえず、最初の1週間はどの職業につきたいかを集中的に選びました。食べ物に関する職業ってなると、例えば食品開発の企業や観光業、栄養士、調理師だったりなんですけど…。私はその時、栄養士になりたいと思ったんですよね。
おじいちゃんが不健康で、病院食とか介護の現場を見ていたのがきっかけで、そういう職業につくためには栄養士しかないと。

長澤:現役や浪人初期のときには全く思いつかなかった職業をその2週間でバンと思いついたんだ。あの2週間は、濃密だったよね〜。泣いた後なのに、俺らもガンガン正論つきつけるしさ。

しおん:そうですね。例えるなら、カルピスの原液を飲んでいる感じでしたね。あまりの濃さにむせかえりながら、「うめぇうめぇ」言って飲みつづけるみたいな……(笑)

長澤:まさに(笑)それに耐えられた理由はなんだったんだろうね。俺らがしっかり待てたのもあるけど、親にも、その期間勉強してないってバレてたはずじゃん。

しおん:言われてましたね。ゲームしかしてないって。

長澤:大学受験の当時は、お父さんお母さんはどんな感じで接してたの?

しおん:大丈夫なの〜?って感じでしたけど、基本放置でしたね。一定の距離をおいてもらっていました。

長澤:見守ってくれたんや。じゃあ、そこで、あなた来年どうするの!?勉強しなさいよ!!って言われてたらどうなってたと思う?

しおん:それ言われちゃうとしんどい……最悪6浪コースだなっていうイメージはすごいできる

長澤:お母さんとお父さんがしっかり見守ってくれたからこそ、怒涛の二週間を過ごせたっていうことやな。最終的に進路はどうなったの?

しおん:服部栄養専門学校っていう調理師・栄養士の学校に行くことになりました。
本当は、他のところに行きたかったんですけど、受験が間に合わなかったんです。
また1年を棒に振るくらいだったら、少しでも知識を得て何かやりたいと思って、調理師科昼間部1年制のコースに入学しました。

専門学校での挑戦と努力

長澤:専門学校はどうだったの?まず、一日の生活ってどんな感じ?

しおん:1週間のスケジュールだと、朝が座学のときは9時に登校、2時間2コマあって昼休みの後、2時間2コマやみたいな。実習のある日は、準備のために大体8時くらいには学校について、着替えて支度をして、お昼まで実習っていう感じですね。

長澤:へ〜!高校と浪人時代のしおんからはありえないじゃん。

しおん:ありえないですね。
座学は、中学~高校範囲の生物と化学を総復習。
実習は、ずっと立ち仕事、体力勝負。雰囲気もザ・体育会系。
出席も、4回同じ科目休んだらアウト。なので全くさぼれなかったですし。
普通に考えて厳しかったと思います。

長澤:なんでそれで頑張れたの?

しおん興味のあること、興味につながることしか勉強してなかったから。単純な理由です。

長澤:なるほどね!自分の好きなことにつながっていることが、体感として分かる内容だったからか。

しおん:そうですね。学んでいることが全て料理につながっているって感覚がすごくあったので。
「俺は今、自分が好きなことをやっている!」って満足感がありました。

長澤:それは、怒涛の二週間のときの自己分析も活きたってこと?

しおん:そうですね!それは、今でもずっと活きてると思います。

長澤:素晴らしい!
話は変わるけど、コロナ前のときの文化祭に招待されて行ったとき、めちゃめちゃ厨房で仕切ってたもんね!
塾の中では、ぐで〜んってなってたのに、厨房の真ん中でリーダーシップ発揮して指示出しゴリゴリしてる姿を見たのは結構感動的だったな。

出された料理はヴィーガン料理だったわけだけど。
はじめ塚﨑さんは「1500円も出して、お肉が食べれないなんて!」と言ってて(笑)
ところが、一口食べたら、塚﨑さんも俺も黙ったんだよな。あまりに美味しくて。
特にこんにゃくは感動的だった……!

しおん:ありがとうございます(笑)

長澤:ところで、調理の専門学校で何かこれは成し遂げたなって思うことってなによ?

しおん:体調管理に気を付けたこと、そして仮に体調が本調子じゃなくても授業には根性で出席するっていうのを心掛けたこと。あと、可能な限り資格は取ろうと勉強したことです。
今、アメリカのチーズの資格とオリーブオイルの資格と食育インストラクターの2級を取得してます。

長澤:調理の専門学校って結構座学もあるよね。例えば、どんな座学があるの?

しおん:座学はすごくあります。
例えば、生物学で寄生虫のことだったり、あと普通に英語もありました。
栄養士になるために海外の論文を見るためには英語も必要なので。

長澤:論文も見るんだ!じゃあ、専門学校生時代はめっちゃ勉強したってこと?座学の方も。

しおん:まあ、上の中くらいの成績になったっていう感じですね。
大学受験の時の1000倍以上は、家で勉強してました。まぁ大学受験時がほぼゼロだろというツッコミはあると思いますが(笑) ビーンズでも生物・化学はお世話になりました。

長澤:ここ大事なところだけど、同じ勉強なのに、なんで専門学校ではやれたんだろうね?

しおん:大きな理由は2つあって、1つ目は好きなことだから。自分は好きなことじゃないと全くできないっていうことが、地獄の2週間でわかったんで、好きなことを突き詰められたこと。
2つ目は、実践できるっていうこと。料理は、食材買って実際に調理して、こうなるんだっていうのを実践してで学べるのが大きかったです。

(就活終わりにはお手製のからすみをもってきてくれました)

長澤:素晴らしい!資格、座学、他にこれ成し遂げたっていうのはある?

しおん:後は、実習ですね。実は、先ほどの文化祭も実習の一環なんですけど、それとは別に『食品開発実習』っていうのがあって、商品開発の現場みたいに実際に商品を自分達で考えて作って、どれだけ売れるかみたいなことを分析する授業でした。
私のチームにはちょうどお酒が好きな人が班に集まっていて、尚且つ他班とは絶対被らないコンセプトということで「スナックの食事」がテーマになったんです。他の班は、子供向け商品とか、高級路線の食品とかだったんですが。

長澤:具体的には何を作ったの?

しおん:実習では三種類。マヨネーズ・カレー・缶詰を作ることになって。スナックにありそうでお酒と合いそうなもの何かなーって考えました。酒といったらワインだよなって思ってワインにあうマヨネーズを考えたら、同じ油をメインで使ったアヒージョがでてきたんです。それでアヒージョっぽいマヨネーズなら何にでも合うと思ってみんなで開発したら味も大成功でした。先生と他の生徒からの投票でなんと満票をいただきまして…

長澤:満票っていうことはつまり……!?

しおん:全員がおいしい、買ってみたいと思ったってことですね。先生が言うには過半数でもすごいくらいで、満票の班はめったにないと言われました。

長澤:素晴らしい!!!

(得意げなしおん氏)

就活がはじまった

長澤:資格、座学、実習の3つで成果を残し、いよいよ就活となります。
就活はどうだったの?高校の時は進路のこと考えると「ウッ……」ってなってたけど……?

しおん:むしろウキウキでした!早く決めたいなって。
栄養士をやりたいと思ったきっかけになったおじいちゃんのことも含めて、改めて自分はどういうことをやりたいのか深ぼりしてみた時に介護施設の食事を考えていきたいと思ったんです。

長澤:自分のやりたいこと考えたときに、まずは過去から深堀るっていうビーンズでの自己分析の手法を自分でも1人でやってみたのね。

しおん:そうです。
病院食って冷めてておいしくないイメージありませんか?それが変わればもっと幸せな入院生活が出来ると思ったんです。
調理師として勉強してたのもあるけど、出す料理はおいしくないと意味がないし、おいしいものを開発していきたいと思って、病院食や介護食を考える仕事ができる会社を選定しました。

長澤:なるほど、そこって結構倍率高い職種だったの?

しおん:高かったと思います。具体的に言うと介護食の委託業務をしている会社でトップシェアと3番目の会社に内定をいただいたんです。2つしか受けてないんですが、どちらも内定をもらえました(笑)

長澤:ビーンズで一緒に、あらためて自己分析から対策したもんね。

はじめ、しおんがウキウキで就活始めたことにびっくりしたんだけど、「この会社エントリーしたいです!」といった時に、しおんの顔を見ると恐怖という感じはなかったよね。
その後、自己分析を始めて、再び幼稚園からの自分を振り返り、そして将来自分が何をやりたいのか分析して、「体に良く美味しい介護食、病院食を作りたい。そのためにあなたの会社にいきたいんです」っていうストーリーを何時間もかけて作ったよね。

しおん:そうですね。

長澤:その時のしおんは、「挑戦期」のど真ん中だったから、自己分析も、ES対策も、面接対策でも正論をぶつけたけどぜんぜんへこたれなかったよね。ちなみに、選考が始まったときはどうだった?

しおん:ライバルは手ごわい人達ばっかりでしたね。早稲田大学で勉強していた人や、農業大学とか、栄養士のトップの学校の人もいて、そういう人相手にグループディスカッションとかしてたんです。

長澤:でも、2つとも内定ゲットできたもんね。勝因って何だったと思う?

しおん:そうですね、本当に自分のやりたいことが明確だったのが1つ。
あと、自分でがんばって成功体験を作ったことですね。栄養士として働くためにやらなきゃいけないなってことが1つあって……。自分はすごく太ってたんですが、そのまま栄養士として働くのはどうなんだと思ったんです。
すごい太った栄養士が食事指導する……と、どういう気持ちになりますか?

長澤:……ちょっと、言ってることに信憑性がないかも……(笑)

しおん:そうですよね。だから学校で学んだことを活かして自分でダイエットメニューを作って実践し、目標体重まで落として、その話を面接で使ったんです。
そしたら最初は堅苦しい顔だった面接官がみんな笑ってくれて。勉強したことを自分で活かして、実行力があるってことをアピールできたと思うのですごく意味があったと思います。就活では、その職業になるために改めて必要なものは何かを分析してなければ自分でつくればいい。

長澤:なければ自分で作るって大事だよね?

しおん:そうですね。あと、志望先の企業の社食を食べに行ったり、採用ページを見まくりましたね。その会社がどんな事業をやっているのか調べました。

長澤:色んな努力が実っての内定だね。働き始めたらしばらくは病院の現場で数年過ごすのかな?

しおん:そうですね。皆さんが知っているようなかなり大きい病院で現場経験を積むことになると思います。

長澤:いよいよ厨房に立つわけか……。感慨深いな。

将来について

長澤:将来のことを見据えて話していきたいんだけど、今後やりたいことはありますか?

しおん:直近でのチャレンジは管理栄養士の取得ですね。そのために勉強と仕事を頑張って、取得したらそのノウハウ、経験を使って介護食や病院食の内容を自分なりに考えて提案していきたいなって思います。

長澤:夢は就活の時言ってたことと変わらず、美味しくかつ健康な病院食を作っていくこと。そして、しおんのおじいちゃんみたいな人に食べさせて美味しいって言ってもらうのがゴール?

しおん:本当の最終ゴールは自分が変えた病院食で自分の一生を終えることですね。
「うん。美味い!ガクッ!」と(笑)

長澤:そうなる前に、僕もしおんが開発した美味しい病院食を最後の晩餐にしたい(笑)
そうなったら、もう思い残すことなく、こと切れまする(笑) ここまできたら、その夢叶えてよ!?

 



……余談ですが、そんなしおんに焼肉の正しい焼き方を教えてもらいました。

何度もひっくり返すことで、肉の油と共にうま味が流れ落ちてしまわないようにするのがいいのだとか……!

おわりに

いかがだったでしょうか?
ビーンズにやって来る生徒の多くはいきなり自分の将来・進路を考えることができません。
ビーンズでは「勉強しないといけないけど勉強できない」という悩みを抱える受験生に、勉強を無理強いすることはありません。

まずは、受験生が自由で安心できる環境を用意し、受験生が自分の進路に向き合える準備をしていきます。
そして、自分の進路に向き合える準備ができたら、そこで初めて正論を伝えます。

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