【前編】不登校 「同世代が怖い」中学生が「人と関わることの楽しさを伝える人になりたい」と思うまで

【前編】不登校 「同世代が怖い」中学生が「人と関わることの楽しさを伝える人になりたい」と思うまで

不登校 「同世代が怖い」中学生が「人と関わることの楽しさを伝える人になりたい」と思うまで

今回は、ビーンズで受験を経験した生徒たちはどのような心境だったのか……?
そして、ビーンズの大学生インターンによる伴走とはどのようなものなのか……?

ビーンズでのチャレンジスクール受験のリアルな雰囲気を前編・後編に分けてお伝えする記事です。
悩める10代と伴走する大学生インターンのリアルなチャレンジスクール受験エピソードをご覧ください。

後編はこちらからご覧いただけます。

長野天音(Nagano Amane)
愛称は「あまね先生」。高校卒業後ギャップイヤーを過ごした後、早稲田大学へ入学。ジャーナリズムを学ぶ。
”悩める10代”の保護者・生徒のサポートを行いながら、メンターとして新人研修を行う。
その後、ビーンズのHR(人事)チームで「HR企画室長」に就任。インターン生が安心して活動できる環境づくりのため、研修制度や育成計画の改革などを行う。
2023年春からHRチームの最高責任者「HRDiv.リーダー」に学生として初めて就任。インターン生が「ありのままの自分で挑戦できる」チーム文化づくりに挑戦中。

生徒のプロフィール

■名前(もちろん仮名)
田螺藻々(たにし もも)

■趣味
絵を描くこと・ゲーム・電車やバスを乗り継いで自分だけのルートを編み出すこと

■ビーンズとの関わり
中学1年生の終わり頃ビーンズへ入塾。
ビーンズでのサポートを受け、この春、都立チャレンジスクール高校に合格!

不登校で「同世代も学校も怖くて、自分も嫌い」から「自分と友達になる」までの物語

――改めて高校合格おめでとう!高校生活はどう?

高校は通いやすいですね。

物理的に学校にいる時間が短いので、毎日通えそうです。

学校以外の自由な時間も多いので、好きなことができています!

この間は「臨海車庫行き」のバスを偶然見つけて駆け込んで、葛西臨海公園まで遊びに行ってみました!

――わ、楽しそう!高校生活めっちゃエンジョイしてるね!(笑)

あと、高校の先生も生徒も優しくて、間違えたり失敗しても大丈夫だと思えるので安心して通えてます。

先生は何十回もしつこいくらいに「困ったことがあったら相談して」って言ってくれます(笑)

学校にもまあまあ慣れてきたので、ビーンズのBFS(毎週行われている居場所イベント・後述)でみんなが楽しめるイベントを自分で企画してます!!

「タコパ」をやってみんなと盛り上がりたいですね!

将来は「人と関わることは楽しいよ」ってみんなに伝えられる人になりたいので、その一歩としてビーンズでイベントをやりたいです!!!

――本当に素敵だねえ。ももちゃんが毎日学校に行くぞ!って頑張れて、将来の目標に向かってイベント企画っていうチャレンジをしようとするなんて、初めて会った時は考えもしてなかったよね(笑)

そうですね(笑)

保健室登校、不登校からビーンズへ

――ビーンズに来るまではどんな感じだったの?

小学校の時は、友達がいなかったので本当に寂しかったです。

5年生の時、数少ない仲良しの友だちがアメリカへ行ってしまって、本当にひとりぼっちになってしまった感覚でした。

卒業式の時は誰とも写真を撮れなくて、家に帰って大号泣しました。

中学校に上がってしばらくして、ポツポツ学校を休むようになりました。

両親から「学校には行こうね」って言われたので、保健室には通っていました。

本を読んだり絵を描いたりしてたんですが、やることがないのに6時間くらい座ってなきゃいけないのがだんだんと苦痛になってきて……それで不登校になりました。

あのときは、保健室でも暇だったし、不登校で家にいても暇だったので本当に辛かったです。

そんな時、親がビーンズを見つけてくれて、入塾することにしました。

ビーンズで同世代との出会い

――ももちゃん、ビーンズにきた頃は、今とは全然印象が違ったかもなぁ……

そうですね。入塾した時からは、めっちゃ変わりましたね(笑)

――ほんとにね!!ビーンズでは最初なにしてたんだっけ?

ビーンズでは最初、個別授業で先生とお話ししたり、歴史について勉強したりしてました。

それで、ビーンズに慣れてくると、自分の中で「同世代とのコミュニケーションをとりたい!(でも怖い………!)」という気持ちがだんだん大きくなってきていて。

でも、その気持ちも初めから言えたわけでなくて、担当があまね先生に変わったタイミングで話しました。

ビーンズでは講師と生徒の間で一定の関係性ができた後、複数の講師によって生徒をサポートしていくために授業の担当を変え、新たな講師と信頼関係を作っていきます。
生徒が「この先生となら話せる!」と信頼できる伴走者を複数つくることが目標です。

そしたら、授業に他の大学生の先生や同世代の生徒が遊びに来てくれるようになって。

――お絵描き伝言ゲームしたよね!

しました! あれは大爆笑でした!

本当に楽しくて、お母さんに「楽しくて面白くてお腹痛い!」って何時間も話しました。

複数の講師によるサポート体制を作るために、授業担当の講師を変更する以外にも、授業に他の講師を呼んで一緒の時間を過ごしたり、(あえて)単発で授業を担当する講師を変更する制度もあります。

また、複数の生徒・講師がいる場でのファシリテーション(場の進行)に対してもビーンズメソッドがあります。インターン生はコミュニケーションに苦手を抱える"悩める10代"に特化したメソッドを学ぶことができます。

――お絵描き伝言ゲームは本当に楽しかったよねえ。ももちゃん自身も授業の2,3時間前にはオンライン校に遊びに来て、先生や生徒と話していたよね!そうして気づけば、ビーンズの中での繋がりが増えてったよね

そうですね。

最初は緊張して心臓バクバクだったんですけど、先生が私のことをみんなに紹介してくれて、「いろんな人がいて面白い!」と思うようになっていきました。

進路を考える会

そのあたりで一番思い出に残ってるのは「進路を考える会」ですね。

「進路を考える会」って言っても、自分の進路を考えるんじゃなくて(笑)

大学受験を考えている先輩たちが「どこの学部に行ったらいいか」について、5〜6人くらいの生徒と先生で好き勝手に言いました。

本当は、聞いてるだけのつもりだったし「意見とか求められたら絶対やだ!!」って感じだったんですけど、話しやすい雰囲気だったので、意見を言うことができました。(笑)

――もう大変化だよね...。そもそも進路のことを考えるって相当「ウッ」ってなることなのに、そのイベントにも興味持って参加してるし、さらに初めましての人の中で意見を言うなんて以前のももちゃんなら考えられなかったかも。

本当ですね。

でも、終わった後めちゃくちゃ後悔しました。みんなもっと軽いノリで話してたのに真面目な意見を言い過ぎたし、偉そうに意見を言ってしまったかも......って思って。

でも2回目の「進路を考える会」では後悔しなかったし、自分が成長したことを感じました!

全体では「これ言ったらなんて思われるかな...。」と思って話せなかったけど、グループに分かれて少人数になったときには「でもビーンズだし大丈夫かな!」って思って、発言できました!

――ももちゃんにとって、「人の前で意見を言う」っていうものすごい高い壁を乗り越えられた瞬間だったんだね...!

人と関わること、自分を認めること

BFSへ

――その直後、BFSに行ってみようという話になったんだよね。今やBFSに一番参加してるレジェンド生徒だと思うけど、最初はどうだった?

BFSとは、ビーンズの教室で毎週行われている居場所サービス。ゲームや雑談を通して生徒同士や担当ではない講師とのつながりと「青春経験」を得ていきます。
詳しくはこちらのブログをご覧ください。

めちゃくちゃ緊張しました。話せるかわからないし、同年代への苦手意識が本当にすごくて......。

でもはじめてBFSにいく前日、ちょうどオンラインであまね先生との授業があって。

あまね先生は教室にいたんですけど、たまたま教室にいた他の生徒たちとテレビゲームをしてる様子を見せてくれて。

教室の雰囲気を知れて安心したし、「うわ!楽しそう!!」ってなりました!

それが決め手でいざ行ってみたら、楽しくて楽しくてしょうがなかったです。

超楽しくて、全然疲れなくてびっくりしました!嫌なことも一個もなくてずっと楽しかったです!

楽しすぎて「早く(BFSのある)土曜日になってほしい」と3時間くらい親に話してました(笑)

――超楽しみにしてくれてたんだ!!(笑)BFSのどんなとこが楽しかったのかな?

もう全部ですね。人と話したり一緒にゲームしたりすることが本当に楽しかったです。

マシュマロタワーと心理的安全性

――人と話すこととか、ゲームとかで印象深いことある??

特に、ボランティア(現:CA)が企画してくれた「マシュマロタワー」は本当に楽しかったです!!

学習支援塾ビーンズタワーのような美しい形のマシュマロタワーができました

4人チームになって竹串とマシュマロを使って高いタワーを作るゲームなんですけど、それで優勝できたんです!形も私たちが一番スタイリッシュでした!

あと、これは後から気づいたことなんですけど、やっぱりBFSでも話しやすい雰囲気があったから楽しかったんだと思います。

マシュマロタワーを作っている時に、ルール違反の作り方を提案してしまったんですが...。

その時同じチームの先生が「いや、それはダメでしょ」ではなくて「それはチートじゃない?(笑)」と指摘してくれたんです。

この返しがすごく印象深くて、ルール違反だよってことは伝わるけど人を傷つけなくて面白いことに感動しました。

そういう安心できる場所だったから、私もだんだんありのままの自分を出していくことができるようになりました。

――めっちゃ素敵やん......。私もビーンズは安心して楽しむことができる「心理的安全性」が整ってる環境だと思うな。だから、自分のありのままを出してもいいかなって思えるんだよね。

同世代とのコミュニケーションでの悩み

――でも、それでもやっぱり同世代とのコミュニケーションに悩んだ時もあったよね…。

そうですね...。
帰り道は生徒だけで一緒に帰るんですけど、そこで一人になって話せない時がありました。

ただ楽しいだけじゃなくて、生徒のみんなともっと仲良くなりたかったから、孤独を感じて本当に悲しくなりました。

でも、帰って親に話を聞いてもらったり自分で気持ちをノートに書き殴ったり授業で先生に話していたら、ふと「別にいーや」と思えたんです。

今までは上手く喋れない自分を変えなきゃって思っていたけど、別に今の自分でいいやって。

自分を認められるようになったんですよね。

そしたら、自分の考えてることも一歩引いて見れるようになって、なんかすごく楽になりました。

今までは自分のマイナスな部分を見せたら嫌われちゃうかなって思ってたのも、いろんな人にマイナスな部分も含めた自分の奥底にある気持ちを話せるようになったのもこの頃です。

――本当に、この経験はももちゃんにとってターニングポイントだったよね。
それまでは自分のできない部分(例えば喋れないこと)が見えすぎていてチャレンジすることが難しかったけど、その頃から自分の完璧じゃない部分も認めていこうと変わっていった。そうやってできるようになった挑戦がたくさんあるよね。

そうかもしれないです。

ビーンズ以外にもいろいろ挑戦してみようと思って、地下鉄の一日乗車券を使って何日かかけてスタンプラリーを全駅集め切ったり、ビーンズ以外の「居場所」に行ってみたりしました。

アリジゴク地獄

――あとは、巨大アリジゴクを作るチャレンジかな(笑)これも、できるようになった挑戦のひとつだよね!

アリジゴク!つくってもつくっても、全然完成しなくて、文字通り地獄でした!! アリジゴクジゴク……

まさか完成までに5ヶ月もかかるとは…(笑)

アリジゴクとは、紙で作る多面体。
紙を折って作るパーツを組み合わせて、球体を作ります。

学習支援塾ビーンズ
ももちゃん作のアリジゴク(直径20cmほど)

元々小学生の時からアリジゴクを作るのが好きだったんですけど、いつか約1m級の巨大アリジゴクを作ろうと計画してたんですよね。

あまね先生に話したら「面白いじゃん!授業でやってみようよ」という話になって。

自分で今まで作ったアリジゴクを測って、何センチの紙でパーツを作ったら何センチのアリジゴクができるか計算式を編み出したり、組み合わせがわかりにくい部分は設計図を書いてきたりしました。

――ももちゃんが450個パーツ作ってきてくれたり、自分で何センチでどんな材質の紙がいいのか考えて買ってもらったり...本当に頑張ってたよね!

がんばりました!(笑)

――あと自分で計算式作ったり、設計図書いたり……本当に助かったなあ!数学は得意なんだっけ?

いや、苦手ですね。(笑)

苦手だし嫌いです。

でも、巨大アリジゴク作るならやろうって思って。

――苦手なことでも、やろう!って決めたことをやり切れるのがももちゃんのすごいところだよね…!アリジゴクもなかなか完成しなくて大変だったけど、やりきったね!(笑)

教室で毎週作業するんですけど、全然終わらなくて。(笑)

作って組み立てても大きすぎて重みで壊れちゃったり、組み合わせがよくわからなくなっちゃったり…。

毎回うまくいかなかったところを反省して、次どうしたらいいかを次の授業まで1週間考えてました。

メモにまとめたり(1500字くらい)、家で小さいバージョンで試作してみたりしました。

――すごい熱量だよね…。そんなに頑張れたエネルギー源ってなんだったのかな?

単純に楽しいのもそうなんですけど、みんなで一緒に作業してるのが楽しかったのがやっぱり大きいですね!

教室で作業してるので、たまたま居合わせた生徒や先生たちが「何やってるんすか」って覗きにきてくれて、一緒に手伝ってくれました。

パーツを作ってくれたり、組み立てを手伝ってくれたりしてくれました。大きいので私とあまね先生だけじゃ難しいところもあって本当に助かりました!

あと手伝ってくれたお礼に「称号」をあげたりしました!

いつも手伝ってくれる生徒には「工場長
模型を作ってくれる生徒には「模型職人
解体が得意な先生たちには「破壊神 主将」「破壊神 副主将

とか(笑)

それでも全然完成しないから、みんなで一気に作る日を決めて総勢17人の先生や生徒に手伝ってもらいました。

学習支援塾ビーンズ
巨大アリジゴクを組み立てようと奮闘中

結果としては完全に完成!…と、までいかなかったので、とっても悔しくて。

帰りの車の中で泣いてしまいました。

だけど、自分がやると決めたことを、人の助けを借りながらやりきれたことが本当に嬉しかったです。

――前のももちゃんからしたら考えられないよねえ…。そもそも同年代と顔を合わせたり話したりすることもかなりハードルが高かったんだから。

そうですね…。自分でもすごく変わったと思います。

自分も頑張ったし、思ったよりもみんなが手伝ってくれて本当に嬉しかったです。

悔しかったこともふくめて、本当に楽しくてアツかった思い出です!!

そして、高校受験へ

ここまでは、ももちゃんがビーンズと出会い、人と関わることの楽しさを強く感じることができるようになるまでをお届けしました。

人と関わりたい、でも怖い…

そんな気持ちをビーンズで昇華させ、授業や進路会を通して人とのつながりを作りながら、巨大なアリジゴク作りを20名近い人を巻き込みながらやり遂げたももちゃん。

ここから進路を考えていくことになります。

「教室を想像するだけで嫌だ…」
「自分のことを大きく見せなきゃいけないのは何か違う…」

時に受験対策が嫌すぎてお墓でダンシング(?!)しながらも、最後には「頑張ることは楽しいこと」と語るももちゃん。

次の記事では、そこに至るまでのももちゃんと、ビーンズでのサポートのリアルなチャレンジスクール受験エピソードをご覧ください。

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