不登校の中学生・高校生に学校の宿題を無理矢理やらせても復学のキッカケにはならない!
今回の記事は「不登校の中学生・高校生に学校や塾の宿題を無理矢理やらせても、子どもは復学しない」という内容についてです。
塾長の長澤がお話しします。
長澤啓(Nagasawa kei)
学年ビリから二浪し東京大学へ入学。ビーンズの活動が楽しすぎ、留年。経済学部経営学科卒。
ビーンズが積み上げてきたノウハウを「ビーンズメソッド」として文字化し、より洗練するのがメインのお仕事。さらに、親との衝突が絶えなかった自身の経験を活かし、保護者とのコミュニケーションにも注力。保護者さまと月100件以上やりとりをしながら、ビーンズ流の保護者さまサポートを拡充中。最近は副代表として、講師の採用育成プランの策定・外部協力者との渉外・経営企画までマルチにこなす。趣味はビールを飲みながら出汁巻き卵をつくること。
■インタビュー/詳しい自己紹介
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勉強へのやる気が出ない中学生を変えるために親ができることを学習支援のプロに聞きました
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もくじ
不登校の中学生・高校生に学校の宿題を無理矢理やらせても復学のキッカケにはならない!
親や先生のプレッシャーが子どもを追いつめる
ビーンズに相談に来られる保護者様の中に、こういった方がいます。
「(私の)子どもに学校(や塾)の宿題をさせてください。学校の先生が、『この宿題を全部やれたら、クラスに戻っても勉強に追いつけるし、また子どもが学校に通えるようになる』と仰ってるんです。だから、ビーンズさんのほうで、子どもにすべての宿題を解かせるように指導してやってください!」
そして、机の上には、子どもが不登校だった期間の勉強分を補えるよう、山のように印刷された宿題プリントが積み上げられます。
こんな時、ビーンズでは、申し訳ないのですが、学校の先生や保護者様の言う通りに対応することはしません。
宿題をやらせるだけで、子どもの不登校が改善されるわけではないのです。
不登校という問題は、宿題ができている・できていない程度で解決できるものではありません。
むしろ、そのように積み上げられた学校の宿題をただ子どもに押しつけてしまう行動をしてしまうと、大人からの圧力・プレッシャーによって、さらに子どもは逃げ場がなくなり、不登校の状況を悪化させてしまうと、ビーンズでは考えています。
中学生・高校生”悩める10代”の心に寄り添い、ステップバイステップで、ゆっくりと時間をかけて状況を変えていく必要があります。(後述します)
塾にお願いして宿題を無理矢理やらせても不登校の解決にはならない
確かに、いったん目の前の宿題をすべて片付ければ、そのことに安心して、学校に行くようになる子どもはいます。
しかし、繰り返しになりますが、これで不登校の問題が解決するかといったら、そうではないのです。
宿題をなんとかやって、学校に行き始めた子どもたち。ですが、勉強というのは、そこで終わりではありません。
時間の経過と共に、問題の難易度は増しながら、常に宿題は絶えず提示されていきます。
やがて子どもたちは、耐えきれなくなって、再び不登校に戻ってしまうことが少なくありません。
彼らは、自分が解けない問題に直面した時、慌てたり、過度に悲観的になったり、投げ出したりせず、着実に取り組んでいくという、勉強へ向かうという姿勢を身につけていないため、そこを改善しないことには根本的な解決にならないのです。
つまり、塾にお願いして、学校の宿題を無理矢理やらせても、その場しのぎにしかならず、結果的には、いずれ同じ問題を繰り返すというだけなのです。
そして、こういった付け焼刃の対処法ばかりをしていると、そのうち子どもが宿題を終わらせた状態なのに学校へ行かない、という状況になることもあります。
子どもの不登校の原因というのは、ただ宿題をやったから解決するわけではないということを、ご認識いただきたいと思います。
子どもが自分自身のチカラで宿題に取り組む姿勢を身につける
また、塾などに頼って宿題をやらせる手段にも、じつは限界があります。
塾にお願いして、子どもに宿題をやらせても、最終的には状況は悪化します。なぜなら、先生や塾というのは、現実問題として、子どもの宿題を永遠に見続けられるわけではないからです。
たとえば、子どもが大学生や社会人となっていった時のことを想像してください。
その頃には宿題ではなく、「課題」という形で、色んな難しい問題が出題されるようになります。これは、大人なら分かると思いますが、どうしても自分自身のチカラで考えて、立ち向かわないといけない問題です。先生にも塾にも、頼ることはできません。色んな人から話を聞いたり、書物を調べたりして情報を集め、すべて自分の力で取り組まないといけないのです。
つまり、子どもはどこかのタイミングで、「自分自身の力で課題に立ち向かう」という姿勢を身につけないと、結局は行き詰ってしまう、ということなのです。
子どもに最も避けて欲しい状況とは何か
宿題やるやらない問題において、子どもに最も避けて欲しい状況とは何か。
それは……
・親や先生、塾が無理矢理に勉強をやらせていった。
・子どもが受験生になったと思ったら、受験間際のプレッシャーに耐えきれなくなった。
・そして、再び不登校になってしまった
ではないでしょうか。
勉強嫌いで自主的に勉強できない子どもというのは、受験時、大きく不利になってしまいます。
不登校を改善するにしても、受験をするにしても、大事なことは目先の宿題を無理矢理にやらせることではなく、子どもが根本的に抱える問題と向き合って、そのことを一つ一つ丁寧に解決していくこと、そして最終的に自主的に勉強へ取り組む力を身につけていってもらうことなのです。
学校の勉強におけるゴールと言うのは、大体の場合、受験です。
そして将来、子どもたちが活躍するためには、目先の宿題をやることよりも、自主的に勉強に取り組む習慣を身につけてもらうことのほうが先決です。
自分で取り組まないことには、本当の学力は身につかないからです。
ということは、子どもが、目先の宿題ができないことを全力でどうにかしようとすることには、あまり意味がありません。
「子どもが受験生になった時、自主的に勉強へ取り組んで、受験に立ち向かう姿勢を身につけていること」を優先すべきです。
不登校の中学生・高校生の宿題へのアレルギーを治すために
今からお話しするステップバイステップは、一見、遠回りに見えるかもしれません。
しかし、ビーンズでは、このステップバイステップこそが、子どもにとっての近道だと考えています。
※じつは難関校受験をするにしても、スパルタ教育よりも自主的な勉強する姿勢を身につけることを目指す方が近道です。興味のある方は、下記の記事もお読みください。
今からお伝えする”ステップバイステップ”は、『ビーンズメソッド』という考え方に基づいています。
「ビーンズメソッドってなに?」という方は、まずコチラの動画をご覧ください。
「情熱大陸」「カンブリア宮殿」などの各種メディアで著名な花まる学習会代表 高濱正伸先生、教育ジャーナリストおおたとしまささん
このお二方とビーンズ塾長の長澤が、”悩める10代”の現状、そしてビーンズメソッドの考え方について講演したときの様子です。(ダイジェスト版)
また、おおたさんには、「ガラスの十代のトリセツ/ビーンズメソッドに学ぶ」と題し、ビーンズメソッドの基本的な考え方についてお話しいただいています。
そして、ビーンズも取材いただいた『不登校でも学べるー学校に行きたくないと言えたとき』(集英社新書)。
さらに、講談社FRaUさんでは、ビーンズメソッドのエッセンスを端的にまとめていただきました。こちらもぜひご覧ください。
STEP1:家庭を絶対安心の場にする
STEP1は子どもにとって「家庭を絶対安心の場」にすることです。
ご家庭で、子どもと向き合っていく際は、下記の記事が参考になりますので、ぜひご覧になってください。
ビーンズが保護者様へよく伝えていることがあります。
それは、「子どもが学校や塾の宿題をやらなくなっても、子どもの前で慌てたり、取り乱して頭ごなしに叱らないでほしい」ということです。
保護者さまのご不安は分かります。しかし……
ここで、保護者が焦ってしまったり、「みんな宿題をやっているから」「ルールだから」と頭ごなしに叱ってしまっては、どうなるか。
子どもにとって「家庭が絶対安心の場」にならず、子どもは心を閉ざしてしまい、状況がより悪化します。
STEP2:コミュニケーション量が増えたら、「なぜ宿題をやらないのか」理由を探る
子どもが家庭でたっぷり雑談できるようになったら、次のステップです。
とはいえ、まだ子どもに宿題をやらせるようには働きかけません。
「どうして子どもが学校の宿題をやれないのか」、まずはストレスの原因を探ることを優先するようにしてください。
そもそもですがどうして、子どもたちは宿題をやらないのでしょうか。
「問題が難しいから」
「量が多いから」
「めんどくさいから」
「ヤル気が起きないから」
そんな風に表面上は見えるかもしれません。
ですが、不登校になるような子どもの場合、実はもっと深い理由があって、宿題をやっていないケースがあります。
たとえば、「なんで学校の勉強をやらないといけないのか分からない」など、勉強自体のもっと根本的な部分について疑問があって、立ち止まっていることも少なくありません。
たとえば、「進学塾で宿題をやってこなかったとき、塾の先生から皆の前で何度も怒鳴られた」といった、トラウマに近い経験を持っていることもあります。
このように子どもが学校の勉強をできないということには、必ず理由があります。
つまり、大人が分からないだけで、「宿題がめんどくさい」というようなレベルではなく、宿題の事を考えるだけで相当にツラくなってしまう……。
例えるならアレルギーに近いような感覚を子どもが持っている場合もあるのです。
ですので、「宿題をやれ! やろうよ! やったほうがいいよ!」と働きかける前にその理由をじっくり聞いてみましょう。
STEP3:正論を伝えるのは、外の師匠に任せよう
「子どもが宿題をやりたくない理由を話してくれた! よーし!いよいよ子どもに正論を伝えよう!」
とか、
「子どもが宿題やりたくない理由を解決するぞー! PCDAサイクル回して、解決するぞー!」
などと、保護者さまが意識高く頑張ろうとする……のは、得策ではありません。
宿題をやりたくない原因が分かった段階から、後は”外の師匠”(これは、花まる学習会の高濱正伸先生の言葉なのですが)に、任せましょう。
塾や学校の先生と連絡を取り、STEP2までで聞いた子どもの言葉、そして保護者さまだけが知っているお子さまの宿題に対する苦手意識や、トラウマ、アレルギーについて伝えます。
そして、塾や学校の先生と相談し、タイミングを見計らって正論を伝えてもらうのです。
なお、ビーンズでは生徒へ「正論を伝える」タイミングを「挑戦期」と呼んでいます。
では、保護者はなにをやるのか……。 それは学校や塾という家の外で頑張った・宿題に取り組んだ子どもが安心して帰ってこれる、ダラダラできる環境をご家庭に用意する。
これに尽きます。
まとめ 保護者さまへお伝えしたいこと
ビーンズでは、上述した理由によって、学校の宿題を無理矢理にやらせるような授業はしておりません。
では、何をするのかといえば、子どもが抱える(勉強嫌いの・宿題をやらない)根本的な原因を探り、ビーンズとご家庭で役割分担をしながら、一つ一つ丁寧に状況を改善していきます。
最終的に子どもたちに自学自習の習慣を身につけてもらうことを目標にしています。
子どもたちの多くは、好きなことや習い事を通して、逆境に直面した時に投げ出さずに頑張る力を元々持っています。
いつまでもゲームを続けられたリ、友達と遊び続けたり、好きな歌を全部覚えたり……その集中力・記憶力は確かなものです。
これがどうして勉強に向かないのか。
大人が、子どもの好奇心を勉強に向けられていないからです。
大人が、勉強の面白さを教えていないからです。
大人が、勉強に関してネガティブな想い出をつくってしまったからです。
学習支援塾ビーンズでは、『ビーンズメソッド』に基づいて、”悩める10代”の状況を根本から改善していきます。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。