シリーズ「なんで子どもが勉強しないのか」
科目勉強に対する、保護者のお悩み 個別回答編

シリーズ「なんで子どもが勉強しないのか」科目勉強に対する、保護者のお悩み 個別回答編

本記事では、保護者さまからの「勉強しない中学生・高校生たちへのお悩み・質問」にズバっとお答えします

勉強が出来れば子どもの自信がつくのでは?
勉強のやり方を知れば、勉強を始めるのでは?
勉強を楽しさを知れば、(科目)勉強を始めるのでは?

といった保護者さまからのご意見・ご要望は、『ビーンズメソッド』的にはどうなのか……お答えします!

※本記事は「我が子が勉強しない問題」について解説した記事の第二弾です。
前編は”「なんで勉強しないのか」科目勉強に対するビーンズの考え方 基本編”で我が子が勉強しない問題」について、「成績UPに必要な4階構造」というビーンズメソッドの概念を用いて、解説しました。

長澤啓(Nagasawa kei)
学年ビリから二浪し東京大学へ​入学。ビーンズの活動が楽しすぎ、留年。経済学部経営学科卒。
副代表として、講師の採用育成プランの策定・外部協力者との渉外・経営企画までマルチにこなしながら、日々「ビーンズメソッド」を洗練させている。
さらに、親との衝突が絶えなかった自身の経験を活かし、保護者さまと月100件以上やりとりを実施。趣味はビールを飲みながら出汁巻き卵をつくること。

■インタビュー/詳しい自己紹介
学校の勉強についていけなかった僕が東大に合格するまでと親と対立した日々について
勉強へのやる気が出ない中学生を変えるために親ができることを学習支援のプロに聞きました
プロに聞きたい!不登校や勉強嫌いな中学生・高校生が進路を選ぶタイミングで、親に何ができるの?

Q:不登校・勉強嫌いの子どもは、勉強が出来れば自信が回復するのでしょうか?

高1の不登校の息子がいます。

色々なことが重なって、不登校になりました。今さら学校に行っても勉強についていけないのではないかという恐怖が、不登校をさらに長引かせている気がします。

勉強さえするようになれば、自信が回復して学校に戻れるのではないかと考えていますが、いかがでしょうか。

「勉強ができれば自信が回復する」というのは、真実と言えば真実です。

ただ、もう一度「成績UPに必要な4階構造」を見てください。

学習支援塾ビーンズ 「成績UPに必要な4階構造」

そもそもお子さんは「4階:正しい勉強法の実践と圧倒的自習量」にたどり着ける状況でしょうか。

おそらくそうではないと思います……。

もう一つ情報を補足しておきますね。

今から申し上げることは、ビーンズで多くの不登校の生徒たちと関わってきた経験をベースにしています。

不登校の中高生は、過剰に「科目勉強」「学歴」にこだわる傾向があるように感じます。

不登校になってしまった=同世代の輪の中でうまくやっていけなかったというコンプレックスがあるからこそ、

「勉強ができればみんなが自分のことを認めてくれるかもしれない」

「良い学歴をGETすれば、みんなが自分のことを認めてくれるかもしれない」

と思ってしまうのです。

コチラの動画でも、簡単に説明しています。(自動的に該当の場面に遷移します)

もちろん、「自立に必要な4階構造」も「成績UPに必要な4階構造」もどちらも完成していないので、勉強はできないのですが……

仮にできたとしても、志望校合格後に燃え尽きるのですが……

ですから、これからお子さんの方から、「勉強したい!」「僕は勉強が好きだし、勉強しているんだ!(本当は嘘)」とタテマエで言ってくる可能性もあります。

この場合、お子さんのタテマエを頭ごなしに否定することなく、「自立に必要な4階構造」と「成績UPに必要な4階構造」を地道に下から積み上げていくことを強くお勧めします。

Q:勉強のやり方を知らないから、勉強をしないだけだと思います

中2の娘は、一切勉強をしません。
勉強のやり方がわからないから、勉強をしないのだと思いますが、いかがでしょうか?

学習支援塾ビーンズ 塾長 長澤啓

うーーーーん……

質問文が短いので、あまりはっきりとしたことは言えないんですが……

勉強法を教えたら、見違えるように勉強をするようになった!」というケース、もちろん理論的にはあり得ると思うのですが、私は見たことがありません……。

もし、勉強法を教えたら勉強するようになるのであれば、既に進学塾(いくらでもありますよね)に通ってゴリゴリ勉強しているはずです。

推測ですけど、お子さんはそんな感じでもないはずです……。

もちろん勉強しない原因の一つとして「勉強法のやり方を知らない」からという因子もあるでしょう。しかしながら、それは数ある因子の一つでしかなく、しかも影響としては小さいものだと感じます。

保護者さまにおすすめしているのが、「成績UPに必要な4階構造」の、どの階がお子さんにとって不足しているのか観察することです。

そうすることで、お子さまが勉強しない理由・背景を解像度高く理解できますし、そのことがお子さまが勉強向かう第一歩になると思います。

Q:勉強の楽しさを知らないから、勉強しないだけだと思います

全く勉強しようとしない中学生の息子に勉強の楽しさを教えて欲しいです。
彼は元々、勉強が得意な子どもでした。親が言うのも変ですが、賢い方だと思います。

理科や歴史に関する興味関心も高く、ヒマさえあれば本を読んだり、歴史マンガを読んでいます。

勉強の楽しさを知れば、勉強するようになり、また成績も伸びるはずです。

ここでの「勉強」という言葉は、おそらく、国数英理社のテストの点数に直結する「ザ・科目勉強」という意味で使ってらっしゃると思います。

先に、申し上げておきたいのですが、テストの点数に直結する「ザ・科目勉強」が嫌いな生徒は多いですが、「広い意味での勉強」が嫌いな中学生・高校生はいません。

「広い意味での勉強」とは、「自分の内から湧き上がる好奇心をモチベーションにして、新しい世界の知識を吸収すること」です。

ビーンズにも、大好きな戦車・植物・電車・ゲーム・アニメなどについてならば、没頭して膨大な情報を収集し、分類し、整理し、他人へ伝えられる生徒が多くいます。

保護者さまの視点からすると、

「そんなことが、将来(の収入に)何の役に立つのか」
「そんなことより来週の定期テストの対策を頑張って欲しい」

と思ってしまうかもしれません。そのお気持ち、凄ーーーくわかります。

私達も

「昔の戦車の型式を覚えて何になるんだ?」とか

「アイドルがお前を生活を面倒みてくれるのか?」とか

江戸時代の思想家・本居宣長が19歳で製作した空想地図※を調べてどうなるの?」とか

教育者としてよくないことかもしれませんが、ごめんなさい。

やっぱり初見では思っちゃいます……

多分、ここの感覚は保護者さまと、そこまで変わらないと思うのです。

※ビーンズの卒業生の作品。
本居宣長という、あまりメジャーではない歴史上の人物が、何者でもなかった時期に暇に任せて書いた空想の街の地図を元に、空想の街の観光マップをつくる」という……。
と何重にも「?」がつく作品です。

なお、彼は中学生のときから、山伏や楠木正成、神社の建築様式など、よほどテストには出ないことばかりに興味関心があり(褒め言葉です)調べていました。
そしてそれを実績に大学入試を突破します。

A:「広い意味での勉強」で育まれる力は大事

その上で、保護者さま達にお伝えしたいのは、

しかし、テストの点数に繋がらないとしても「広い意味での勉強」はとっても大事。
そして、テストの点数に繋がらないとしても「広い意味での勉強」で育まれる力も大事。

ということです。

テストの点数には繋がらない広い意味での勉強で育つ力

没頭して情報を大量に収集する力

没頭して情報を分類し理解する力

情報を出力する(誰かに伝える)力

これらの「力」を身につけることは、科目勉強をする際に、そして人生全般でも必ず役に立ちます。そして、大学入試にも直結するようになっているのです。

もしも、「勉強」を大学受験のためのツールとしての位置づけているのであれば、なおのこと、
中学校・高校での定期テストや模試の点数に直結する「ザ・科目勉強」のみを評価し、それを急かしてしまうのは、お子さまの本来持つ力を削いでしまう可能性があります。
また、勉強嫌いを悪化させる可能性があります。

どちらも、仮に勉強のゴールを大学入試と設定した時、非常にもったいないことです。

むしろ、子ども達の「広い意味での勉強」を評価し、それに没頭することを評価・応援したほうが、お子さまの未来は開けてくる。ビーンズではそう考えています。

さて、ここまで「ザ・科目勉強」だけではなく、「広い意味での勉強」もお子さまの力を伸ばし、ひいては大学入試まで直結すると説明しました。

そうなると、今度は

「ウチの子、広い意味での勉強も、してる様子がみえません……」
「そもそも、没頭できることもないんです……」

といったお悩みがやってきます。

大丈夫です。

ビーンズの講師の中には、個性的なバックグラウンドを持っている人もいます。
また自身の人生経験からくるエピソードで、中学生・高校生の生徒たちが目を丸くし、彼らの世界を広げていくことが大好きです。
そして、知的な話も勉強臭さを消して楽しく話すトレーニングを積んでいます!

例えば……

アニメの内容から見える社会情勢の話、

都市伝説よりも妖しいけど本当の歴史や社会の話、


etc.

こういった話題で、中学生・高校生の生徒たちの心をつかみます。

A:勉強嫌いの中学生・高校生が学ぶことに楽しさを再発見するためのステップ

広い意味での勉強」、そして、勉強嫌いな悩める10代たちが勉強に向かうまでのステップのまとめです。

まず、「自立に必要な4階構造」完成させる。

次に、「成績UPに必要な4階構造」を完成させる。

その際、講師が中学生・高校生の世界を広げ、「広い意味での勉強」の楽しさを伝える話をする……同時に、名門大学であっても科目勉強以外の分野で好きなことを見つけて没頭できる生徒を求めている事実を伝える……

そして、中学生・高校生たちが「勉強」を受験のためのツールとして位置づけているのであれば、より一層、「広い意味での勉強」に没頭することの優位点を伝える。

最後に、生徒が「広い意味での勉強」をスタートする手伝いをする。
※「広い意味での勉強」であってもすぐできる人、出来ない人がいます。

以上が、不登校であるかどうかは関係なく勉強嫌いの中学生・高校生が学ぶということに楽しさを再発見するためのステップとなります。

Q:「ザ・科目勉強」の楽しさをすぐに教えて欲しいです

推薦入試が増えようが、基礎学力として「ザ・科目勉強」は、子どもに絶対に必要だと思います!

できれば、すぐに「ザ・科目勉強」の楽しさを伝えて欲しいのですが、ビーンズでは科目勉強の楽しさは教えてくれないのでしょうか……?

直球の質問をいたただきました。

前章で「広い意味での勉強」の大切さ、そして、学ぶことに楽しさを感じてもらうためのステップを説明しました。しかし、成績UPに直結する「ザ・科目勉強」の楽しさをすぐに教えて欲しいという保護者さまの想いも依然強いと思います。

たしかに

・生きていくためには、科目勉強で最低限必要な力がある(いわゆる読み書きそろばん)
・推薦入試には評定が必要で、評定には定期テストでいい点数を取る必要がある

というご意見は、もっともです。

(なお、ビーンズでは科目勉強の中でも、全ての科目勉強に必須、かつ社会人になっても必要な国語力を身につけることに重きを置いています。)

そのうえで、申し上げにくいのですが、いきなり「ザ・科目勉強」に楽しさを見つけ、実際に成績が伸びるまで打ち込める子どもは、本当にごくわずかです。

私、東大卒ですが、「ザ・科目勉強を楽しいからずっとやっていたい!」と思ったことは実は一切ありません……!
確かに、東大時代の友人の中には「ザ・科目勉強」を心の底から楽しいと思っていた人もいました。しかし、彼らを見ると、「ザ・科目勉強」を楽しめるかどうかは、生まれつきの性格や幼少期の経験によるところが大きいのではないかと思うのです……

私が見た「ザ・科目勉強」を楽しめる東大生の特徴

・「決められた手順で、淡々と永遠に計算するのがとてつもなく好き……」

・「限られた時間で、できるだけ多くの単語を覚えることに無上の喜びを感じる……」

・「受験戦略を考えて、ひたすら点数を上げることにゾクゾクする……」

私の見るところ「ザ・科目勉強」が好きなのは、このような人たちです。

生まれつきの性格もあると思いますし、ある種の特性が関係しているのかもしれません。

また、勉強を苦行ではなく、一種のゲームとして認識している友人もいました。
そういう人たちにとっては、「ザ・科目勉強」がゲームとして合っていたんでしょうね。

ゲーム感覚で勉強できる人にもいろいろいますが、総じて「ザ・科目勉強」をして成績を上げることにワクワクできる原体験が幼少期にたくさんある人、同時に、勉強する際に恐怖と不安に煽られてやらされていない人が多いなーと感じます。

逆に言うと、恐怖と不安に煽られて「ザ・科目勉強」をして成績を上げていた人たちは、東大生になっても、しんどそうですね……。

東大の、その分野のすごい教授たちの授業も「出ないと単位取れないから」と恐怖と不安だけで、律儀に出席しているんですが、学問に対するワクワク感とか「学んで社会貢献しなきゃ!」といった使命感はないんですよねぇ。これでいいのか最高学府……

学習支援塾ビーンズ 塾長 長澤啓

(ここら辺の話は別記事「スパルタ教育の弊害は大学入学後にくる(東大編)」でも書いてるので、ご覧になってください)

まとめます。

勉強の楽しさを教えて成績を上げる」はかなり難しいです。

もちろん、「ザ・科目勉強への抵抗感を少しだけなくす」くらいなら出来ます。

とはいえ、幼少期に埋め込まれた「ザ・科目勉強」への恐怖と不安が薄らぐには、かなりの時間がかかります。もちろん、成績UPにすぐには直結しません。

保護者さまの期待値も、その水準にされると良いかなと思います。

ビーンズの方針は、前章「A:勉強の楽しさを感じてもらうためのビーンズの方針」に書いた通りです。

繰り返しになりますが、いきなり「ザ・科目勉強」ではなく、「広い意味での勉強」の楽しさを伝える。その「広い意味での勉強」の前に、「自立に必要な4階構造」、そして「成績UPに必要な4階構造」を組み上げていく……これが不登校であるかどうかは関係なく、勉強嫌いの中学生・高校生が少しでも学ぶということに楽しさを再発見するために必要なステップだと考えています。

Q:4階構造を完成させても危機感がないので絶対に勉強しないと思います

学習支援塾ビーンズ 塾長 長澤啓

高校生の子どもですが、全く勉強しません。「絶対に勉強なんかしない!」と何度も私に伝えてきます。そして、ゲーム漬けの日々を送っています。

おそらくですが、中学受験のときに、進学塾で怖い先生に叱られ続けたのが原因だと思います。また、彼が社会の現実を知らず、あまりに楽観的な考えを持っているのも原因だと思います。

4階構造を完成させても、勉強しないのでは…と心配です。

勉強をしなければならない」という義務感や焦りはほぼ全ての中学生・高校生が持っています。

そして、「勉強なんて絶対にしない!」と発言し、ゲームやスマホにのめり込んでいる中学生・高校生ほど、勉強への義務感や恐怖感を強く持っています。

実際に私が担当した生徒にも、親に対して 「絶対に勉強したくない! 将来は中卒でホームレスになってもいい!」と発言した中学生が複数人いました。

※「中卒でホームレス」というフレーズが共通しているのが少し面白いですね……(笑)

生徒の保護者さまも「うちの子は勉強する気が一切ないんです」「将来に対する危機感が一切なくてゲームやスマホにのめりこんでいるんです」とおっしゃっていました。

しかし、そんな生徒たちからよくよく話を聞いてみると、

「本当は勉強して良い成績をとらないといけないのは分かっている」

「勉強しようと思っても出来なくて、現実逃避のためにゲームやスマホを長時間してしまう」

という悲痛な声がこぼれてくるのです。

この焦りや不安の裏返しとしての、「絶対に勉強したくない! 将来は中卒でホームレスになってもいい!」という発言だったんですよね……

子どもたちが、親や学校、塾から受け取ってきた「勉強しなければならない。さもなければ、恐ろしいことになるぞ!」というメッセージは大人が思う以上に中学生・高校生の子どもたちの心の深い部分に、刻み込まれているのです。

この辺りの中学生・高校生たちの勉強に関する感覚は、こちらの「ビーンズの美談ではないリアルな大学受験物語 「勉強のやる気が出ない」編」をご覧いただくとご理解いただけると思います。

シリーズ「なんで子どもが勉強しないのか」科目勉強に対する、保護者のお悩み 個別回答編 まとめ

本記事では、

勉強が出来れば子どもの自信がつく
勉強のやり方を知れば、勉強を始める
勉強を楽しさを知れば、勉強を始める

こういった保護者さまのご意見・ご要望について、『ビーンズメソッド』の考え方からお答えしてきました。

勉強嫌いなお子さまに学ぶ楽しさを思い出してもらいたい場合、

まず、「自立に必要な4階構造」完成させる。

次に、「成績UPに必要な4階構造」を完成させる。

これがビーンズメソッドの考え方です。

参考:『ビーンズメソッド』とは

ビーンズメソッドってなに?」という方は…まずはコチラの動画をご覧ください。

「情熱大陸」「カンブリア宮殿」などの各種メディアで著名な花まる学習会代表 高濱正伸先生、教育ジャーナリストおおたとしまささん
このお二方とビーンズ塾長の長澤が、”悩める10代”の現状、そしてビーンズメソッドの考え方について講演しました。

おおたさんには「ガラスの十代のトリセツ/ビーンズメソッドに学ぶ」と題し、ビーンズメソッドの基本的な考え方についてお話しいただいています。
そして、ビーンズを取材していただいた『不登校でも学べるー学校に行きたくないと言えたとき』(集英社新書)。
講談社FRaUさんでは、ビーンズメソッドの内容を端的にまとめていただいています。こちらもぜひご覧ください。

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