「息子や娘が"うつ"で不登校だと思ったら…」 学習支援塾ビーンズのアドバイスまとめ
ビーンズへ相談される保護者様の中には、不登校・勉強嫌いの悩みに加えて、「我が子が心療内科に通っている」という方もいらっしゃいます。内容は、うつ、各種障害など様々で、専門の施設に入院していたお子さまなどもいました。
本記事では、そういった難しい問題を抱えるご家庭の保護者様へ、いつもビーンズがアドバイスさせて頂いていることを紹介していきたいと思います。
もくじ
最初に見極めて欲しいことは「お子さまが外出可能かどうか」
心の疲れているお子さまの場合、保護者様がいくら状況改善を試みても、通塾以前に、そもそも外出すること自体が困難というケースもあります。
こういった状況の場合、保護者様がお子さまに対して優先して取り組むべきことは、「復学や勉強を急がせること」ではなく、「自宅でゆっくり休ませて、生活リズムを戻して、行動を起こす元気を持ってもらうこと」です。
この時、お子さまにスムーズに元気になってもらうためには、保護者様の心構えと、ケアの方法がポイントになってきます。
アドバイス ~保護者様の心構え編~
お子さまがより元気になるため、保護者様に知っておいて欲しい心構えが4つありますので、順番に説明させて頂きます。
心構え1.
スパルタ教育は極力やめてください
保護者様の中には、「不登校やうつ病は甘え」と考えて、スパルタ教育を頑として続ける方もいます。しかし、当塾の今までの経験から言わせて頂きますと、結果として、ほとんどの場合で状況が悪化してしまうだけですので、オススメできません。
スパルタ⇒親子関係に亀裂⇒お子さまが心を塞ぐ⇒どうしようもなくなった保護者様が相談に来る、といったケースはよくあります。そのため、スパルタでお子さまに接することはできるだけ止めて欲しいと、ビーンズではお願いしています。
不登校やうつが甘えかどうかはさておき、冷静に状況を分析した時、問題の本質は、「お子さまが新しく行動を起こすためのエネルギーを持っていない状態」ということです。まずはゆっくり充電期間を設けて、お子さまにエネルギーを蓄えてもらうことが先決だと、ビーンズでは考えています。
スパルタ教育は万能ではない
スパルタ教育は、人によって向き不向きが強く、相性の合わない子には逆効果で、さらに精神的に追い詰めてしまうだけの結果に終わります。また、スパルタ教育自体にも指導範囲の限界があり、たとえ中学・高校を乗り切れたとしても、自由な発想や自主性を求められる論文・研究・就職などで、再びつまずく危険性もありますので、注意が必要です。
※スパルタ教育の弊害について、詳しくはこちらの記事にまとめています。
心構え2.
お子さまに「普通」を押しつけないように気をつけてください
スパルタ同様、保護者様が「普通」を押しつけることも、お子さまにとっては、かなりのストレスとなります。
以下の二点は、とくに意識して避けるようにして欲しいと、お願いしています。
・保護者様にとっての「普通」をお子さまに押しつけないこと
・保護者様が「普通」をできないお子さまに落胆しないこと
学校に行くこと、勉強すること、良い大学へ進むこと。
こういったことは、いわゆる「普通」なことです。
しかし、その事実を保護者様がご家庭でもあらためて押しつけてしまうと、お子さまは心の中で、「学校に行けない=普通ではない=保護者様からも(先生からも)非難される=社会に適用できない人間ではないか」といった悩みの連鎖から抜け出せず、どんどん深刻になり、状況は悪化してしまいます。
保護者様にとって「学校⇒勉強⇒進学」という道のりは、確かに「普通」のことかもしれません。しかし、それがすべての進路ではありません。就職に至るまでの道のりは、他にも色んな選択肢がありえます。
状況改善において大事なことは、お子さまに「自分はダメなやつだ」と思わせないことです。まずは、お子さまが落ち着けるような家の雰囲気づくり・環境づくりに専念していくことがポイントとなります。
心構え3.
保護者様が焦らないこと
なぜ、スパルタや、普通を押しつける行為をしてしまうのかといえば、これは裏を返しますと、保護者様が焦っていることが理由の場合もあります。
しかし、いくら保護者様が焦っても、最終的に頑張るのはお子さま本人です。無理に状況改善しようとすると、お子さまが反発して、より悪化してしまうこともありますので、なるべく避けた方が賢明です。
互いに感情的にぶつかり合ってしまうと、どちらかがモノに当たったり、叫んだり・・・いよいよとなると、家出など、第三者を巻き込みかねないトラブルに繋がる可能性も高く、オススメできません。また、そういった緊張状態にある中で、抑圧的に、「将来はどうするんだ。進路は?進学は?大学は?」といった話をしても、明るい方向には進みようがありません。
ですので、まずは保護者様がリラックスして、気持ちを楽にして、状況改善を急がないようにしてください。いきなりの高望みをしても効果は薄いため、最初の目標は「お子さまが元気を取り戻すこと」と定めて、ちょっとずつ状況改善を進めるようにしましょう。
※参考記事
お子さまの状況改善がなかなかできないと、保護者様としては焦るなと言われても、焦ってしまうことかと思います。そういった膠着状態の中、保護者様にぜひ読んでおいて欲しい記事がありますので、以下、ぜひ参考にして頂ければと思います。
心構え4.
保護者様がストレスを溜め過ぎないこと!
状況改善における大事なポイントが、「保護者様がストレスを溜め過ぎないこと」です。
親子一緒に、家の中でずっと閉鎖的な空気でいると、お互いにストレスを溜めてしまい、感情的にぶつかる危険性も高まります。ですので、保護者様もお子さまのことばかりを考えすぎず、自分自身の趣味だったり、人間関係やコミュニティを大事にして、お子さまとは常にフラットな気持ちで接していくようにして、ゆっくりと状況改善に臨むようにしてください。
アドバイス ~お子さまの心のケア編~
保護者様が状況改善の心構えを持った後は、お子さまの具体的なケアに取り組んでいきます。この時のポイントは「家と外の居場所づくり」です。
ステップ1.
お子さまの居場所をご家庭につくっていく
お子さまが外出困難であれば、まずはちょっとずつ「行動していくこと」に慣れていってもらわないといけません。
ご家庭の中でゆっくりさせながら、親子一緒にコミュニケーションを取り、その中で少しずつお子さまの外出を促すようにしていってください。
お子さまが外出困難な場合は・・・
・親子一緒にテレビを観たり、家事をしたりして、コミュニケーションをとる
・親子一緒にランチや散歩などで出かける
・お子さまの趣味があれば、そのイベントに保護者様が付き添う(または行かせる)
この時、「学校を休んで遊んでて良いのかな?」といった気持ちも出てくるかも知れませんが、そういった話題はあえて出さないようにして、とりあえず親子一緒にのびのびと過ごすことに専念しましょう。
人間、遊んだり話したりする意欲さえもなくなってしまうと、状況改善も難しくなってしまいます。決して感情的にならず、大人の態度で接するようにしてください。
ステップ2.
昼夜逆転の生活を戻していく
ビーンズの経験上、不登校になったお子さまは、ほぼ昼夜逆転の生活リズムになってしまいます。ただ、こちらも「今すぐ規則正しくしろ!」と頭ごなしに言っても、すぐに改善できることではありませんので、ゆっくり対応していく必要があります。
もし、怒るくらいのエネルギーがあるなら、昼間に楽しい外出イベントを用意したりして、お子さまが起きやすい仕掛けづくりの努力をするなど、考え方を切り換えましょう。
昼夜逆転の詳しい対応策は、以下の記事でも紹介していますので、ぜひ参考にして頂ければと思います。
ステップ3.
ご家庭以外の居場所づくりをしていく
お子さまがだんだんと元気を取り戻して、「学校以外の場所なら外出できる(できない時もあるけど、できる時もある)」という状態になったら、そのタイミングで、できれば習いごとをスタートできると、理想的です。
家や学校以外で、精神面やコミュニケーション面で負担にならない、心の落ち着ける第三の居場所ができると、自己肯定感も増して、さらに順調に回復していくことが見込めるからです。
お子さまが外出できるようになってきたら・・・
⇒習慣的に外出できる場所を探す
⇒できれば習いごとに取り組んでもらうのがベスト
⇒本人が前向きになったら不登校関連のサポートをする塾・団体も再検討
この時、もし、勝負を競る"ガチ"の習いごとをスタートすると、人間関係・決まったスケジュール・生徒同士の優劣・親や先生からのプレッシャーなど、厳しい環境になってしまい、かえって状況が悪化するかもしれませんので、気をつけてください。
できれば保護者様には、習いごとの定義を「お子さまが楽しめればそれでいい」とだけ考えるようにして、あくまで楽しむことが目的の"エンジョイ"の習いごとを探すようにしてもらえればと思います。オススメは、お子さまが興味を持っている分野の習いごとです。
もしかしたら、どこを勧めてもイヤだ、とお子さまに言われるかもしれませんが、それでもめげずに、色々と探していってもらえればと思います。なにか一つ、お子さまの心に刺さって、新しい居場所になれると、それだけっで状況改善はグッと進むようになります。
※参考記事
どうしてもお子さまが「イヤだ!」といって聞かない時は、以下の記事も参考にしてみて頂ければと思います。
まとめ
ビーンズがおススメする状況改善の手順は、下記の通りです。
<心に疲れを持つ生徒の状況改善手順>
まずは保護者様が落ち着く
↓
家をリラックスできる居場所にする
↓
親子のコミュニケーションを取る(否定の発言、進路の話などはNG)
↓
お子さまを少しずつ外へ連れ出す
↓
お子さまの元気を取り戻していく
↓
タイミングを見て、習いごとや塾・団体などへ通わせて"外"の居場所づくりをする
<その後、ビーンズに入塾した場合>
講師と生徒で話し合いをして信頼関係を十分に築く
↓
講師と生徒がいくらか腹を割って話せるようになる
↓
学校、勉強、進学などの話を徐々にスタート!
(この段階に到達して、ようやく進路の話を少しずつしていくことが可能となります。)
※詳しい授業の流れを知りたい方は、以下の記事をお読みください。
上記の手順を踏まず、いきなりショートカットして、「学校行け! 勉強しろ! 進学はどうするんだ!」と叱っても、状況改善はなかなか進みません。
保護者様は決して感情的にならず、「我が子には、どういう教育方針が合うのだろう」と、常に建設的に考えるようにしてみてください。そして、お子さまには少しずつ日常におけるアクティビティを増やしていってもらえればと思います。
参考:ビーンズの実績
心の疲れている生徒にご入塾頂いた後の、ビーンズの指導内容や実績について、下記の記事にまとめています。気になる方はぜひ参考にして頂ければと思います!(記事が長くなってしまいましたので、別記事に分割しました。)
注記
お子さまが医学的に問題を抱えている場合、ご家庭だけでの療養・サポートでは解決できず、専門の治療が必要となる場合もあります。そのため、病院・担当医の指示を主として、ビーンズのアドバイスはあくまで参考程度に留めて頂くよう、お願いいたします。